レナ
時刻は午前11時半を過ぎたところ。
お昼ご飯も食べたし、御手洗も行ったし、準備は万端。
早めにログインするのはゲーマーの嗜みとは姉の言だが、今日はそれに習ってみようと思う。
……別に準備が早く終わっちゃって時間が余ったとかじゃないから
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『ハロハロー!!なの!
昨日ぶりなの!会えてうれしーなの!』
「おはよう。僕も会えて嬉しいよ」
『きゃーーー!!
そ、そんな事でミーは誑かされたりしないんだからね!なの!』
相変わらず、テンションが高い。でも、反応も大きいからついついからかいたくなっちゃうよ。
「あ、そうだ。まだ君の名前を聞いてなかったね」
昨日は初めてのゲームで興奮してたのかすっかり聞くのを忘れてたからね。ちゃんと聞いとかないと呼ぶ時に困っちゃうよ。
『!?ミーの名前…なの?
じ、実はミー達AIには固有の名前はないなの。ただ、識別用のナンバーが振られてあって、ミーは一応07番なの。』
……そう言えば彼女はAIだったね。それこそすっかり忘れてたよ。というか、話してて違和感が無いから寧ろAIって言われた方が違和感だよ。
「じゃあ、07番って言うのも何だか味気ないから07からとって“レナ”って呼ぶことにするよ。
それでも構わない?」
『レナ!すっごくいい名前なの!!
嬉しい!ありがとーなの!!
これはみんなにも自慢しなくちゃなの!』
そのみんなが誰だかはちょっと不安なところだけど、喜んでもらえたなら僕も嬉しいな。
『ミーは今日からレナなの!
カグヤはレナのお友達第1号なのだ!なの!
初めてのお友達!よろしくなの!!』
「お友達か。いいね、こちらこそよろしく」
僕も現実での友達はあまり多い方じゃないからね。例えゲームの中だけだったとしても、それが実在していないモノだったとしても、友達が増えるってだけでちょっと嬉しい気持ちになる。
『ところでカグヤ!まだサービス開始までちょっと時間があるけど、どうする?なの!この空間の中なら自由に過ごしてもらって構わないなの!』
自由に、か
「なら、せっかく友達になったんだし、記念に舞を見せてあげるよ。
………あ、その前に聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
『舞!?見たことないなの!!とっても見てみたいなの!レナが知ってることなら何でも答えるから早く見せて欲しいなの!!』
「ありがと。じゃあこの服って変えられたりする?舞をするのにこの洋服じゃあ、ね?せめて和服にしたいんだけどダメかな?」
そうなのだ。
今僕が着ているのは白いシャツに黒いパンツ。完全なる洋服。舞は出来るけど、はっきり言って見映えはしない。せっかく友達に見せるならちゃんと和服で見せてあげたいのだ。
『おぉ!それは盲点だったなの!
実は初期の服装は自由にカスタマイズ可能なの!ただし、見た目が変わるだけで性能はどれも同じなの!ちゃんと和服の型紙もあるなの!!
さっそくこのボードで衣装チェンジなの!!!』
流石はゲーム。そんな簡単に服が変えられるとは思わなかったよ。
レナが出してくれたボードを見るとまず、型紙を選択して、その後柄を選んだり色を変えたりするらしい。型紙をチェックして行くと、圧倒的に洋服が多かったが、和服もいくつかありその中から慣れ親しんだ型紙をチョイスする。そうなれば、色も決まっているので意外とすぐに終わった。
唯一、柄の部分で少しいつもと違う雰囲気にしてみたのはここがゲームだから。現実では難しいことも気兼ねなく出来るのはゲームのいいところだと思う。
そうして完成した服に着替えて、これまたレナに出してもらった鏡で最終チェック。
黒髪、黒瞳に合う見慣れた白衣に緋袴。つまりは巫女服だ。正式な舞を舞う時の衣装はこれとは少し違ったりもするけど、個人的にはこれが一番好きなのだ。ついでに足元も変更出来たからちゃんと草履も履いてるよ。
後は、緋袴の左の裾に金糸で狐をモチーフにした刺繍を付けたのがポイントかな。現実だと、そんなところに刺繍は出来ないから、ついやってみたくなっちゃったね。
我ながら、可愛らしく仕上がったと思うよ。
レナにも見てもらうと思った通り、随分とオーバーなリアクションで褒めてくれた。
準備も整ったし、新たな友人が出来たことへの感謝をこめて………
ランキング入ってるΣ(OωO )ビクッ!?
ありがとうございます!!
心からの感謝を(*TㅿT)
これからも頑張って書こうと思うので、応援よろしくお願いします(_ _)




