10話 妹看病イベント
「お粥ってどうやって作るんだ?」
少し前に見た恋愛漫画でヒロインが、看病のためにお粥を作っていたから、それを模倣してお粥を作ろうと思っていたが、どうやら一筋縄では行かないようだ。
そもそも、作り方すら分からない。
というか、鍋で作るのか?
いや、炊飯器で作れるのか?
……?
わからん、こんな時はG○ogle先生だな。
普段は、羽乃がご飯については準備をしているから、皿の場所もよく分からない。
義父さんはお察しの通り、料理なんて微塵も出来ない。
ちなみに、僕も同様に料理は得意では無い。
いや、良くないと思うよ?
それこそ、男性は料理を女性に任せるみたいな、日本の良くない構図を縮小したような家だってことは、理解してる。
でも、最初は僕も義父さんも、羽乃を手伝ってたんだよ……。
でも、そのうち僕達を遥かに凌駕する速さで羽乃は、料理スキルを会得してしまったんだよ……。
なろう系主人公並みのスキル会得スピードだったよ…
果てには、僕らは自由の身さ。
ネットでお粥の作り方を調べたら、鍋で作るレシピが沢山出てきたが、どれもこれも大変そうなものばかり。
やる気なんて消え失せて、逃げ道を探す。
「ん!そうだ!カップ麺が有ったような…」
いや、病人にカップラーメンを食わせるのは馬鹿だよな……。
どうしたものか、
今になって、料理を勉強しようとしなかった自分を呪う。
羽乃を今でも手伝い続けていたら……。
いや、どのみちセンスが無くて、壊滅的だったと思うが。
「買ってくるか……」
もう、打つ手は無くなっていた。
結局、僕は近所のコンビニに向かうのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おーい、羽乃?お粥買ってきたよ?」
ノックしても返事が無かったので少し不安に思っていたが、羽乃は静かに寝ていた。
少し安堵している自分がいたが、返事がなくて不安に思うのは当たり前だ。
別にこの感情は異常なものではないと、心に言い聞かせて、部屋の奥へ進む。
少し前に羽乃の部屋で寝た時は、しっかり部屋を見ていなかったから特に気にしなかったが。
こうして、見渡すと完全に女の子の部屋だ。
なんというか、色合いが。
「ゴホッゴホッ、」
「おぉ!」
部屋を見渡してたら、羽乃が咳き込んだ。
ビックリさせんなよ……。
部屋を見渡してたことを咎められているようで、びっっっっくりしたじゃないか。
「ん、お兄ちゃん……」
「お、おう……起きたか、大丈夫か?」
すると、咳で目が覚めたのか羽乃が、虚ろな視線を僕に向ける。
え、なんか可愛いんですけど?
何ですか?
この犯罪してる気分になる状況は?
手錠はモザイクでお願いします。
「うん、多分へいき、」
「お、おお良かった…」
なんか、いつもの元気が無くて可愛い……。
いつもこのテンションだったら、結婚しても良いかもしれない。
いや、何を言ってるんだ……。
何度も言っているが、僕らは兄妹だ。
そういえば何の脈絡もない話をするが、僕と羽乃の誕生日は同じという設定だったが、本当はいつなんだろう……
おそらくは、別の日なんだろうが…、
あとで、義父さんに聞くか。
余計なことを考えて、羽乃についての悩みを曖昧にする。
「お粥買ったから、」
「ん、ありがと。」
なんでだ?
なんで、こんなにしおらしいんだ?
おかしい!こんなの羽乃じゃない!
羽乃ってのは、もっと悪魔みたいに笑うんだ!
こんな、純真無垢な笑い方はしない!
しない!しない……ぃ、筈!
「えっと、僕は部屋に戻るよ?お粥はここに置いとくからーーーーー」
「まって、」
え?
なんすか?
待つんですか?
待つんだな?!ウノ?!今、ここで!!
「ここにいて、」
あ、はい。
うん。
辛いよね、風邪の時は独りは心細いよね、
分かるよ。その気持ち。
そうして、30分が経った。
僕は静かに寝息を立てる羽乃の顔を凝視しながら、ベット横の椅子に座っていた。
何をしてるんだ?僕は……。
いや、何もすることがないからこうしてるのか。
羽乃の顔を見ていたら、30分がいつの間にか過ぎていた。
危ない、危ない……。
ん?
見惚れてたかって?
ハッハッハ、馬鹿言うんじゃないよ。
まさか、いくら可愛いからと言って義妹に見惚れるほど、僕も落ちぶれちゃいないよ。
じゃあ、なんで見てたかって?
だから、言ったじゃないか……することが無かったからさ!
「ねぇ、」
「うわっ!」
一人で理解不能な自問自答をしていたら、羽乃が起き上がって僕の顔を覗き込んでいた。
近い、近い!
息がかかりましたよ?
すると、羽乃が僕の手を取る。
羽乃の手が、とてつもない高温の熱気を放っている。
まぁ、風邪の時は不安になって、人肌恋しくなるって聞いたことあるし……。
仕方なく、羽乃の手を握り返す。
「ど、どうした?」
「あのさ、薬取ってきてくんない?」
「お、お安い御用さ!」
顔を近ずける羽乃を、無理やり離して立ち上がる。
いや、正確には立ち上がろうとした。
羽乃は、それに従うように再び横になったのだが、僕の手を離さない。
だから自然と腕を引っ張られる形になり、結局椅子に座りなおす。
えっと、手を離してくれませんかね〜?
「薬は、どこにあるんだ?」
「えっと、ね〜……」
「ん?どこだ?」
「……」
「…………。」
え?!
寝た?
は?
寝た?
マジかよ、寝たのか?
僕の手を掴んだままだぞ?
薬は、良いのか?
ダメだ。もう疲れた……。
諦めて椅子に座りなおす。
何故か学校行ってる時並に疲れた気がする。
結局、どこにいても羽乃に振り回されるのは変わらないようだ……。
羽乃を見ていたら、僕も少し眠くなってきた。
看病する立場の人間が寝ていいのか?
なんて、思いながらも意識は深層へと消えていく。
疲れたから少しだけ……
てか、女の子の手ってこんなに柔らかいのか……。
次は全力で飛ばします。戦場を駆けるランスロットやドムの如く。
余談ですが、余談でした。
(2023,7月9日、加筆修正済)




