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7話 平常心だ。

高校生になると自由になる、なんて思ってる人もいるようだが、実際は忙しくなって勉強の時間でさえ減ってくるのが事実だ。



「おい、羽乃寝るな!まだ、終わってないぞ!」



そして、僕達も教師の理不尽な気まぐれに、深夜にも関わらず課題を進めていた。



時計は、1時を指している。


普段このくらいの時間までなら起きている僕としては、まだ眠くないのだが、羽乃にはキツい所があるらしい。


ウトウトする羽乃を起こす。



「もう、ねむい……」


「頑張れ!」


「むりぃ、……お兄ちゃんがチューしてくれたら頑張るかも……」


「……そうか、おやすみ。良い夢見ろよ、」


「そこは、チューしてあげるから起きて、って言うところでしょ!」


「おぉ、起きた。」



何もしてないのに、起きてくれたので手を動かし始める。


そして、また静かな夜にシャーペンが走る音だけが鳴る。



それから、20分くらい経った頃だろうか



「よし!終わった!」



羽乃が言った。




な?!


終わった、だと?


寝ていた羽乃より、僕の方が遅い?



「私、寝るね?」


「あ、ああ……おやすみ、」


「うん、おやすみ」



羽乃は、立ち上がる。


そして、僕は再びノートに目を落とす。


早く終わらせなくちゃ、



授業中寝てしまうことは極力避けたい。


でも、課題を多くして、授業中寝てしまったら元も子もないではないか。


教師も、もっと頭を使って課題を出して欲しいものだ。


効率というものを考えて欲しい……。




「おい、そこは僕のベットだ。」


「えー、良いじゃん」


「何が良いんだか、さっぱりわからん。」



何を思ったら、人のベットで寝ようと思うんだろう、



「いいよ、一緒に寝れば」


「良くない。」


「あ、じゃあ。お兄ちゃんが私の部屋で寝れば良いんじゃない?」



は?


訳分からん、その行為に何の意味があるんだ?


まぁ、別にそれなら良いか……


移動は面倒臭いが部屋は隣だ。


羽乃は疲れているから、移動するのさえ苦なんだろう。


それくらい、仕方ないか……


まあ、羽乃は朝早いしな、




「まぁ、それなら……」


「……じゃあ、おやすみー」



そう言って、すぐに寝息が聞こえる。


少しして、僕も課題を終える。



部屋の電気を消して、羽乃の部屋に行く。




ウノの部屋、なんて書いてあるネームボードが掛かってるドアの前に立つ。


ふと、気付いた。


ん?これって、嵌められてね?


部屋に入ったら爆発とかしないよな?


そういや、久しく羽乃の部屋なんて来てないぞ?


いや、羽乃は疲れていただけだ。


何も(よこしま)な気持ちなど無い!



部屋に入る。


さっきまでの眠気は、何故か吹き飛んでいて今は覚醒状態。


目が冴えて、眠れる気がしない。


コーヒーとかM◯nsterを飲んだあとの感覚に近い。



「平常心だ。」



一人呟く。


いつものように僕の独り言に反応する明るい声は無い。


だが、確かな女性特有の匂いが鼻腔をくすぐる。


一人なのに、一人でここに居る気がしない。

なんか、いい匂いがする!


なんか悪い気がして、部屋の中は特に見ないで、一直線にベットに向かう。


恐る恐る羽乃のベットに腰を掛ける。


自分の布団よりフカフカしてる気がする。


横になると、何故か犯罪をしてる気分になる。



……なんで?


なんで、こんなに良い匂いがするの?


寝れる気しないんだが、


いや、明日は学校だ。


それと、相手は羽乃だぞ?


妹だ!


割り切ったじゃないか、こんな調子では一生彼女なんて出来ない!


よし、寝るぞ!


こうして、僕は深い深い眠りへと……



ーーーーーーーーーーーーーーーー


「おい、唐草!寝るんじゃねえ!」


次の日、僕は名指しで授業中に叱責を浴びた。

なんでかって?

訳あって、授業中に寝てしまったんだよ。



ん?

……。

……わかったよ、そうだよ!認めるよ!

全然、寝られなかったんだよ!

悪いか!

深い深い眠りになんか、一切落ちなかったよ!




先生に怒られた時に、こっちを見て楽しそうにニヤケている、羽乃の顔が妙にムカついた。



動かざること山の如し。ちな、自分で言うのもなんですが、作者君は属性盛り盛りで戦国武将オタでもあります。

(2023,7月9日、加筆修正済)

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