全ての始まり。
お久しぶりです!
鋼の国、帰ってきました!また1話目から始めることになりましたが、是非、最後まで、その結末を見届けてください!
相変わらずの短さです。
この世界はかつて、圧倒的な技術をすべての国が保有していた。
しかし、その技術を得た事による戦争で、ほとんどの国が滅んでしまった。今では、新たに連邦、帝国、中立国など、ある程度の纏まりを持った勢力になっている。
そして、その中の一つ。連邦。彼らは古き技術を、「人類が持つにふさわしくないもの」として、すべて捨てた。しかし、そう簡単に全てを、何処かへ消すことができるわけもなく…
連邦は、とある小国の有する、巨大な処理場へと流した。
その処理場には、処理しきれないほどの技術が流れてきたのだ。
その中には、大型兵器…魔導機と呼ばれるものも含まれていた。
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この国の地下には、鉄くずの処理場がある。それは、誰もが知る事実だ。親の世代…それよりもずっと前から稼働を続けている。誰が作ったのかも分らぬ程に昔から存在している。処理場本体に行くまでのラインは、国の地下に蜘蛛の巣のように、放射状に広がっている。
俺の家は偶然にもその軌道上にある。ラインには稀に昔の大型兵器が流れてくることがある。大半は、腕だけ、足だけなどバラバラの状態になっているが。
今日は運良く、コクピット周辺、胴体部分が流れて来ていた。俺は、その中に存在する動力源のコアを求めていた。
生活の資源にも使えるし、何より家族の夢に近づけるからだ。
大型兵器のコクピットハッチから入り込む。シート部分を引きはがす。そこに空いた穴にあるハッチを開ける。そこにお目当ての物がある。
今回は本当に運が良かったみたいだ。この兵器は動力源を4つ搭載している珍しいタイプだった。手早く外して行く。外側に用事は無く、内側にある魔導核と呼ばれるエネルギー源に用があるのだ。魔導核を外し、鞄に入れたら今回の用事は終わりだ。
戻ろうと振り返り唖然とした。そこには、手に入れば御の字程度に考えていた、投影装置があったのだ。
投影装置とは、機体の制御をするために使う装置だ。自分の眼に直接風景を写し、戦闘状況を確認しやすくできる。カスタムすれば、もっと使い勝手が良くなるらしい。
そして、唖然としたのはもう一つの発見だった。少女がいた。気を失っている。銀髪。俺とそう変わらない年齢。白いワンピースを着ている。
しかし、そんなことよりも不可解なことがあった。
この少女、どこから現れた?
そこは、俺が入ってきた所。何もなかった所だ。
少女にそっと触れる。生きている。だが、ここに放置すれば、処理場に一直線。見殺しには出来ない。
体を揺さぶり、目を覚ますか試してみる。反応がない。担いで逃げるしかない、そう思った。体重は、俺でもしっかりと持てる重さだった。
魔導核を入れたウェストポーチを、腰側に回す。少女を両手で持つ。所謂、お姫様抱っこだ。転ばないよう足場を選び、家の地下へと向かう。ラインはまだ動かない。素早く、慎重に。
家の地下は2分ほどで着く。何事もなく、無事に着いた。地下には昔使っていたベッドがある。使わなくなってからも定期的に掃除はしていたから大丈夫だ。
ベッドへと少女を寝かせる。俺と同じくらいかと思えるが、年下のような気もする少女だった。少女は静かに寝息を立てていた。
地上部にある倉庫へと行く。そこにあるのは、ずっと前の世代からラインを流れるもので、造られてきたという大型兵器風の移動用機がある。ようやく先代で外側が完成し、あとは操縦席を完成させればいいだけになっていた。投影装置を操縦席の全面に装着し、魔導核を座席の後ろにある円形の穴にはめ込む。あとは、システムを入力すれば、いつでも動かすことができる。
少女はあの日から3日後に目覚めた。辺りを見回し、俺を見つめる。少し笑ったような気がしたが、気のせいだと思う。
「貴方が助けてくれたの?」
少女はそういった。
「そうだよ。俺は、ソハン。君は…」
そこまで言って、彼女にどう見つけた時のことを言えば良いのか分からなくなる。
「私…?私は、リアン。まだぼんやりしているけど、それだけは分かる!」
彼女、リアンは力強くそう言った。
「よろしくね、ソハン」
これが、すべての始まり。
世界を巻き込むとある出来事の発端。