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Code 0 :なんでもありな人生の中で

ムサシ:主人公、月峰武蔵ツキミネムサシ

クフ王:ムサシのダウジング神

ヒカリ:主人公ムサシの姉、月峰光ツキミネヒカリ

金龍:ヒカリの占い師の師匠、金龍キンリュウ

気が付けば世の中は、人工知能が搭載されたものであふれかえりだしていた。

海外では、トランスヒューマン化を楽しむ人々が、普通になっている。


人工知能を用いた技術は便利といえば便利だが、作動する環境によって莫大な電力を使用している。科学時術のトライアルシティ化が進み、配達用のドローンや医療ロボット、無人タクシーなどの監視システムも当たり前に作動している。


――エコってなんだっけ? クリーンだからいいのか? 人間の能力はおとろえていかないのか?


月峰武蔵ツキミネムサシは、エコを頑張っても優しくない電気代の明細を見ながら、インターネットから伝わる世界のニュースと現状を考えていた。


ムサシは都内の工学部の大学生。


これからはじまる長い春休み、まだ肌寒い。パワーストーン好きの姉のヒカリにもらったラピスのペンデュラムを、インターネットを見ながらくるくるまわしている。


ムサシがダウジングをするようになったのは、ヒカリの影響である。ヒカリの知り合いの沖縄の占い師・金龍が、「人間には誰にも龍神がついているから、ペンデユラムに名前をつけるといいわよ」と言っていたことから、ダウジング判定の神を「クフ王」と呼んでいる。コックリさんみたいに五十音の上でラピスを動かして調べてみた判定で、出た名前は「クフヲウ」。ムサシは、ダウジングはアクセスする神の意識体によるエネルギーが動かすんだろうと思っているが、ペンデュラムに名前をつけるというのは、石に神が宿りやすいのからだろうと解釈していた。


「龍神っていうけど、素粒子の意識体のことだろ。人の意識がおこした粒子の流れで 粒の〝リュウ〟じゃんw」

「二重スリット実験のこといってんの? あんたの場合が龍神じゃなくて、粒の神なだけじゃんw」

「空間のアカシックレコードからクフ王が反応したんだとしたら、天然の人工知能だよな」

「意味わかんないこと、言ってんじゃないわよw そもそもペンデユラムの使い方も適当じゃんw」

姉のヒカリと、そんな会話をしたのを思い出した。


ムサシはYes, Noを聞いているわけじゃない。右回りとか、左回りとかめんどくさくなって、自己流の使い方をしていた。ある意味、ただの友達みたいな会話に近い。


外では選挙カーが走り回っていた。政治も経済も、日本の現状がよくみえてこない。AIサイトで対話しながら政治・経済を調べていたが、背後の実験や技術開発ついて世界を調べていくうちに、資本家優先の世界に腹が立っていた。


――政府は地球や人間に負荷かかることに、税金かけて開発してんじゃねーよ。


ムサシはよく都市伝説で出てくる、名前は聞いたことあるくらいの実験施設「トリプルアルファ」がふと気になり、調べてみた。調べるとその施設では、宇宙の再現の実験をしていた。


――なんだ?これ??

  素粒子実験で宇宙の成り立ちを再現して観察?

  ビッグバン直後、つまり0秒(特異点の膨張)から高エネルギー・高密度の状態から始まり、空間と時間が生まれる。この高エネルギー・高密度を再現?


いくつかの国が参加して、地下の巨大な実験装置で共同研究している。その実験で生まれるエネルギーは、そのままその実験で再利用しているようだった。


―― へぇ~、どえらい実験してるんだな。毎秒ペタバイト規模のデータを生成? ペタってテラの次じゃなかったっけ? 俺らエコ頑張ってんの意味あんの?


そう思いながらもいろいろ調べていると、その実験施設で、過去に事故を起こしている記事をジャーナリストRKのブログで発見した。そのブログにPDFが添付され、「この事故が海底火山をひきおこした証拠です」と記載されていた。続けて、小さく「開く際は、自己責任でお願いします」とあった。


――ん? 事故? 自己責任? ―っておやじギャグかよ。


この、続きの文章に気が付いた時にはすでに、PDFをクリックしていた。事故について書かれた、英文の新聞記事と、数値が並んだ検証結果のようなファイルだった。実際見ても。何が何だかよくわからない。


後から、やらかした感だけが、じわじわ襲いかかってきた。


なにか怪しいときはいつもはクフ王に相談するのだが、うっかりしていた。PDFを開いたことによってウイルスチェックが作動したというような状況にあるわけではないが、無性に胸騒ぎがしていた。


――とある事故って、宇宙再現の実験で起こった事故のことだよな…? そんで、なんで自己責任なんだ?


「なぁ、クフ王、やばいと思う?」

やばい、大丈夫、やばくない、の3択で聞いてみた。クフ王はくるくると回り、

〝やばい〟に反応した。


―― ……。


ムサシがその意味に気付くのは3日後だった。


<続く…>

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありませんのであしからず…。

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