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私は私の道を行く。 構って貰えなくても結構です! 【完結】  作者: 梨子間 推人
第二幕 夜の闇を駆け、明日への光に向かう、私の疾走。
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17話 光溢れる朝日の中に見える『白銀の城』。 御心を決めた、高貴な姫様は、崇高な武人の元に。 未来の御義姉様を見守りつつ、王都に凱旋する、私。


 時間は夜明け前。 チラホラ梢の間から見えていた星々も、その姿を淡くさせている。 月も落ちた。 闇が深くなると同時に、東の空が黒から藍色に変わりつつある。 そのうち、青くなり、地平が赤く染まるだろうね。


 清冽な森の空気を胸一杯に吸い込み、隷下の皆に作戦の終了を告げる。



「ご苦労だった。 森の安全は図られた。 民の安寧は護られた。 諸君の献身の賜物である。 マロン=モルガンルース龍爵として、皆に感謝を。 さぁ、戻ろうか。 帰還する」



 安堵感が部隊に広がる。 森の中の小道を行軍し、森の端に向かう。 途中、残念な事に骸となってしまった王国兵の遺骸も回収する。 丁寧に余剰の布に包み、持っていたであろう剣や槍をその上に置く。 静かに、速やかに、森を去るのよ。 後は、この地の者達に任せよう。 もう、私達に出来る事は、何も無いのだからね。


 樹々が疎らとなり、森の端に到達した。 見知った歩兵第一軍の指揮官が、目聡く私達を見つけられ、駆け足で近寄ってこられたの。



「御無事でしたか」


「作戦は終了。 上位魔物は掃討。 森の安全は確保致しました。 『 巣 』 を、一つ発見いたしましたので、コレを殲滅致しました。 王宮には 報告済み に御座います」


「そうでしたか。 では、我等は……」


「包囲線を解かれても問題は無いかと。 上官殿とご相談される事、推奨いたします」


「有難く…… おや、そちらは負傷兵ですか?」



 前鞍に乗るリリーア殿下の姿を見て、彼はそう云う。 えっと…… バラしたら大変な騒ぎに成りそうね。 誤魔化しちゃおっと。



「負傷兵、及び、亡骸を馬車にて移送しております。 御対処願いますか? こちらは、我が隊の者ですので、お気遣い無く。 我が隊は、王宮の指示により、サミュエル街道経由で、王都、王城馬場へと帰還いたします」


「了解した。 では、また、何処かで」


「”貴官、及び 貴官隷下の貴隊 ”の、武運長久を祈ります。 」




 簡易的な情報交換を済ませ、負傷兵と兵の亡骸を彼等に渡し、サミュエル街道への道を進む。 来たときは違い、ゆっくりとした移動速度でね。 機動猟兵の皆だって、疲れちゃったわよ。 ずっと【身体強化】を纏い続けていたんですものね。


「マロン…… 有難う」


「はい? 何についてでしょうか?」


「あの兵に、私が何者かを明かさずにいてくれました」


「混乱は避けるべきかと。 殿下は仰いました。 騎兵に紛れたと。 つまりはお忍びに御座いましょ? 表面に出れば、『王族親征』となり、出撃に時間がかかり過ぎると、その様な思召しであったのでしょ? ならば、最後までと思いまして」


「有難う。 そうね、その通りよ。 ……そう云う事にして置きます」



 あぁ…… これ、何も考えていなかったな。 今までは、思いのままに行動されていて、周囲に与える色んな軋轢やら手順やらをすっかり無視されておられたのね。 危機危急の場合は…… まぁ、ね。 でも、第三王女としての立場ってモノが有るのだから。


 きっと、キツイお叱りを受けるわ。 ええ…… 国王陛下も、何らかの罰をお与えに成るかもしれないわね。 王太子殿下も護っては下さるだろうけど、今回のヤラカシは酷いから…… さぁ、どうなる事やら。



〈 姫様 〉


〈 如何した 〉


〈 龍爵ヘーゲン卿が、サミュエル街道と、小道の会合点にてお待ちです 〉


〈 早いのね。 もう少し、時間が掛かると思っていました 〉


〈 念話通信の封鎖解除と同時に姫様の『ご希望』をお伝えいたしました所、あちらの行軍速度が倍加致しましたので 〉


〈 まぁ、そうでしたの。 では、此方も急がなくては 〉




 『夜鳴鶯(ナイチンゲール)』の報告で、もう既に ちい兄様がお待ちであると判ったの。 では、こっちも頑張って合流地点に向かわないとね。 アマリアに申し付けて、疲れている猟兵達を出来るだけ急がせて、サミュエル街道との会合点に向かう。 本当なら、乗馬に鞭を入れたい位よ。 


 ――― ちい兄様に、色々と、文句を言う為にね。


 朝日が輝く早朝。 天空は闇が払われ、西方に少々暗い空が残る頃。 私は、前方に朝日を背に浴び、静かに佇んでいる、西方辺境伯 猟兵団 第一軍団 第一大隊の姿が見えた。 連なる 儀礼装甲(パレードアーマー)が、朝日を浴びてキラキラと光り輝いている。


 巨躯を押し包んでいる、装備にも増して、彼等から醸し出される『 鬼気(覇気) 』が、周辺を圧倒している。 まさに、今しがた戦闘を終えた実戦集団の『 鬼気(覇気) 』だった。 そちらに行く先を向けている、私の遊撃猟兵団 二個中隊も、きっと同じような 『 鬼気(覇気) 』を、纏っているんだろうな。 私達は前面に朝日を浴びてはいるけれど、装備は第一種戦闘装備。 暗い色の皮鎧だから、彼方ほどキラキラしている事は無いんだけどね。


 先頭に一際大きな騎馬と騎乗する人が見えた。 ゴブリット兄様だね。 あの巨躯は、戦場に於いてどれ程、心強くある事か。 動く『白銀の城』と呼ばれる所以ね。 『西方伏龍』の異名は、なにも、その容姿だけじゃないんだもの。 あの偉容を誇る上に戦闘力は、ちい兄様たった御一人でも、中隊戦力相当に値するなんて、ほんと冗談にも成らないわ。


 前鞍で、リリーア殿下が小さく震える。 


 愛しい人に会われた、乙女の姿そのものに、微笑ましいと思うのは、不敬に当たるのだろうか? 距離が詰まり、ちい兄様と相まみえる。 (メティア)の庇に手を当て、肘を張る。




「遠き王都まで、ご苦労様です。 ゴブリット=モルガンルース龍爵 ヘーゲン卿」


「出迎え、ご苦労。 マロン=モルガンルース龍爵 フェベルナ卿。 久しいな」


「ほぼ、一年振りに御座いますね」


「健勝そうで、何より。 聴くに、森を『 掃除 』したようだな」


「そちらは、王都への伺候前に、少々『 寄り道 』ですか?」


「 はっはっはっ! 」

「 フフフフフっ! 」



 たった、これだけで通じ合える。 どんなに文句を垂れようと、そう身構えていても、ゴブリット兄様の御顔を拝見すれば、はい、この通り。 他の方からはとても、『そう』は見えない、ご機嫌なご様子。 ちい兄様の『 鬼気(覇気) 』は、見る者に畏怖と恐怖を与えるからね。 そんなちい兄様、ふと、私に抱えられている方に、視線を向けられたの。




「負傷兵か。 大事は無いか?」


「…………ご、ゴブリット様」


「ん?」




 リリーア殿下が、テンパって変な受け答えをされている。 まぁ、そうなるかな。 そっと耳元でお声がけするの。 ” (メティア)と面覆いをお取りください。 ” ってね。 小さく頷かれ、そっと装備の一部をお取りに成ったの。 まぁ、その御様子を見ておられたゴブリット兄様の渋い顔ったらね。


 私は、内心、大爆笑してたのよ。


 ひらりと騎馬から下馬される ちい兄様。 すぐさま、背後の大隊の騎兵が同じ行動に移る。 (メティア)と面覆いを外し、小脇に抱えられ、左ひざを街道の石畳に付き、右手を胸に押し当てられて、深く首を垂れられる。



「シェス王国 王家、第三王女に在らせられます、 リリーア=サルド=ブラーシェス殿下の御前に。 西部辺境伯家 ゴブリット=モルガンルース龍爵 に、御座います。 足下にて御尊顔の栄誉賜りし事、感謝申し上げる。 愚妹、マロンが不敬、御寛恕いただければ幸いに存じます」


(こうべ)を…… 頭を上げて下さい。 ゴブリット様」




 深く頭を下げている ちい兄様にそう、語り掛けるリリーア殿下。 私は、リリーア殿下の馬周りだから、馬上から失礼しているわ。 えへへへ、初めてこんな形になった。 一生に一度の事だろうから、存分に馬上から見てよ。




「何故に殿下が愚妹の騎馬に? そもそも、愚妹は森にて戦闘していた筈では?」


「わたくしは、陛下に直言し、一騎兵として、この擾乱に立ち向かいました。 ……森の奥で進退に窮した時に、マロンに救われたのです。 そして、王女として、マロンが部隊を率い、事に対処した…… そう、マロンとは話し合いました」


「愚妹が連れ出したのですか?」


「いいえ、違います。 わたくしの独断で、出撃準備中の騎士隊に帯同致しました。 一騎士として。 動ける者は、例え一騎であろうとも、『必要』であったと勘案した結果です。 此処は本領。 対魔物戦の専門家たる兵は居りませんから。 それに、国王陛下に於かれましても、僅か二個中隊の儀礼の為にやって来た猟兵に、『出陣の勅』を、出される事を躊躇(とまど)われておられましたから。 王家に連なるわたくしならば…… と」


「左様でしたか…… 無茶をなさる。 殿下の身に何かあれば、如何なさる御積りでしたか。 魔物には、人に斟酌する者は居りません。 ただ本能を以て動くのです。 マロンッ!!」




 目を怒らせて、私を睨みつけて来たわよ、ちい兄様。 えっ? そこ、怒るところ? 私、殿下を安全に王城に帰還して頂く様に、説得もしたわよ? でも、御聞き入れに成らないばかりでなく、反対に殿下の矜持を見せつけられちゃったんだもの。 


 小さく体を震わせているリリーア殿下。 ゴブリット兄様の本気の怒気に、ちょっと驚かれているのかな? まぁ、此処は一つ、お二人の未来の為に、” 愚妹 ” たる私が一肌脱ぐわ。




「お叱りは、後程、お聞きします。 ……ちい兄様。 お話は王太子殿下より承っております。 王城内に入ってしまえば、周りの耳を気にしなければなりません。 この場より、王城迄の間、リリーア殿下の御気持を、伺って頂きたく存じます」


「…………そっちにも、話は行っていたか。 兄上から聞かされても居たが、どうやら本当の事なのだな」


「ええ、お兄様。 この様な暴挙に出られたのも、その御気持もあっての事。 王太子殿下の ” 気概を証しろ ” と云う、思召しにお応えに成ったにすぎません。 方法はアレ(・・)ですが…… すべては、ちい兄様に御自身の気概を、民を護らんとする矜持を『お認め(・・・)』頂きたいと云う、御心内の発露であったと勘案致します。 わたくしには、リリーア殿下の、真の御宸襟は伺い知れません。 しかし、これだけは本心に御座います。 わたくしは、ちい兄様も幸せに成って欲しいのです。 殿下の御気持を受け入れる事によって、ちい兄様はもっと、民を愛される事に成りましょう。 よって、殿下を、ゴブリット兄様にお渡しいたします。 ……総員、礼を以て殿下の勇戦に感謝を‼‼ 騎馬隊下馬ッ! ” 親征の部隊(第三王女の槍) ”は、王女殿下をモルガンルース龍爵ヘーゲン卿にお渡しし、ここに通常の特任遊撃猟兵団に立ち戻る。 頭右ッ! 敬礼! 」




 リリーア殿下を下ろし、ゴブリットちい兄様にお渡しする。 そして、私達は、最敬礼を以て殿下に頭を垂れる。 中隊全ての猟兵が、『最敬礼』を以て、ね。  戸惑う、ちい兄様。 そんな、ちい兄様に近寄り、身体を預けられた殿下。 朝日の中、『美女と野獣』の邂逅と成った訳よ。 ほら、早速あちらの副官が、ちい兄様の騎馬に二人乗りの馬具を取り付けられているわ。


 フンフン。 よく躾けられている事。 そうよ、皆だって、ちい兄様の伴侶についてはとても悩んでいたんだもの。 このまま魔物戦を繰り返し、心荒むがままにすれば、ちい兄様自身が『悪鬼羅刹』と成ってしまうかもしれないって…… ちい兄様を愛し、ちい兄様の心を潤す誰か…… そして、ちい兄様ご自身が、愛する誰かが…… 必要なんだって事をね。


チラリと視線を、ちい兄様(ゴブリット兄様)の副官に投げ掛けると、小さく肩を竦め、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて此方を見てた。 心得ておりますとばかりにね。 はぁ~ 私が考える事なんて、なにもかもお見通しって事ですか、教務官殿(お師匠様)ッ! 


 ここから、王都迄、並足で行けば昼前位に着くかな。 その間、十分にお話してね。 ” 愚妹 ” からの、素敵な贈りモノ(時間)だから。 受け取って下さいな、ちい兄様。


 ちい兄様の大隊と、私の二個中隊はそのまま、サミュエル街道を東進して、王城へと向かうの。 あちこちに散らばる、王国の緊急招集兵達が目を丸くして、此方を見ているの。 まぁ、そうね。 壮麗なお兄様の大隊と、戦闘終了後の小汚い私の中隊が静かに進んでいるんだものね。


 まぁ、アレよ。 凱旋パレードって感じなのよね。


 儀礼装甲(パレードアーマー)を纏っている、ちい兄様だからね。 それは、それは、豪華なパレードに見えるのよ。 露払いを勤めましょうか。 何やら馬上でお話されている、ちい兄様と殿下はそのままにして置きましょう。 


 私は、戦塵に塗れた中隊の猟兵達と、ちょっとした困惑に包まれているのよ。 まさか、王都に戻るとは…… 思っていなかったし、そんな命令が下るとも思っていなかった。 儀礼的に王城外苑の大舞踏会に出席して、誰にも見とがめられない内に、王都を出るつもりだったんだから。 


 ……仕方ないか。 半ば無理矢理に指揮権を奪ったのは私だし、作戦の実行をしたのも私。 実際、要所要所への『ご説明(謝罪)』も必要だと思うのよ。 リリーア殿下だけで無く、私も相当…… ヤラカシタからね。


 国王陛下からの御叱責を戴くかもしれない。 でも、それは…… 織り込み済みよ。 予想外なのが、リリーア殿下が、あの森の中に居られた事。 お救い出来たのは、幸いだった。 本当に良かった。 きっと、母様が導いて下さったのよ。 そうに違いないわ。 


 サミュエル街道の向かう先に王都の城壁が現れ、王城の尖塔が見え始め、大喜びする王都の人達の姿と歓声が溢れかえる。 安寧は護られたね。 民の安寧は、護られたのよ。


 犠牲者には心が痛む。 王国の危機に立ち向かうのが仕事な人達ではあるけど、彼等の犠牲の上にある安寧だからこそ、護らねば成らないものだもの。 そうでなくては、命を懸けた人々に、不誠実になるわ。


 決して、貴方達の犠牲を無駄にはしません。 今までも、そして、これからも。





 ” どうか、どうか、安らかにお眠りください ”





      と、心から哀悼の意を奉じ、神様に祈りを捧げたの。









:シェス王国 王国学院大学 史学研究室 コーデリア=M=モルガンアレント、研究の為の覚書


考察が手詰まりになり、王都での文献では伺い知れない事ばかりになった。 私の仮説は、やはり幻想なのであったのかと、少々、残念に思う。


事態を打開したのは、思いもよらぬ場所から見出した文献。 


王国学院大学 史学研究室も夏には長期休暇に入る。 私も研究が壁に突き当たった事もあり、休暇を取る事とした。 遠く西部辺境にある実家に、顔を出す事とする。 弱小貴族とは言え、長期間王都にて、研鑽の機会を与えて下さったお父様が、私の顔が見たいと思し召して居られるらしい。


自家用魔導車のハンドルを握り、思考を練る。 西部辺境伯領にも、久しぶりに帰るのだが、豊かな畑は今も青葉を揺らめかせているのだろうか。 思えば、不思議な事であった。 マロン=モルガンルースの生まれる以前は、西部辺境伯領は不毛の土地。


赤茶け、荒涼とした大地が広がり、その向こう側に鬱蒼とした『西方魔物の森』が広がる、人が生活するには酷く過酷な土地であったと、記録にはある。 しかし、私の知る西部辺境伯領は違う。 緑あふれ、豊かな穀倉地帯が連なり、畜産も林業も活況を呈している。 シェス王国内も有数の豊かな土地。 シェスの食糧庫と呼ばれる場所だった。


そう呼ばれ始めたのは、研究対象者マロン=モルガンルースが生きた時代。


何が変わったのか。 何が切っ掛けであったのか。 そんな事をつらつらと考えつつ、魔導車を走らせていた。 御領に帰還し、家人と挨拶を交わし後、御父様に帰えった事を報告に向かう。 お父様は、その時、邸には居られなかった。 我が家に於いて、大切な祭祀があり、会場である公共墓所に居られたからだ。


私も祭事用に着衣に着替え、墓所に向かう。 子供の頃より、繰り返し、繰り返し、教え込まれた先人たちの慰霊。 フェベルナの地の礎となった方々への深い感謝を示す事は、我が家の家訓ともなっている。


公共墓所に於いて、お父様にお会いできた。 祭祀が終わるまで、深く首を垂れ、先人たちへの祈りを捧げた。 式次第も終わり、お父様と一緒に墓所を巡る。 幾世代も重ねたその場所には、多くの方々の墓石が立ち並ぶ。 古い墓石は、刻まれていた文字すら曖昧になっている程、遠い昔のモノでも有った。


墓所の一角に、殊更古い墓石群があり、その最奥に他とは違う、立派な墓石が一つ。


お父様と歩みを進め、その墓石の前に立つ。 『偉大なるフェベルナの礎』 そう、子供の頃より教えられて来た。 首を垂れ、祈りを捧げる。 ふと、思いついた様にお父様にお聞きした。 この場所に祀られているの方がどんな方だったのだろうかと。 風化が激しく、墓石に刻まれているであろう、文言は既に判別が出来なかったから。


お父様は呟く様に仰れる。


「 お前にとっても、血族に当たる、マスカレード=モルガンアレント様。 フェベルナの戦乙女だ」



お父様の口から紡がれた言葉に、衝撃を覚えた。 まさか此処で、マスカレードの名前を聞くとは思っても居なかった。 お父様の前を辞し、すぐさま墓所管理署に向かう。 古い記録を漁る。 そう、あの墓石の下に眠る人物に付いて、墓所の記録を確認するのだ。

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