38話 きゃぴもん
今日は珍しく、昼休みに羽乃が来なかった。
委員会の仕事が入ったらしい。
それを伝える旨のLINEが、訳分からん、ハートを持った猫(正確には猫に似た何かキモイ生物)のスタンプと共に送られてきた。
なにこのスタンプ、キm……
「なんだよ?変な顔して。きゃぴもんみたいな顔してんぞ?」
「……な、なに?きゃぴもんって?」
「おい、知らないのか。今まぁまぁ有名なキモカワ系チーターのマスコットだぞ?」
「いや、知らんがな……」
まさか、僕は流行に疎いのだろうか。
まぁ、どうせ羽乃も知らないだろう……
ん?まさか、、このLINEスタンプって、まさかねーー……うん。
「ん?どうかしたか?」
「いや、なんでもない。さっ!食べよう!」
羽乃がいないので、久しぶりに雄一郎と昼飯を食べる。
「愛妻弁当だな、」
「いや……」
「否定しないあたり、こりゃホンモノだ。」
僕の弁当を覗き込んで雄一郎は言う。
愛妻、っていうのは違うが、雄一郎の言う僕の愛妻は羽乃のことだろう。
だから、根本的には間違っているが、雄一郎の言っている意味では、間違ってはいないのだ。
「雄一郎こそ、美味そうじゃん」
「お?そうか?」
高校になると、給食から弁当に変わるので、なんとなく、その人の食生活が透けるものだが、雄一郎の弁当は見事に彩り豊かな美味しそうな弁当だった。
食生活の乱れなんか微塵も感じない。
「雄一郎の弁当こそ愛妻だったりしてな!」
「そんな訳ないだろ!これは……家族が作ってくれたんだ!」
熱血な反論に少しツッコミたくなるのを抑えきれずにツッコむ。
「妻だって家族だろ?」
「おぉ、確かに!」
まぁ、お母さんあたりが作ったのだろう。
いいねー、母親の手作り……
まぁ、僕としては、そういうのは割り切ってるから、ほんのりとしか憧れは感じないから、いいんだけどね。
その後、世間話をしながら昼ごはんを食べ進めていく。
ふと、話のネタが切れてきた頃になって、雄一郎は深刻そうな顔で僕に尋ねてきた。
「あ、あのさ。」
「ん?」
「……驚かないで聞いてほしいんだ。」
「あ、あぁ、」
「食事中の人とか、家族と読んでる人とかは一旦ブラウザバッグして欲しいんだ……」
「な、なにを言ってるんだ?」
「いや、こっちの話だ。」
雄一郎は意を決したように、言った。
意を決した割には、小声で僕に耳打ちするように言う。
「近親相姦って……」
「は?」
その言葉に思わず、まぬけな声が出た。
もし、その単語を知らない人がいたら、知らなくても困らないので調べないでね!!
「なに、いきなり?」
「……いや、実は、、」
その話を聞こうとした途端に、雄一郎の肩に手が乗せられる。
「ひっ!」
「なにー?ひっ、って?やめてよ、私がおばけみたいじゃん?」
あ、雄一郎の彼女さんだー。
相変わらず、仲良さそうだ。
時々見る、このカップルはつくづく仲良いのだと感じさせる程に、仲睦まじいように見える。
「る、瑠花?どうしたんだ?今日は、俺は友達と昼飯を食べると言っただろ?」
おぉ、ここへ来て、新情報。
どうやら、自演乙君は、彼女さんと毎日昼ごはんを食べていたらしい!
いいじゃない!いいじゃない!
「うん!そうだけど、つまんなくて来ちゃった!!」
「実はな、俺は今、頼と大事な話をね?」
「えー、でもでもー!」
どうやら、雄一郎のガルフレは雄一郎とお話したくて仕方ないらしい。
とてつもなく、彼と話の続きをしたいが、今日のところはお預けでいいだろう。
彼女さんに譲ってやろう。
「いいよ、俺のことは気にしなくて。話はいつでも聞くからさ!」
「いや……」
「気にすんなよ!」
これぞ、友達!
男……否、漢の友情だ!
彼女さんに譲ってやるってのが、漢ってもんさ!
そんなこんなで、雄一郎は瑠花さんに連行されていった。
少し経つと、話し相手の居なくなった僕のとこに、我が姫がやって来た。
「頼!委員会終わったよ!」
「お疲れ様、羽乃」
「うん!頭撫でる?」
「いや、大丈夫だ。」
いつものノリに、少し微笑みが漏れる。
ところで、雄一郎は一体なんだったのだろうか?
いきなり、あんな話……
近親相姦が良くない理由ってのは、法律とかじゃなくて遺伝子的に……とまぁ、そんなこと知ってても仕方ないのだが……。
「ねぇ、このスタンプ可愛いでしょ?」
「ん?可愛いくはない。むしろキモイが?」
「えーー!じゃあ、キモカワでしょ?」
「いや、カワ要素は無いな……」
「えー、可愛いと思うんだけどなぁ〝きゃぴもん〟」
…………。なっ!?
お前だったのか!!
てか、お前!チーターだったのか!?
なんて話は、また別の話。
こんにちわこんばんわんわん……久しぶりの投稿です。




