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第2話 灰の街に散る!

宇宙世紀0079年11月13日。


 ヨーロッパ戦線、西ハンガリー地方――かつての都市地区に連邦軍の部隊が展開していた。だが街には、もう人の姿はない。瓦礫の山と崩れた石畳、すすけたビルの骨組みが灰の中にそびえていた。


 


 空には黒煙が流れ、陽光は地表まで届かない。


 


 ジムが息をひそめるように補給車両とともに前進していた。


クレイド・レイスは、コックピット内で眠そうにモニターを眺めながら口を開いた。


 


「良かったよ。お前も生き残って。」


 


 雪原での戦いで生き残ったジムの1機。


 そのパイロットは、コロニー生まれのクレイドにとっての幼なじみでもあるレトライ・ヴァイオ少佐がいた。


 


「のんきなこと言ってる場合じゃあない。こちらの場所はばれている。敵がいるという通信もあった。まだ敵は来るぞ。」


 


「もうすぐ夜だ。今日は疲れた。睡眠を取ろうと補給車両に提案してくれないか?」


 


レトライは呆れた顔でため息をつき、また前進し始めた。


それにしてもひどい有様だとクレイドは感じた。この戦争の罪深さをさらに痛感した。


 


「敵の通信が途絶えた。位置がわからない……この街ごと、消えたように静かだ」


 


 ジオン軍がこの灰の街に「ザク・マインレイヤー」部隊を展開しているという情報を受け、連邦側は小規模な偵察部隊を派遣した。だがその数時間後、連絡がぷつりと途絶えた。


残ったのは僚機ジム3機のみ。


 


「地雷を撒かれてる。足元、気をつけろ」


 レトライがそう警告を発したその瞬間――


 


 ズガン!


 


 左前方のビルの床が爆発し、ジム1機が中空へ吹き飛ばされた。


 


「しまっ――!」


 


 その爆風の中、緑色の影が飛び出す。


 ザクIIマインレイヤー型。腰部に地雷散布ポッドを装備し、奇襲戦に特化した機体だった。


 


「こっちにも来る!」


 


クレイドはすぐさま左ブースターを吹かし、建物を一気に駆け上がる。


反撃のタイミングを待ちつつ、上空から街を俯瞰する。


 


 地表には、数十個の地雷が“意図的な模様”のように撒かれている。


 


「……地形誘導だ。建物と地雷の配置で、逃げ道を作ってる。そこに……」


 


 狙撃手がいる。


 


クレイドは視線を数ブロック先の瓦礫へ向けると、即座に180mmキャノンを構えた。


 


「……読めた」


 


 照準を合わせ、風向きを微調整し、トリガーを引く。


遠方の瓦礫が爆発し、そこに隠れていたザク狙撃型が木っ端微塵に吹き飛ぶ。


 


 


「クレイド!残るはあの1機だけだ!」


 


ベトライの叫びとともに、ビルの谷間から地雷を散布しながら別のザクが突進してくる。


クレイドは下方に降下しながら、地雷の間を縫って突進。弾幕を張りながら距離を詰め――


 


「距離15、食らえ……!」


 


 シールドを正面に突き出し、ザクに突撃。


 


 爆風の中で、ザクの地雷ポッドが誤爆し、機体が膝をつく。その一瞬の隙に、リオはビームサーベルを抜き放ち、振り下ろす。


 


 ザクの上半身が、爆音と共に消し飛んだ。


 


 戦闘終了後、街には再び静けさが戻った。だがそれは、死の静寂だった。


 


 崩れかけたビルの上で、リオは動かなくなったジムの残骸を見下ろす。


 


「……また、死んじまったな」


 


「残念だが進むぞ。味方が待っている。」


 


そう言うと、二人は灰の街をすぎさった。

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