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6話 浮気ですか?

「あのさ、」


「浮気ですか?」


「え、いや……」



クラスの女子に話しかけると、こんな対応しかされなくなった。


羽乃×僕のカップリングは、凄まじい速度でクラスに浸透し、今や隣クラスまで浸透しつつある。


女子に話しかけるだけで、浮気か聞かれる。

なんて、理不尽。


どれもこれも、全て羽乃の異常な独占欲のせいだ。


どうにかしないと、なんて思っていてもどうしよもないのが現状だ。




先日、隣の席の美少女に話しかけたらーーーーー


「あのさ、」


「なんですか?唐草くん?唐草羽乃さんが怒りますよ?」


「え、」



おっと?


羽乃の苗字は藤崎ですよ〜?


間違えて覚えちゃってますね、それとも早口で言ったから間違えちゃったのかな?


もう!おちゃめなんだからっ!



…………。



……え?ホントにどうしよう。


何?僕と羽乃って結婚してたんだっけ?

いやいや、そんなわけないぞ唐草頼!

僕らは家族だ!


なんか、もしかして僕の立ち位置って結構マズイ?


このままじゃ、ドキドキ隣クラス中距離恋愛大作戦も無駄に……?


それどころか、僕に学生時代の恋愛の思い出が出来なくなる?


ヤバいヤバい、どうにかしないと。




「唐草っち!」



頭を抱えて、そんな事を考えてると同じクラスの初対面の陽キャ男子達が話しかけてきた。


てか、唐草っちって何やねん、『っち』が付いて許されのは、た◯ごっちだけだ。



「ん?何?」



陽キャには陽キャのテンションで関わるのが鉄則。


僕自身は、そんなに明るい人間では無いが、コミュ強の自信はある。


だから、出来るだけ明るく対応する。

なるべく、頬を上げて笑みを作って対応するのが鉄則だ。


そうやって、対応しようとした。



「藤崎さんと結婚するんだって?」


「え?ん?……いや、」



一瞬で陽キャに合わせるテンションは、消え失せた。



「いいやん!可愛い彼女にイケメンな彼氏!憧れるわぁ、」



え、アイツを貰ってくれます?


可愛いって今言いましたよね?


それならーーーー

いや、待て。


こんな陽キャみたいなのには羽乃は、あげられないな。


もっと、誠実そうで真面目な人間に……。

僕以上の人間に、



「それな!ザ・お似合いって感じ!」


「あ、え。ははは……」



なんか、陽キャ達が寄ってたかって僕に同意を求める。


もう、乾いた笑いしか出てこない。


てかお似合いって……僕ってイケメンなのは確かだけど羽乃の可愛さには、釣り合わない気が……。



その後も羽乃との関係を根掘り葉掘り聞かれ、少し経っても居座り続け、僕は彼らの対応に追われた。


まぁ、根掘り葉掘り聞かれたというよりは勝手に妄想されて、反論する気にもならずに、笑って過ごしただけなのだが。



話を左耳から右耳に流して聞いている最中、少し目に入ったのだが、羽乃が満足そうに頷き、微笑みながら僕の方を見ていたのは何でだったのだろう?


なんか、また企んでるのか?


悪寒がするよ。




が、以外にもそれは杞憂に終わり、疑問は早く解けた。




「結構!結構!着々と男子と仲良くなっていて、私は嬉しいよ!」



そういう事か、何かを企んでいた訳では無さそうだ。



「……なんで、母親目線みたいな感想なんだよ、」



学校からの帰り道、羽乃は嬉しそうに言った。


一緒に帰ってるのはなんでだろう、

考えても無駄な気がするので考える気はないのだが。


勝手に着いてこられてるだけで、僕には一緒に帰りたいという願望は一切無い。



「……ん?待って、」


「ん?なんだよ。」



いきなり歩いてた羽乃が止まる。


それに合わせて僕も止まる。



「もしかして、お兄ちゃんって、コレなの?」


そう言って羽乃は、手の甲を口元に添えた。

分からない人の為に言うとこれは、簡単に言うとホモを現す手話の1種だ。


やめてくれ。


僕は、そういう思考は尊重するが異性愛者だ。



「いや、違うが……」


「はぁ〜、良かったぁー。お母さん心配しちゃったわ、」


「だから、何でさっきから母親目線なん?」


「いいじゃん、お兄ちゃんと結婚して子供ができた時の練習だよ!」


ふーん、何言ってるかさっぱりだ。



もし、僕に母親がいたらこんな感じなんだろうか?


いや、こんな面倒臭い関わり方はしないだろう。


きっと、そうだ。



ふと、思う。

そういえば、僕の両親はどこにいるのだろうか?


生きているのかな?


誰かの影が脳裏を遮る。


そんなことを考えて、首を振る。


いや、これこそ無駄な事だ。


無駄なことを考えたら、意味の無いことに時間を使ってしまう。


居ないものは、居ない。


そうやって、割り切らなくちゃ前には進めない。


そうやって、事あるごとに無理やり記憶を押さえつけて生きてきたじゃないか。



そうだ、だから羽乃は妹だ。


だから、結婚なんて出来ない。


そう割り切って今日も僕は、二人で並んで歩く。

兄妹として、家族として。




僕らが歩いた河川敷は、落ちた桜が重なって、まるでカーペットのように地平線の見える先まで続いていた。



自分は、この作品の書き溜めをしていないので投稿頻度は不定期だということをお知らせしておきます。

(訳:ブックマークしといた方が良いんじゃない?)

(2023,7月9日、加筆修正済)


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