16話 真面目に考えた僕が馬鹿でした。
「結局、帰宅部か……」
「じゃあ、私も帰宅部だね!」
僕達はバスケ部を体験してから、結局入らない選択をして帰路に着いていた。
理由は様々だが、一番はバスケをする気にならなかったということだ。
まぁ、長い間やるってのは難しいことさ。
それと、僕がバスケ部に入ったら、この物語がスポーツストーリーになっちまうだろ?
そりゃ、勘弁
「……なんか、嬉しそうだな、」
「んふふ、分かる?」
僕が良い部活を見つけられなかったことで凹んでいるのに、羽乃は嬉しそうに僕の隣を歩く。
「帰宅部だと良い事があるんか?」
純粋な気持ちで、嬉しそうにしている羽乃に、その理由を尋ねた。
「分からないの?」
「ん?ああ、」
本当に分からない。
部活をしないで帰るなんて考えてもいなかった事だ。
強いて言うなら、、、
「勉強を多く出来るとか?」
「……まぁ、それもあるけどさ!あるじゃん!もっと、有意義な時間が!」
はて、早く帰って出来ること?
睡眠とかか?
真面目に考えても分からんぞ、
「もったいぶらずに教えてくれよ、」
「そりゃあ、私とお兄ちゃんがイチャイチャ出来る時間が増える!」
はぁ、真面目に考えた僕が馬鹿でした。
それからは、特に中身のない話をする。
やがて話題はなくなり、僕達は黙って家に向かう。
沈黙が心地良い。
友人と帰る時は何か話題を見つけなくてはいけない義務のような物があったが、羽乃と帰る時はそれが無い。
そういう意味では良いパートナーかもしれない。
まぁ、パートナーと言っても兄妹的な意味だから、勘違いしないでくれよ。
家に着いたら、珍しく義父の車があった。
「ん、お義父さん帰ってきてんの?」
「ホントだ車がある。」
なんだ、体調でも崩したのか?
いつも、帰ってくるのは日を跨いでが多いから違和感がある。
嫌な予感というか、変な気分だ。
よく考えてみたら日を跨いでまで何をしてるんだ?
労働基準法引っかかりまくりじゃないか?
そんな、なんとも言えない胸のモヤが取れないまま家に入る。
「ただいまー!」
「ただいま、」
「お帰り、」
リビングから帰ってきた声は、いつも通りだった。
早く仕事が終わったのだろう。
その後も特に何も無く一日が終わった。
変わった点といえば、食卓にいつもより一人分多くの食事が並んだことぐらい。
案の定、義父さんは、早く仕事が終わったというだけだったらしい。
奇妙な違和感は何も無かったかのように、薄くなって消えた。
でも、いつだったか言っただろ?
嫌な予感ってのは当たるんだって、
数日後、授業中に担任に呼び出され、廊下に出た。
その時には、義父さんが早く帰ってきた日のことなんて、すっかり忘れていた。
担任は、なんとも言えない複雑そうな表情で僕と羽乃に言った。
「君達のお父さんがお亡くなりに……」
くらりと頭の中で何かが歪んだ。
(2023,7月10日、加筆修正済)




