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5話  男子だけの部活に入りなよ、

君達は、学生の魂の解放の場をご存知だろうか?


“場”というよりは、活動と言った方が適切だろうか。




そう、想像の通り答えは部活だ!


部活と書いて青春と読む、なんて良く言うだろう?


この世の摂理だね、



部活から始まる恋もあれば、恋愛以外にも先輩後輩との熱いストーリが生まれる。



そして、そんな青春を求めて部活決めをする少年少女達がいる!


そして、ここにもまた少し違う理由で部活決めに悩む僕がいた。



---------------------



「お兄ちゃんは、部活決めたん?」



ある平日の夜。


学校にも慣れてきて、いよいよ色んな事が動き出す頃になった。



ベットの上で寝転がってスマホをいじっていると、隣で寝転がって漫画を読んでいた羽乃が聞いてきた。


へー、ベッド広いんだね、と思った人に言っておくが、通常のシングルベッドだ。


なぜか、日常の一コマのように羽乃がいるのは違和感だが、もう諦めた。


なんなら、僕の怠惰を身近で見てもらって蛙化して欲しいものだ。


蛙化については、諸説あるようだが、僕はさして興味なんかないので使い方が間違っていようがどうでもいい。



「まだ決めてない、」


「ふーん、決めたら言ってね?」


「……。ああ、決めたらな、」


「いや、決める前に何にするか教えてね?」


「…………。ああ、わかったよ」



言質を取って、攻めようとするも策士羽乃には通じそうにもない。


僕はわかりやすいんだろうか?



すると羽乃は、僕が一番恐れていた事を言った。



「私はお兄ちゃんと同じ部活入るから、」


「……え?なんでさ?」


「別に、」


「…………えぇ、」




なんでだよ……。


別に、なんて言われたら言い返せないじゃないか……。


確かに羽乃は、運動神経も良い。


空間把握能力に冴えていて、何のスポーツでも平均以上でこなす。


だから、何の部活に僕が入っても付いてこれると思っているようだ。


だが、僕には名案があるんだな…。


男女別れる種目か男子のみの種目に入れば、羽乃は付いて来れまい!


ふふふ、これ考えた僕天才!褒めてください。黒田官兵衛並。


気付いていないようだな、この部活決めの真相に……。



「まぁ、私としてはお兄ちゃんが浮気して欲しくないだけだから、男子だけの部活をおすすめするよ、」


「……あ、そうすっね」



確かに、羽乃の目的は僕に女子が寄り付かない事だから、男子のみの部活に入ってくれることは本望なのか。



盲点だった……。


羽乃の方が一枚上手だった。


ん?一枚どころでは無いって?

やめてくれ、いよいよ勝てない気がしてくるではないか。




そして、会話は無くなり静かになる。


ゆっくりと夜は更けていく。


別にこういう雰囲気は、嫌いじゃない。


沈黙なのに苦しくない。


だから、苦しくない沈黙は好きだ。



窓から外を見る。


満月だ。


月明かりが、闇夜を照らす。


なんか、しんみりするな。

あんなに光を持て余しているんだから、僕の心も照らして欲しいものだ……。


なんて、意味のわからないことを考える。


あんまりポエマーしてると、皆さんが共感性羞恥を覚えかねないので、ここらでお暇させていただきますわ。



「ん!満月だね」



羽乃も気付いたようで、一緒に窓の外を見つめる。



すると突如、羽乃が僕に擦り寄ってきた。


まるで猫のように。


だが、猫のようにあやすことは出来ない。


直ぐに剥がして、首根っこを掴んで部屋を追い出す。



「なんで〜、いいじゃん少しぐらい〜」



良くない。


何故って僕の精神がすり減るからだ。


実際の彼女だったら、頭でも撫でてやるが、そうはいかない。


血は繋がってなくても、妹だということは変わりない。



「どうせ、もう妹でも義妹でも無いんだから気にしなくて良いのに!」



そう言われて、ドキッとする。


たった今、言い訳にしていたことが全て正論で否定された。


とは、言っても、羽乃に惑わされていては僕には一生青春がやってこない。


こんなところで迷っていたら、いよいよロクでなしのシスコン野郎だ。


そうならない為にも、僕は羽乃を家族以外として認めない。



「あと、別に血が繋がってても妹を撫でてあげる兄なんて沢山いるよ!」


「僕は撫でなかった、それだけだ。」


「ケチー、」



ブーブー言ってくる羽乃を適当にあしらいながら、考える。




何の部活に入ろうか……


僕は小学校からバスケをしていた。


中学も合わせて6年くらいだろうか、真面目にやっていた訳ではなかったので、特別上手い訳では無いが、中学は部活で忙しかったので色恋沙汰の欠片も無かった。


まぁ、今となってはやる気もないのでバスケ部に入る気は、あまり無い。


何か、新しいことに挑戦したい。



「どうしたものか…、」



僕の呟きは、騒いでいる羽乃に届くことも無く独り虚空に溶けていった。

ちな、作者は文芸部という名の帰宅部のルーキー兼エース。

バスケは頼くんくらいやっていたが、ダルくて辞めた。あれは、紫原(黒子のバスケ)も言っていたが身長が高ければどうにかなるスポーツです。あと、性格悪いやつ多いし…

(2023,7月9日、加筆修正済)

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