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6 令嬢魔導士が敵にまわったら

「ぐほぉっ!」


 ゼグラが呻いて、俺を突き放す。まだ衝気を完全に通すには浅い。


「くっ、なんて奴だ。手足別に気力を発するのか――」

「ゼグラ、此処で貴様を倒す!」


 ゼグラは腹を抑え、よろめきながらも薄笑いを浮かべた。


「仕方がない。私は一時退散するとしよう。そして君たちには――プレゼントだ」


 ゼグラは背後を向くと声をあげた。


「シイファ、来るんだ!」


 まさか――

 洞穴の奥から、人の気配がやってくる。


 その気配は力場魔法で自らを浮かせ、やがてゼグラの傍に降り立った。

 それは、シイファだった。


「シイファ!」

「シイちゃん!」


 ゼグラはシイファに向かって言った。


「シイファ、あの男がニャコを殺そうとしている、君の敵だ。戦いなさい」

「ニャコを――」


 シイファの眼つきが、微妙におかしい。シイファも暗示にかけられている。


「シイちゃん、ニャコなら此処にいるよ!」

「ニャコの偽物まで用意して、君を騙そうとしている。あの偽物も倒してしまいなさい」

「…判ったわ」


 シイファは俺たちを睨んだ。その眼は本気だ。

 シイファが魔法杖を横に構える。


電撃竜破(ドラゴニック・ボルト)!」


 マジか。シイファは容赦のない威力の電撃を、俺たちに発射してきた。

 俺は気力を込めた回し蹴りで、その電撃を無化する。


「やるわね。……けど、これならどう?」


 四匹の電撃竜が、シイファの背後に現れる。


「ニャコを返しなさい!」


 そう言った途端、四匹の竜が襲いかかってくる。

 これは――破壊しきれない。そう判断した俺は、両手をクロスして全身に気力を込め、衝撃に耐えた。


「くっ……」


 まずい。ヤバいほどの威力だ。そうしている間に、ゼグラの姿は消えてしまっていた。


「くそ……逃げられたか」


 俺は歯噛みした。

 シイファは正直、加減して勝てる相手じゃない。装備がない俺は、魔導障壁も使えない。しかも此処にいては、ニャコとシャルナも攻撃にさらされる。


「シイファ、眼を覚ませ! 俺はキィだ!」


 俺はそう怒鳴りながら、装備がある方へ向かって駆けだした。

 俺の後を、シイファが追ってくる。


「誰だか知らないけど、ニャコを狙うなんて許せないわ!」


 シイファは力場魔法で浮遊移動しながら、火炎弾を俺に放ってきた。俺はなんとか跳躍して避ける。

 俺は装備のところに着いた。ホルスターの中に、魔銃が収まっている。俺はホルスターごと掴んだ。

 しかしすぐにシイファが追いつき、俺を睨む。


「あたしのニャコ……あたしの親友を、返しなさいっ!」


 その背後に七匹の竜が現れた。

 まずい、最大魔法が来る。


七星電撃竜破(セブンス・ドラゴニック・ボルト)!」


 七匹の竜が俺に襲い掛かる。魔導障壁を発動して耐えるが、凄まじい衝撃だ。


「くっ……」


 防ぎきれない。俺は魔導障壁が破壊される寸前に、気力を発して瞬時に逃れた。

 が、完全には逃げきれず爆発の衝撃を受ける。


「く……む…」


 かすめただけなのに、相当のダメージだ。

 シイファの本気は、ここまで凄いのか? まずい。このままではシイファに殺られる。


「まさか、あたしの最大技を逃げたの? けど、これで終わりと思わないことね!」


 再び七匹の竜が現れる。

 今度は避けきれない。なんとかシイファの暗示を解かなければ。


 俺の異能の鍵――これで暗示を『解除』できないか?

 少なくとも、試してみる価値はある。

 俺は敢えて、シイファの懐に全力で瞬間移動した。


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