表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/44

18話 発情してんじゃねえよ、


「は?」


いやいや、何を言っているんだ?


義父さんは、別に健康そうだったぞ?


いや、交通事故ということか?


でも待てよ、確かに、ここ3日くらいは家に居るのを見てない。


そんな事しょっちゅうあったから、気にも止めてなかったが……。


義父さんが、珍しく早く帰ってきてた日が最後か…顔を見たのは。




「どういうことですか!?」




羽乃が、先生に詰め寄る。


てか、担任は僕と羽乃の親が同じ人物であるということを知っていたのか……。


やはり、義父さんが手を回していたんだな。




「いや、私も詳しいことは……」




可愛い羽乃に詰められて、少し顔を赤くして担任はたじろく。


発情してんじゃねぇよ、殺すぞ。



おっと、感情が昂ってしまった。


まだ、僕は現実を信じていないからかもしれない。




「詳しいことは病院に行って!タクシー呼んであるから!」




僕の殺気に反応したのか、焦ったように担任は告げる。



僕と羽乃は、担任に頭を下げて、走って下駄箱に向かう。




「どういうことっ!?」




羽乃は、相当焦っているようで顔を青くして走って外に向かう。



でも、思いのほか僕は落ち着いていた。


まぁ、僕より羽乃の方が圧倒的に義父さんと関わる時間が多かった。


なんせ、羽乃にとっちゃ本当の親で、僕の事を相談出来る理解者でもあったのだろう。


僕には、義父さんがいる必要と言うのを正直あまり感じていない。



そうだな。


実感が湧かないのは、信じられないからじゃない、信じたくないからでも無い。


興味が無いからな気がする。




「なぁ、羽乃。」


「なに?」




タクシーに詰められた僕は羽乃に聞く。




「義父さんは、僕達に何をしてくれたんだ?」




僕は聞いた、羽乃にした事では無くて、僕達にしてくれたことを。


羽乃が黙る。


もしかしたら、羽乃も分からないのかもしれないし、分かっていて言わないのかもしれない。



そのまま、タクシーは公道を駆ける。


僕は何も感じないことに少し恐怖しながら、何かに恐怖したような少女を傍らに置いて。



羽乃が恐れているのは何だ?


僕との縁が切れてしまうことでも、恐れているのか?


いや、別に切る気はないし、羽乃が縁を切らせてくれるとは到底考えにくい。


とすると、義父さんが死んでしまった時に羽乃が恐れているのは……、




「ねぇ、お兄ちゃん……」




ふと、揺れる車内で、羽乃が震えた口調で僕に話しかける。




「あのさ、お義父さんが死んでも……私って家族だよね?」




は?


今更何を言ってるんだ?


待て、僕と羽乃は家族なのか?


苗字が違うじゃないか、そもそも羽乃が僕と結婚する為に家族の縁を切ったんじゃないか……。


どういうことだ?




「それは、僕と家族かってことか?」


「……違う、お義父さんと、」




待て。


いよいよ、意味が分からない。


どういうことだ?


そりゃあ、親が死んでも子は子だろ。



でも、羽乃の言い方は考えがあるようにしか思えない。


何か僕の考えてることとの大きな相違点がある気がする。




「そりゃあ、家族だ。」


「だ、だよね。私は、藤崎でいられるよね……」




なんだ?


この違和感は、まるで羽乃が藤崎では無いかのような言い方じゃないか。


羽乃は、義父さんの子供だろ?


そしたら、死ぬまで、いや死んでも義父さんの子供だということは当たり前だ。


じゃあ、どうしてそんな事を聞く?



僕に一つの仮定が浮かぶ。


仮に、羽乃が義父さんの子で無いとしたら?



いや、分かってる。


そんな事ありえないだろう。


だって、そうだ……僕が義父さんの子供じゃなくて羽乃が義父さんの子供なんだ。


血が繋がってないってのは、そういうことを言うんだ。


血が繋がってない?


まさか、僕と羽乃と義父さんは、全員血が繋がってないということか?



ダメだ、分からない。


整理ができない。




「私さーーーー」




羽乃が何かを言おうとした時、僕達を乗せたタクシーは病院に着いた。


病院に着いて、意識が違う方に向いたのだろう、羽乃は急いでタクシーを出る。


僕は先生に渡されたお金でタクシーの会計を済ませて、羽乃を追う。



案内された病室に駆け込む。



鼻を劈くような、病院特有の匂いがする。


何か、嫌な思い出のあるような匂いだ。


ベットに横たわって、静かに目を瞑る男性は、いつもの締りの悪い義父では無く、どこか指導者のような面構えであった。



ふと、ベットに横たわる姿が誰かと重なる。


それは、遠い記憶のような感覚の。





知らない女性が僕の頭を撫でる。


そして、微笑む。


知らない人の筈なのに、懐かしくて気持ちが和らぐ。


いつも、ベッドにいた女性は僕の唯一の愛してる人間だった。





何だ?


息が苦しい。


何なんだ?


僕の思い出?


いや、違う。


僕じゃない誰かの記憶?


いや、そんな漫画みたいな事あるわけ……。




同じ電子音が部屋に響き渡る。


途切れの無いその音は、何かを思い出すには酷く五月蝿かった。

総合ポイントが40を超えて嬉しいです。

読んでくれる方々に感謝感謝です。

ハッピースマイル!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ