善得寺城へ向かう日が決まりました。
今日は朝のお勤めと朝の修練も終えた後に来客が有った。
小笠原 長高がやって来たが私の顔を見るなり多分役に立てないと謝罪をして来た。
まあ、理由はわかる…
お屋形様には武田家への対策の為に信濃国の小笠原家へ使者として同じ小笠原家である長高を使者として送る事を提案したけど、長高は父親である【小笠原 貞朝】により廃嫡されて長高の弟である【小笠原 長棟】が家督を継ぐので信濃国から出奔して今川家に仕えるようになった。
信濃国小笠原家の現当主は長棟であり長高の弟だ。
廃嫡された兄と家督を継いだ弟の関係は当然最悪なので長高が使者を出しても良い結果にはならないだろう…
長高は私に小笠原家の事情を説明して一生懸命努力する事を告げられた。
私は長高に対し今回は信濃国小笠原家と今川家が接触していたという既成事実作るぐらいの気持ちで良いと告げたら長高はホッとした表情になった。
話し合った結果、私が書状を書き長高の長男である【小笠原 春義】が 使者として信濃国小笠原家へと赴く事になった。
私は書状を書き長高へ渡し、無理はしないようにと告げて長高を見送った。
長高と入れ違いにお屋形様からの使者が来て急遽今川館へと向かう事になり今川館に着くとすぐに大広間に通された。
直ぐにお屋形様が姿を見せて商人【友野 二郎兵衛】とその息子である【友野 次郎右兵衛】を紹介された。
二郎兵衛、次郎右兵衛たちと善得寺城と吉原城と田子の浦湊の拡張について話し合い城下町開発の事までに話は発展していった。
次郎右兵衛が職人たちを率いて一緒に善得寺城へと向かう事になっているそうだ。
私は善得寺で修行をした身なのであの辺りの地形は頭に入っている、二郎兵衛、次郎右兵衛もあの辺りの地形は頭に入っているらしくどう開発していくか話に熱が入っていたが、お屋形様が咳払いをしたので我に返りお屋形様を無視していた事を謝罪した。
お屋形様からは3日後に善得寺城へと向かうようにとの命令を受け、お屋形様は退席した。
善得院へと戻る時に次郎右兵衛も一緒に行動し、善得院で開発の話の続きをする事になった。
善得院に戻ると九英承菊が戻って来ており名前が【太原 崇孚】になっていた。
興津水軍から結構な人数を得る事が出来たとの事。
崇孚の母親は【興津 正信】の娘であり、その縁から今回正信の次男である【興津 親久】と息子である【興津 正道】とその配下が私の所に来てくれる事になった。
親久はもう隠居して正道に家督を譲っているので親久は私の相談役となる予定だ。
これで吉原水軍設立に目処が立った。
これを聞いた伊丹 雅勝と向 正重は目を輝かせている。
崇孚もせっかくいるので松永 久秀と松山 重治も交えて次郎右兵衛と私の領地の開発について話し合いを始めた。
善得寺城周辺は湧き水も豊富なので造り酒屋も数件あるのでそのまま清酒造りが出来るようだ。
次郎右兵衛に西側の富士川の治水と東側の浮島ヶ原の治水をしたいと言ってみたが、次郎右兵衛から予算が足りないし、かなりの年月をかける事業になると告げられたが治水が終わればかなり石高があがるだろうとも告げられた。
富士川は堤を築けば良いが浮島ヶ原は平坦地で低湿地で沼が多い為に浮島沼とも呼ばれており、海岸線に並行して流れる沼川はとても緩やかな勾配の為に極度に排水が悪い。
私は皆に沼川は田子の浦湊へと流れ出る河川で沼川には途中で何本もの河川が合流する為、雨が降ると沼川が氾濫するので浮島ヶ原の水を排水する為に沼川の途中から水路を作り海岸へ排水する計画を述べた。
崇孚、久秀、松山 重治、次郎右兵衛も治水に対して私に意見を色々と述べ、皆で討論をした。
討論の結果、浮島ヶ原の治水は有効と判断し次郎右兵衛が二郎兵衛に話を持って行き、二郎兵衛にも認められたらお屋形様へ話を持って行ってもらう事になった。
もちろん私が善徳寺城、吉原城、田子の浦湊を開発、発展させてからの話になる訳だが…
私からお屋形様へ報告するより商人である二郎兵衛からどれだけの利益になるか伝えた方がお屋形様も治水に力を入れやすくなるだろう…
何をするにも銭が必要か…
そう言えば毛無山に富士金山が有ったはずだ!!
次郎右兵衛に富士郡に金山は存在するのか問うたら無いとの事。
まだこの時代には開山してないのか?
次郎右兵衛に山師を手配出来ないかと問うたら手配出来るとの事なのでお願いした。
次郎右兵衛は早く行きたいですね!!と子供のようにウキウキしながら帰って行った。
次郎右兵衛が帰った後、皆に3日後に善得寺城へと向かう事になったと告げた。
夜のお勤めと夜の修練を終え今日もゆっくりと眠る、
寝てると夢男が夢に現れた。
どうやら富士金山の正確な位置を知りたくて色々と考えてしまった為のようだ。
夢男はこういう時に俺を呼べ!!と私に言う。
しっかりと富士金山の正確な位置は調べておいたからとウキウキしながら私の頭に手を乗せる。
すると私の頭の中に富士金山の位置がしっかりと入っていた。
ついでに椎茸は金になるからと椎茸栽培に関しての詳しい情報も同じ方法で私の頭の中に入って来る。
覚えなくても勝手に頭の中に入ってきて記憶されるので凄い便利だ。
私はめちゃくちゃ喜んで夢男にお礼を言ったが夢男は私が喜んでいるのを見て嬉しそうに笑っていた、
最後にいつでも俺を頼ってくれと言い残した。
俺は前世に頼りにされた事が無いから頼りにされると嬉しいと言っていた。
ありがとう!!夢男。
でも夢の中では顔を認識しているはずなんだけどやっぱり目を覚ますと夢男の顔と名前は思い出せなかった。