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24話 絶えない疑問

ふと、理事長から貰った手の中の紙切れと自分のスマホGPSの場所を照らし合わす。



「え、ここ?」



目の前に広がるのは、学童というか、分校のような小さな施設。


閑静な住宅街に佇む、見方を変えれば豪邸にも見えなくもない建物。



まぁ、金閣より銀閣の方が好きって人もいるから、こういう単純な作りの豪邸を好む人なのかもしれない……山岸さんは。



ふと、庭(?)で走り回る2人の男女と目が合う。


男女というよりは、子供達と言った方が適切な気もするが。

僕や羽乃より歳が十は若いように見える2人。



僕と目が合うと、少し睨んでから、走って建物の中に逃げるように入っていく。



というか、羽乃って兄弟がいたのか……。



あ、いや従兄弟どかかもな。


こんな大きな家に住んでれば、3世帯ぐらいは住めそうだもんな……。




僕は少し緊張しながら敷地に足を踏み入れる。



少し普通とは違う、でもどこかで蹴ったことのあるような砂が靴と擦れ合う。




先程の子供たちが逃げるように入っていったドアの前に立つ。


見たところインターホンの類があるようには見えない。




こういう時はどうすれば良いんだ?


ごめんくださーい、か?はたまた、すみませーん?いや、失礼しますの方が良いのかも?


失礼します、は一番違うか……



今になってインターホンが身近にあることに感謝を覚える。

文明の利器は、怖いぜ。




結局、



「すみませーん!」



と言う。




すると、ドアが開き、中から一人の女の人が顔を覗かせる。

少し太った体型の、言うならば、優しそうなおばさん的な女性だ。




「なにか御用ですか?」




案の定、どこか安心するような声音で僕に聞く。


でも、言葉には少し警戒心のようなものを孕んでいるのが感じられた。


そりゃそうだ、知らない人、ましてや一人の男子高校生が家に訪ねてきたら、誰でも訝しげな反応をするだろう。



彼女は、羽乃の親戚だろうか?



いや、それとも母親か?


もし、母親だったら……、




「……えっと、」




ここで僕が言うべきは何だろう?



まるでゲームのように選択肢が浮かぶ。



羽乃を呼ぶか、羽乃の父親を呼ぶか。




そうだ。


僕は羽乃を取り返しに来たんだ。



羽乃に会うのは取り返してからで問題ない。




「あの、山岸さんは……」




あ、待てよ。



ここは山岸家か、それなら皆山岸さんかな?



これは恥ずかしい、


あれだ、家族がぞろぞろ出てきて、

「「「「呼んだ?」」」」

みたいになるやつだ……、




「えっと、ご主人様はいますけど?」




ん、伝わっただと!?


これは、ありがたい。


いや、待てよ。

ご主人様ってのは、誰だ?



いきなり、RPGに出てくる長老みたいな人の目の前に立たされても、何も出来ないぞ?




「えっと、ご主人様に何の御用が?」




ん〜、待てよ。


さっきから、待たせまくってるが、ここで大きな疑問だ。


ご主人様ってことは、この女性は使用人ってことか?


やっぱ、豪邸で金持ちか……、




「えっと、折行った話と言いますか、……少し、言わなくてはならないことがあるというか、」


「……まぁ、ご主人様は忙しいので出来るだけ早く話を終わらせてくださるのであれば、問題は何もありませんが、」


「勿論です!」




そんなに長く話してられる相手でもない。

さっさと、羽乃をお持ち帰りしてやる。



ふと、何か思いついたように使用人らしき女性は動きを止める。




「あ、えっと、もしかして藤崎さんですか?」


「僕ですか?」


「ええ、違ったら申し訳無いのですが、」


「まぁ、藤崎なのだと思います。」




まぁ、今の苗字は唐草だが、


元は藤崎だ。




「あ、それなら話は聞いておりますよ、」




話は聞いている?

どういうことだ?


待てよ、僕は来ることを予期されていたのか?


うーん、解せぬ。




「では、こちらに……」




そう言って僕を連れて使用人らしき女性は階段を登る。



ん、待てよ。


『待てよ』って、今回何回言ってんだ?


よかったら、数えてみてね!!


いやいや、そんなことよりさ……。



子供多くね?




部屋のドアから沢山の子供たちが僕を、吟味するように睨む。




え、なんなの?


理解追いつかん、





やがて、理解する問題だとしても、今は理解できそうにない。


でも、僕の物語は進み続ける。



やがて、迎えるエンドロールに向けて。


次話は、羽乃視点で少し時間軸を戻して……。

(2023,7月12日、加筆修正済)

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