太陽
落とし物を拾った事をきっかけに不思議な裏社会の住人となる
バトルラブストーリー
俺は一人が好きだ。
気楽で自由で人目も気にしない。
周りの人間とは好きな服も遊びも
合わないから
一人が楽だった。
親と馬が合わなくて、大学入学時に家を出た。
都内での独り暮らし
荷物は必要最低限だし
ある程度は器用で料理や家事もそつなくこなす。
勉強も赤点は取らないし、授業も計算して出席してるから留年の心配もない。
親からの仕送りは来るけど、できるだけ自分で稼いだ金で生活をしている。
給料は特別良くもないが
髪型自由、服装自由、他にも色々な所が緩い
少し裏路地に入った小さめの店。
客層は子供から中学生がメインのホビーショップで
俺も含め、やる気のないスタッフが適当に座って会計だけやれば済むような所がとても気に入っている。
流石に都内だからね。
オモチャ屋で働いてるなんて大学では内緒。
カフェやカラオケ、クラブなど華やかなバイトをしてるやつが多いし
親の金で遊んでるやつもザラだ。
今は授業前で、ケータイを見て始まるのを待っている。
「Hello、太陽くん♪
バイト代出すから今夜クラブついて来てよ!」
めったに隣に座るやつはいない俺の横にサラッと座る
京
いかにも遊んでる大学生って感じの京はクラブが好きで、彼女がコロコロ変わる奴だ。
初めての授業でたまたま隣の席に座ったのをきっかけに、口がうまいコイツはあっさり友達の少ない俺の連絡先を聞き出した。
京「昨日、気になる子がいてさ
その子の連れが引き剥がせないのよ〜
ちょっと手伝って!頼む!」
俺を拝むように両手を合わせて
言いながら机に1万円札を置く京は
たまに俺のところに来ては同じ頼み事をする。
俺はそれを受け取り折り畳みの財布にしまう。
太陽「いつも言うけど、うまくいくかは知らないからな」
京「大丈夫!完全に脈ありなんだけど、太陽の未来の彼女がガード硬すぎて連絡先もゲットできないんだよ!
ちょ〜とスキ作ってくれればいいから宜しく♡」
太陽「彼女じゃねーから。」
女からすれば天敵の様な男だが、俺は男だし
金払いがいい
何故か憎めない世渡り上手な京はなんだかんだ嫌いじゃない。
京「じゃあ!あとで連絡する」
そう言うと周りに人が集まる京は、俺に気を使って少し離れた席に移動した。
女にモテるのも解る気がする。
面倒だが1万もらったしこれもバイトだ。
京に指定された服装や、アクセサリーをつけるダルさを思い出しながら
ホビーショップのバイトもあるし、急いで帰らなくちゃとうんざりしながら授業を受けた。