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28話 新学期の話


時間の流れとは早いもので、待てと言っても待ってはくれない。


そんなこんなで、あっという間に春休みを経て、新学年だ。



羽乃(うの)に起こされ、制服に着替えてからリビングに行く。



「おはよ、羽乃」


「う、うん。おはよ、(らい)…」



春休み中は、好きな時間に寝て、好きな時間に起きる、朝食も自分勝手に食べていたからか、学校が始まり、羽乃が僕を起こしに来たことさえ、久しぶりな気がする。


心做しか、朝食の匂いもなんだか懐かしい。


羽乃は、と言えば、春休みの間も規則正しい生活を貫き、怠惰の限りを尽くした僕は目も向けられなっかたのだが……



「なんか、今日歯切れ悪くね?」


「い、いや!そんなことないよ!心配しないで!!」




なんか、変だ。


歯切れが悪いのはそうなんだが、なんだか行動に落ち着きがない。



今も棚の角に足の小指をぶつけたようで、うずくまっている。


一瞬、駆けつけそうになるが、踏みとどまる。


駆けつけたら「そんなに私のこと心配してくれるなんて!……」となりかねない。


だから、立ち上がったのを見てから、平静を装って聞く。




「だいじょぶか?」


「いてて、うん!全然ダイジョーブ!!」




……ホセくんみたいな返事が返ってきたが、ほんとに大丈夫なのだろうか。


てか、本当にさっきから言動がおかしい。


昨日の夜は、至って普通だった。


こうなったのは、僕が起きてから、リビングに来るまでの間だ。


僕を起こしたときは、いつもの調子だった。


だから、その間になにかあったのか、それとも何かを思い出したのか。



結局、何を聞いてもはぐらかされ、学校に着くまでわからずじまいだった。



じゃあ、学校に着いたら分かったのかって?


ああ、それはハッキリと。



羽乃は学校に近づくにつれて挙動不審になっていったので、学校になにかあるのだろうと思っていたが…



『新学年クラス』と書かれた張り紙を前に、その挙動不審は最高潮に達した。


ああ、なるほど。


一年のときは、父さんに僕と同じクラスであることを告げられていたから落ち着いてるまであったが……今は父さんはいないし、理事長にも話は行ってない筈だ。

だから、やけにおかしかったのか…なるほど。

まあ、でもあの理事長のことだ、僕と羽乃は同じクラスだろう。


何故か、僕には言葉にできない確信があった。


なんか、逆に同じクラスじゃないと説明がつかない気がする。

だって、そうだろ?

僕と羽乃を繋げるのに大きな力になってくれた一人は、間違いなく理事長だ。



ふと、羽乃が膝から崩れ落ちた。


ん、


んん……?



唐草頼の文字を一組に見つける。

下に下っていっても、藤崎羽乃の名前は見つからない。

それどころか、視線を彷徨わせると、羽乃の名前は六組にあった。



「あ、あのさ…もしかしてさ、」


「う、うん」



僕は羽乃を見る。

ここで僕はある事実に気付いた。

羽乃も気付いたようで、冷や汗を垂らしながら、僕を見ていた。

お互いが同じようことを考えている気がする。



「……羽乃って、理系?」

「……頼って、文系?」



綺麗にハモった。


これが合唱だったら、コンクールで金賞レベルだ。嘘です。合唱舐めんなって話ですよね、


隠す必要もないので言うが、僕らの学校では二年のクラス分けは文理で分かれることになっている。


いや、大抵の進学校はそうだろう、

羽乃が少しふらりとよろける。



「だから、不安だったんだよぉ!お兄ちゃんは数学できるから理系だと思いこんで、決めちゃったけど……よくよく考えたら、しっかり聞いてないなぁ、って!!」



朝から羽乃の調子がおかしかったのはそういうことだろう。


怖くて、聞くに聞けなかったらしい。


そういえば、僕も文理を決めるときに、何も考えずに決めたっけ……、



羽乃の言う通り、僕は数学が得意だし、理系科目に抵抗はない。


でも、将来の付きたい職業から考えてみても、僕にとっては文系の方が有利と考えた。



「私の青春……終わった、」



そう言って、羽乃は今度こそ本当に地べたに座り込む。


そして、公衆の面前であることなど忘れたのだろう、頭を抱えて、この世の言葉には聞こえない何かををぶつぶつと言っている。



周りを歩く人からしたら、彼氏と同じクラスになれなくて嘆いている女子に見えているのだろうか。


いや、僕的には宇宙人と交信している、なにかの狂信者にしか見えないのだが。


去年までの僕だったら、一人心のなかで、どんちゃん騒ぎだったろうが、今の僕はとてもそんな気にはなれなかった。



なんだかんだ言って、僕も羽乃に依存していたのだろう。


羽乃のいない生活が……



やめよ、

こんなことを言ったところで、自分の考え方も、これからの人生も変わりやしない。


こんなことを考えるのなら、これからのことを考えたほうが得策だ。



「ホームルーム始まっちゃうよ、行こ?」



僕が座り込む羽乃に声をかける。


すると、羽乃は顔をぐりんと回して、僕を見る。


そして、言った。



「頼は私のだから……」



ひぇっ、怖っ!?


なんか、いきなりメンヘラ彼女みたいなこと言い出した…、




クラスに向かう玄関も異なるようで、その場で羽乃と別れる。

羽乃は最後の最後まで僕の腕を離そうとしなかった。


別れてからも恨めしそうに、僕を見ながら歩いて行った。




あんなにも最初は望んでいた、自由が目の前にあるのに、なんとも言えない感覚だ。


心にぽっかり穴が空いてしまったような、


海の先を見た、エ○ン・イェー○ーってこんな気分だったのかも…、




話しかけると返ってくる声は無く、

ふとした隙に自分の腕が取られることも無い。


どうなんだ?

唐草頼。

本当にこれで?



「はっ、たかがクラス替えだ。違うクラスってだけだ。何を……」



何を、僕はこんなにも落ち込んでいるのだろう?


分からないまま、僕は小さく歩き出した。



道路に落ちた桜の花びらは、まるでカーペットのように僕が歩く先に続く。

僕は独り、そのカーペットを早足で歩く。

誤字脱字多いと思われるので、報告しれくれると嬉しいよ!!

報告するのは面倒くさい…と思ったら、誤字脱字は無視して「まちがえててわろた」とか思いながら本作を楽しんで頂けると、人生の娯楽の幅が広がるかも!!!うん!!

【ホセくん】出典・クレヨンしんちゃんオラの引越し物語 サボテン大襲撃

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