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お屋形様に新年の挨拶です。

新年の挨拶の為に今川館に今川家重臣たちが一斉に集まり、その中に私もいる。


お屋形様から有難いお言葉を頂き、その後はお屋形様自ら家臣たちに清酒を注ぐか餅を与えながら話しかける。


今年からの今川家の行事となったが概ね好評だった。


この行事はお屋形様と母上との雑談の中で出た話で、とある大名家では…と話を濁しているが元ネタは毛利家である。

【毛利 元就】は家臣と会う機会が有ると酒を与え、下戸の者には餅を与え声を掛けたという。


お屋形様と母上はその場で今川家でも採用する事を決定した。

今川家では年に1回の新年の時のみとした。


お屋形様自らが清酒を注ぐのは家臣たちにとって名誉である事だ。

中には涙を浮かべて喜んでいる者もいた。


私はお屋形様から餅も頂いた。


今日は久しぶりに善徳院にお泊りで明日の午後はお屋形様と母上とプライベートで会う予定なので私は太原 崇孚と共に向かう予定と伝えてある。


福島 正成殿、岡部 親綱殿、瀬名 氏貞殿に相次いで会い皆、成長した息子たちの変貌ぶりに驚いていた。


ほぼ毎日、鬼教官の柳生 家厳の元で修練をしているからね…

私も含めて。


私もかなり身体付きがガッシリとして来たのでひょっとしたらそろそろ斬撃が飛ばせる事が出来るかも…

まだまだ諦めていないから。


今回は私に崇孚、家厳、世鬼 政棟、富士 信忠、福島 元成、安部 元真、朝比奈 元智と小姓の岡部 五郎兵衛、柳生 新介、瀬名 勘十郎のメンバーで駿府まで来ている。

善得寺城は松山 重治に任せてある。

大林 勘助、間野 時秋、興津 親久がいるから問題は無いだろう。


私を呼ぶ声がしたので振り向くとそこには今川双頭家老の朝比奈 泰能殿が笑顔を見せながら近づいて来ている。


朝比奈 元智は泰能殿の声にビクッと身を竦めている。

どうやら元智は泰能殿を苦手にしているらしい。

泰能殿は私と少し話した後に元智の背中をバチバチ叩きながら喋り掛けているが元智の顔は引きつっているな…


泰能殿と元智の話が一段落した所で私と泰能殿は情報交換を始めた。

遠江国、三河国の情勢を泰能殿から聞き、政棟からの情報を照らし合わせるがほぼ同じだ。


松平 清康が尾張国へ勢力を伸ばしているとの事だ。

泰能殿がお屋形様から許可を得て、密かに援助して織田 信秀の力を削いでいるとの事だ。


ここで泰能殿は話を止め、1つ質問があると言い出し私に質問した。


数年前に私が信秀より先に山科 言継様と飛鳥井 雅綱様を駿府に招いて朝廷に献金をし、蹴鞠会を開催した。


それにより、信秀が計画していた公家を自分の領地に招き朝廷に献金をし、大掛かりな催しを成功させる事により自分の力を尾張国内に見せ付ける計画が潰れた。


尾張国の国人たちから見たら、信秀が今川家の真似をしているようにしか見えないからだ。

まあ、言継様、雅綱様も駿府での接待に満足して帰っており、信秀からの要請を断ったので二番煎じも出来なかったのだが。


計画を潰された信秀が怒りを爆発させているのを泰能殿の配下の者が掴んでおり、泰能殿は私が信秀の力を付けさせない為に信秀の計画を知って計画を潰したのではないか?と問われた。


尾張国で今一番の力を持っているのは信秀である。

さらに力を付けたら可愛い弟の今川 氏豊に攻撃を仕掛けるかもしれないので力を付けさせない為に行動に移したと答えた。


やはり、泰能殿は今川双頭家老と言うだけ有って見た目は大雑把で脳筋なのに有能だな。


どうやら泰能殿も以前から信秀の存在を危険視しており配下の者を尾張国へ潜り込ませていた。

信秀が怒りを爆発させているのを蹴鞠会の直後には把握しており、そこで私がわざと信秀の計画を潰したのではないか?と思うようになり、お屋形様に許可を得て信秀の力を削る為に清康に密かに援助を始めたという流れになると言う。


清康の勢力が大きくなってもあまり気にしていないようで勢力が大きくなったら援助を止めれば良いだけの事。

今川家に仕掛けて来たら三河国に攻め込むだけと考えているようだ。


完全に泰能殿は信秀と清康を争わせて両方の力を削ぐつもりで動いているな。


泰能殿は私から聞きたい事を聞いて満足したのか、また今度ゆっくり話そうや!!と言い去って行った。


さて、善得院へと戻りゆっくりしますか。

流石にもう朝と夜のお勤めはしていないが朝と夜の修練はしっかりと行なっている。


今日はよく寝てまた明日頑張ろう……



はいっ!!おはようございます!!


朝の修練を終え、朝食を食べた後は小姓たちの教育だ。

信忠、元成、元真、元智も小姓たちと一緒に仕事が無いので今日はしっかりと崇孚を講師として勉強してもらう。


まあ、私も一緒に勉強するけどね…

やっぱり身体を動かす方が好きだな。


午後になり約束の時間に間に合うように皆で今川館へ向かう。

今川館で私と崇孚は一室に通され、お屋形様と母上を待ってあるとすぐにお屋形様と母上が現れた。


プライベートでの面会なのでここからは氏輝の兄上、もしくは兄上と呼ぶ事にする。


下手にここでお屋形様と呼ぶと兄上は拗ねてしまい、話が出来なくなるので要注意だ。


最初は雑談をしていたが話は河東の話になり今の状況を説明した。


田子の浦湊に地方より商人たちがやって来るようになり田子の浦湊は活気に溢れており、景気も良い。

それに伴い、善得寺城、吉原城周辺は今開発が進んでおり人々も仕事を求めて集まっており賑やかだ。


今年、農業改革をしたお陰で手を加えた水田に関しては他の水田より1割から2割収穫量が増えたので今年は全ての水田に手を加える事にする事が決まっている。


富士金山の開発も順調で生産量は徐々に増えて行っている。

そろそろ兄上に富士金山を警備する兵の派遣をとお願いしたのだがもう少し待ってくれと言われてしまった。


甲斐国に近い垪和 氏堯の深沢城、葛山 氏広殿の葛山城、富士 信盛の大宮城、荻 清誉の松野城、蒲原 氏徳殿の蒲原城の守りを強化し、連絡を密にしている事でかなり河東の地は安定して来たと伝えた。


また、興国寺城に有力な家臣を入れれば、より河東の地は安定するとも伝えた。


兄上は考えておくと言って次の話題に移った。

話は終わり、善得院へと戻り明日の朝に善得寺城へと帰る事にする。
























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