善得寺城主になって、もう1年です。
領内の水田では農民たちが田植えを行なっている。
もう善得寺城城主になって1年か…
お屋形様に新年の挨拶の時に興国寺城に有力な家臣を入れて欲しいと要請したがお屋形様からの使者が数日後には善得寺城へと訪れお屋形様からの書状を渡された。
書状には興国寺城とも連携が取れるように私の家臣を入れるようにと書かれていた。
また松野城の荻 清誉から私の直臣になって支えになりたいと申し出があったそうで荻一族を家臣とするようにと書かれていたので清誉を私の家臣とし、改めて松野城を任せる事にした。
私の家臣で興国寺城を任せらそうなのは松山 重治か松永 長頼の2人だったが重治は僕にはまだ早いから〜と断られたので長頼に任せる事にした。
すぐに興国寺城へと向かってもらい、田植え前に領地の水田の改善をしてもらった。
これにより善得寺城、吉原城、興国寺城、松野城の水田はほぼ改善されさらに肥料もこの1年で改良し、この肥料を領土全域の田畑で使用する事になった。
農閑期の農民と常備兵を体力、筋力強化として動員した為、沼川から海岸へ浮島ヶ原の水を排出する為の水路は完成して浮島ヶ原から水が排出されていったが今年の田植えまでに水田として整備出来なかった。
もう少し水が排出されたら水田として整備を始めるつもりだ。
出来ればもう1本水路を掘りたいな
浮島ヶ原が水田となればかなり石高が上がるだろう。
夢男のお陰で色々な道具を開発出来た。
夢男が私に見せた絵は翌日、起きてから紙に私が書くのだが普段は絵心なんて無いのにこの時だけはしっかりとした図面になる。不思議だ……
大八車、猫車、千歯扱き、手押しポンプなど作られたがこれらの物により生活が変わった。
道の整備をしなくてはならないが整備した道では大八車のお陰で輸送力が大幅に上がった。
今のところ整備した道は善徳寺城と吉原城と田子の浦湊だけだがもっと道を整備したいと思っている。
千歯扱きは前回の収穫の時に試作品を試したが脱穀が楽になったと好評だったが夫を亡くした未亡人たちの収入源を奪う事になるので代わりに未亡人たちが働ける仕事を用意した。
幼児がいても働けるように乳飲み子や幼児を預かる保育所を作り、未亡人やお年寄りを雇って乳飲み子や幼児の世話をしてもらったが中々の好評だった。
しっかりとこちらで身元を確認してから雇い、問題有る行動を取る者はすぐに解雇するので大きな問題は起きていない。
乳飲み子や幼児の世話をする者の収入は中々良い為、応募者は結構多い。
要望で保育所の規模を拡大した結果、未亡人たちもどんどん働きに出るようになり人手不足もかなり解消された。
今まで村の隣人たちで助け合っていたが乳飲み子や幼児の世話をする者も収入を得る事が出来るのでお年寄りも孫に小遣いをあげれると喜んでいる。
手押しポンプはまだ数が少ないが善得寺城と吉原城と田子の浦湊の井戸に数ヶ所設置してある。
最初に設置した手押しポンプを使用した家臣や使用人は簡単に水が汲める為、興奮していた。
太原 崇孚は善徳寺の井戸にも設置するように要請して来たので設置した。
……一応、井戸の水汲みも修行の一部ではないのですか?
田子の浦湊の手押しポンプは商人たちの観光スポットになっているそうで友野 次郎右兵衛の元に問い合わせが多いというが生産量がまだまだ少ない為、今の所一般への販売はしない。
もちろん、ちゃんとお屋形様にしっかりと献上している。
お屋形様と母上は普段はもちろん水汲みなんてしないが楽しんで井戸から水を汲み出していたそうだ。
今川双頭家老の三浦 氏員殿と朝比奈 泰能殿の2人もお屋形様と手押しポンプで水を汲み出しており、手押しポンプを売って欲しいと催促が来たので職人に設置しに行ってもらった。
最初の1つはお世話になっているので無料で渡す事にした。
次からは買ってもらいます。
田子の浦港へ出かけようと城門を潜ろうとしたら目の前から葛山 氏広殿がやって来た、
ふと、皆からよく氏広殿を手押しポンプの前で見かけるという報告が有ったのを思い出したので、氏広殿にもし良ければ葛山城に手押しポンプを設置しましょうか?と尋ねたら食い気味に、是非お願いします!!と言われてしまった。
いつに設置出来るのか!!
氏広殿はいつもの穏やかさは鳴りを潜めて私に怒涛の質問攻めだ。
私は小姓の瀬名 勘十郎に職人の元に確認の為に走らせた。
しばらくすると勘十郎は職人と共に走ってやって来たので職人にいつ葛山城へ手押しポンプを設置出来るかと尋ねたら命令が有れば今からでも向かえます。との返事、氏広殿を見ると目がお願いします、お願いしますと目で訴えているので即刻葛山城へ手押しポンプを設置するように命令した。
氏広殿は私に何回もお礼を述べた後、職人を連れて去って行った……
相当、欲しかったようだな。
後日、職人から聞いた話によると設置後には氏広殿は井戸の側におり、水を汲みに来た者に対し自ら笑顔で手押しポンプで水を汲み出していたそうだ。
職人が戻って来る時に氏広殿に挨拶をしに行ったら手押しポンプを磨いていたそうだ…
喜んでくれて本当に良かったよ。