キャラクタークリエイト
『まずは、あなたのお名前を教えて欲しいなの!
あ、リアルバレ防止のために本名にするのはあまりオススメしないなのー』
なるほど、本名にするとバレやすくなっちゃうのか。でも、いきなり違う名前で呼ばれても多分反応出来ないし……よし、決めた!
「名前はカグヤにするよ」
『カグヤなのねー!
……おっけーなの!登録完了なの!
次は種族を決めるのなの!
この中から選んでね!なの!』
そう言って目の前に表示されたのは4つの種族とその特徴。
・人族
一般的な人間。ステータスは平均的。器用貧乏になりやすくはあるが、欠点も無いため安定している。初心者にオススメ。
・獣人族
獣の特徴を持った種族。MP、INT、MNDが低いため魔法が苦手。来訪者は犬人族、猫人族の2種類から選べる。
犬人族はHP、STR、VITが高く前衛向き。猫人族はHPが犬人族に比べると劣るものの、AGI、DEX、LUKが高いため、手数の多い戦闘が得意。
・エルフ
森と共に暮らす種族。スラリとした体型で色白。
獣人族とは反対にMP、INT、MNDは高いがHPやVITが低いため、立ち回りが難しい上級者向け。
・ドワーフ
鉱山で暮らす種族。低い身長にゴツゴツとした体をもつ。STR、DEX、LUKが高く生産をしたい来訪者向け。
なるほどね。それぞれ得手不得手があるから、自分のやりたいスタイルにそって決めろってことなのかな。うーん、でも何となくこれじゃないというか、僕がしたい事とちょっと違う気がするんだよね。
……おや?
「ねぇ、ひとつ聞いてもいいかな?」
『なになにー?なの!
何でも聞いてくれておーけーなのよー!!』
「ありがと。じゃあこの一番下にある“ランダム”って何?」
そうなのだ。この種族一覧の一番下にひっそりと書かれてあって、危うく見逃すところだった。
そんな風に書かれているからには何か理由があるのかなと思ってちょっと聞いてみたのだ。
『あ!気づいちゃったなのねー!
それは文字通り種族をランダムに決めるのなの!
ランダムにするとこの一覧には無い特殊な種族が出たりするんだけど、やり直しは効かないからやりたいことが決まっている人にはあまりオススメしないのなの。
でも、ミーはランダムで決まった種族を自分なりに工夫して遊ぶのも一興だと思うのなの!』
ふむふむ。本来最初に選ぶことができない種族になれるかもしれないけど、何になるかは分からないしやり直しも出来ないってことか。ちょっと相談してみよ。
「実はやりたいことはあるんだけど、ここにある種族はちょっと違う気がするんだよね。だから、ランダムにかけてみるのも悪くないかと思うんだけど、君はどう思う?」
『っ!?!?
そうだねそうだね!迷うよねっ!なの!!
ランダムで出てくる種族は扱いにくいものもあるけど、その分楽しさがいっぱいなの!
でも、やっぱり決めるのはカグヤちゃんなの。
やりたいって思ったことを自由に出来るようにこの世界は作られたんだもの。
だけどミー的にはそういうかけは嫌いじゃないなのよ!!』
そっか、そうだよね。
自分で決めなきゃダメだよね。
自分で決めてもいいんだもんね。
「……うん、ランダムにするよ。
ありがとう」
『ミーはなーんにもしてないなのよー!
じゃあランダムスロット、開始するなの!』
ポンッ
軽い音を立てて現れたのはピカピカと光る四角い枠にランダムと書かれた四角い箱。案内用AIが横についているレバーを下げると勢いよく文字が回り出した。
そして、回転が徐々に緩やかになり……止まった
パッパカパーン!!!
『おめでとーなの!
種族は妖狐なの!!結構レアな種族なのー!』
……妖狐?
「妖狐って妖怪じゃないの?」
『そうとも言うなの!』
そうとしか言わないんじゃないかなぁ〜
『でも、安心するなの!
住民達は来訪者の種族が何だろうとちゃんと個人を見てくれるなの!いきなり攻撃されたりとかは基本的には無いから大丈夫なの!』
何か不穏な言葉が混ざってた気もするけど、まぁいいや
『さてさてー!種族も決まったし、最後に容姿を決めるのなの!!
操作性に影響が出るからリアルの姿からあまりかけ離れた体型にはなれないので注意なの!』
そして、目の前に現れたのはシンプルな白いシャツに黒いパンツを着た自分の姿。ただし、雰囲気はゲーム風にアレンジされている様だし、種族のせいか少しツリ目気味になっていて、何よりはちみつ色の狐耳と狐しっぽが生えていた。
これだけでも、かなり現実の自分とは違うと思う。
『設定はこのボードでできるなの!
何か分からないことがあったらなんでも聞いて!なの!!』
どうやら目の前の自分の横にでてきた半透明のボードを使って弄るらしい。
いろいろやって見て分かったことは、まず耳としっぽは色が変えられないらしい。それは別にいい。
次に体型は先程言われたようにほとんど変えられない様だし、変えてみてもどこか違和感があるからこのままでいい。
そして、僕が一番変えたかったところは無事、変えることが出来た。
「できたよ」
『おぉーーー!!!
すっっっんごくかわいいー!!これでご飯3杯いける!!!……ゴホン
とっても可愛いなのー!
じゃあこの容姿で登録完了するなの!
以上で、キャラクター作成は終了なの!
お疲れ様でしたなの!
次に会う時は、サービス開始の時なの!
またねーー!なの!』
「こちらこそ長い時間、ありがとう
またね」
布団から起き上がり、ヘルメットを外す。
一度深呼吸をして、目を開いた。
「楽しかった、な」
まだゲームは始まってもいない。
でも、あの空間はとても心地よくて、楽しかった。
「明日が楽しみだ」
この後、思ったより時間がかかっていて夕飯に遅れた僕をニヤニヤした目で見ている姉さんにやっぱりさっき感じたのは気のせいだったのでは無いかと思ってしまった僕なのでした。
長い!思ったより長い!
そして、ゲームが始まらない(*TㅿT)




