表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/143

7 魔動機人が現れたら

「スタン・ショット!」


 俺は群がる敵を次々と悶絶させていった。


「くそ! 長居は無用だ!」


 ガリーシャを含め、他の客が逃げ出そうとする。しかしその時、逃げようとした客が、逆に室内に吹き飛ばされてきた。


 その吹き飛ばしたものが、室内に現れる。

 それは、乳白色の分霊体だったが、妙な人型だった。妙に腕周りの筋肉だけが発達している。


「ハンドマン! やっちゃえ、なのデス!」


 ファントムの主は、チルルだった。ハンドマンと呼ばれたファントムは、群がる構成員を次々とぶっ飛ばしていく。


「くそ! こいつはダメだ!」


 構成員たちは逆側に逃げようとする。しかしその途中で、突如として再び室内に吹っ飛ばされる。


「なんだ、この化物は!」


 吹っ飛ばされた構成員たちが、恐怖の表情を浮かべて壁の奥を見ている。その奥から現れたのは――


「……なんだ、あれは?」


 現れたのは漆黒の甲冑兵――というより、むしろ……ロボット? にすら見える代物だった。

 黒い外装をまとった甲冑兵は、右手に持った剣を振って、構成員たちを吹き飛ばしている。その後ろから、ボサ髪眼鏡が現れた。


「どうだ、ディモン君! これがボクの魔動工学の結晶、魔動機人ブラッカーだ!」


 上機嫌なセレス隊長の姿に、俺は驚くことすら忘れて唖然とした。

 が、セレスは俺の反応などお構いなしに声をあげる。


「ブラッカー、ジェット・ナックル!」


 剣を持ってない左拳が、突如発射される。これは…ロケット――

 発射された拳が構成員の頬を直撃し、悶絶する。


「アハハハ! どうだい、ブラッカーの威力は!」


 ボサ髪眼鏡が喜色満面で声をあげる。


「く、くそ、一斉攻撃でやっちまえ!」


 構成員の魔導士たちが、一斉に魔法攻撃をぶつける。しかしその攻撃を、ブラッカーはものともしない。


「やってくれたね! ブラッカー、スタビライザー・スタンバイ!」


 ブラッカーの背中に折りたたまれていた二本の棒が、床に向かって降りていき地面に着く。と同時に、背中にはクジャクが羽を広げたように、円錐を描いてパネルが広がった。


「セレス隊長! やりすぎデス!」


 チルルが声をあげる。


 なに? チルルがやりすぎだと言うくらいの攻撃なのか?


「ブラッカー、スマッシャー・ビーム!」


 セレスの掛け声で、ブラッカーの金色に光る眼が光る。と、胸の中央に埋まっている金色の結晶から、凄まじい威力の光線が発射された。光線は構成員を吹っ飛ばした後、壁を破壊した。

 壊された壁から、青い空が見える。


「あいつ……絶対、ヤバい奴だろ…」


 俺の感覚では、セレスティーナ・ノワールは逮捕する側より、逮捕される側の人間に近い。

 その場にいた者たちが屋外へ逃げる。俺たちもそれを追って、外へ移動した。


「魔動機人使わずに、普通に魔法使った方が早い気がするんデスけどね~」


 いつの間にか傍にいたチルルが、嬉しそうにそう洩らした。

 その瞬間だった。


 突如現れた影が、魔動機人の背後から傍をすり抜ける。

 その男が微かにこちらを見た。


「グリード!」


 一つ目のゴーグルの下の口が薄い笑みを浮かべたかと思った瞬間、ブラッカーの胴体に斜めの線が走り、上半身がずれて地面に落ちた。


「ブラッカー!」


 セレスが叫ぶ。グリードは黒色の巨大なサバイバルナイフを手に、セレスに向かった。


「セレス、逃げろ!」


 俺は叫びながら、発力して駆け寄る。セレスは指輪をした手を向け、グリードに電撃を放つ。が、グリードはその魔法を掌で吸収している。


 そいつは魔法を吸収する――と、声をあげるより速く、俺はグリードに向かった。グリードのナイフがセレスの喉へと向かう。俺はそのナイフをアースティアで打った。


 奴の気力と俺の真解衝気が衝突して、閃光を放つ。


「う……」


 グリードが駆け抜けた後に、セレスが小さく呻き声をあげた。

 横腹が斬られ、白衣が真っ赤に染まりだしていた。


 右手のナイフは落としたはずだが。見ると、グリードは左手に、両刃の短剣を逆手に握っていた。ダガーナイフというやつだ。


「セレス!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ