クラブ
バイトが終わりスマホを確認すると京から
集合時間と場所の書かれた連絡がはいっていた
20時?
バイトが終わる時間だ
こんなに早い集合はいままでなかった
『今バイトが終わったこれから向かう』と返事を送り
急いで電車に乗る
クラブにつく頃には20半時頃になっていた
慣れた入店の手順を踏みフロアに続く階段を降りたとたんにうさぎの耳が目にはいった
ハロウィンでもないのにうさぎの被り物?帽子?
男数人に囲まれ一緒に飲む飲まないで揉めているようだ
「だから飲まないって言ってるだろ!
こっち来んな!!」
うさぎの割に強そうな大声だな
そんな事を思いながら京との合流を図る
京はいつも使うテーブルで一人、酒を飲んでいた
「おまたせ、なんで一人?」
京「おせーよ、連絡先ゲットできなかったからだよ
明日もくるって帰り際に言ってて何時に来るかも解らないからオープンから張ってるの♡」
「そりゃ難儀だな京にしては珍しい」
京「それなーお前の彼女ガード硬すぎなんだよ」
「俺まだ顔も見てませんが?笑」
爆音の音楽を聞きながら京と雑談をしていると
さっきのうさぎが見えた
「あっ…京、見てあれさっき入り口でナンパされてたうさぎ来る」
京「うさぎ?」
俺に促されたまま京がうさぎを確認すると
京「あ!あの子だよ!」
思わぬ京の大声とガタンっと突然立ち上がった反応にビックリして酒をこぼした
京「昨日21時くらいに帰ったから来ないのかと思ったわ!!おーい!さくらちゃーん!」
えええ…うさぎのことだったのかよ。この数十分…
スマホで時間を見ると到着して20分を男二人で過ごしていたようだ
桜と呼ばれたうさぎはこっちを見ると安心したような表情を見せ小走りに近寄ってくる
どうやらもう一人女がいたようだ
さっきの男達も引き連れてやってくる
おいおい…男ついてきてるやんけ…
男「さっき2人だって言ってたよね、誰?こいつ?」
京はさっとうさぎの肩に腕を回す
うさぎの顔はビックリしているが
後ろに立つ男たちには見えないようだ
そんなことよりも俺はもう一人の女に釘付けになっていた
京「悪いね!俺ら遅刻しちゃったんだ
俺らの彼女だからほか当たって
なんなら1杯奢ろうか?」
男「チッ…いらねーよ」
そういうと諦めたように俺らのそばを離れていった
女「いい加減桜から離れろ!」
どうやら階段のそばで騒いでいたのはこっちの女だったようだ
先程ホビーショップの前を
俺を夢中にさせて通り過ぎて行った彼女だった
京「怖いなー助けただけじゃんか
ありがとうだろここは笑」
桜「すみません京さんありがとうございます」
京「ほら、素直でかわいい」
桜ことうさぎは可愛らしい小柄な割に出るとこが出ていて守りたくなるような控えめな子だ
女「桜!こんなやつの名前まで覚えるなよ!」
まだ名前も知らない彼女は俺のことなどまったく気にしていないようだ
京も京で楽しそうに押し問答をして
俺の存在がないかのようにうさぎの被り物の話で盛り上がっている
おーい。俺はこれ、どうしたらいいんだい。
目線を向けても京は目の前のうさぎに夢中で気づかないようだ
だが、いままでの様に1万円札のためだけにいたのとは訳が違う
こんなチャンス逃すわけには行かないとひそかに意気込んでいた