完全勝利でした
はいはいはーい。本日実況を務めます白ブタ、じゃない。美女ことミシェルだよー。
……現実逃避しすぎだ、これ。
でも考えて欲しい。想像して欲しい。
悪意1000%の人たちに絡まれ、最推しは下を向き、メンヘラは威嚇してド修羅場な状況を。
「伯爵家ご令嬢様が不細工侍らかして金にでも困ってんのー?」
「ふふっ、そんなことを言っては駄目ですよ。彼らぐらいしか相手にして貰えないのでしょう、きっと。」
「なるほどな。そんだけ中身は腐ってるってことか。」
私のことはどう言われても良いけど、流石に昼前の大通りは人も多い。バトルしようぜっ!ってなったら被害は計り知れない。
そして前世の私は間違いなくある意味腐ってた!正解だよ黒ブタ!なんで分かった!?
って違う。こんなツッコミしてる場合じゃない。
仕方ない、元推したちのお相手してあげましょう。
「テメェらっ!ミシェル様の悪口言ってんじゃねぇよ!」
このメンヘラ君が暴れる前に。
「ははっ、アレンの次はこんな不細工捕まえたのか。」
「頭でもおかしいのですかね。伯爵家もさぞ苦労しているんでしょう。」
「んー……あれじゃない?体の相性が良いだけとかー?」
……言い返そうと思ったんだよ?
いや、ほら、あんまりにも低脳過ぎて一瞬ポカンとしてしまったんだよ。
コイツら一応貴族だよね?お貴族様だよね?
勉強したことあるの?なさそうだね。めんどくさぁっ。
「貴方たちは学ぶ、ということをご存知ないのかしら。」
「はぁ?なぁに言ってんの?」
「私が何も調べず、貴方たちのお相手をしていたとでも?甘く見られたものですわね。」
元推したちよ。君たちは知らないのだ。沼にハマったオタクという名の私の怖さを。
最推しのためなら悪魔にでも魂を売るんだよ?
……まだ魂は売ってないけど、その他は色々手回し済みである。
「シーボルト伯爵が娘である私が何の対策も取らないと思ってらっしゃったのでしょう?」
「だから何だと言うのですかね。」
「ふふふっ。こう見えて現国王とは懇意にさせていただいておりますの。」
王城の魔石への魔力補給とかね。非番の従業員に向かわせて恩は売ってるんだわ、実は。
お小遣い稼ぎになるから従業員も喜んで行ってるから問題はない。
「昨日の貴方たちの態度に私は深く傷つき、王都を離れることも考えましたわ。」
「じゃあさっさと出てけば良いだろ。」
「えぇ。そうね。」
「ミシェル様っ!僕を置いていくんっスかァァ!?」
黙ってて、メンヘラは。
今いい所なんだよ。コイツらの顔見なくて済むようにするんだよ。
露ほども思ってないし、王都離れるなんて。
そりゃ色んなところのダンジョン行くために短期間離れたりはあるだろうけど、ホームは王都に決まってるでしょうが!
住み慣れたあの寮を手放すのは惜しいもの!
「従業員たちも連れて他国へ行くことを国王へお伝えしたところ、先ほどお返事が届きましたの。」
悪魔のような笑顔のアリーナに出かける直前に渡された手紙を取り出す。そこには王家の印が押されている。
中身は見なくたって私に有利なことが書いてあることだろう。
いやぁ、情けは人の為ならずってホントだよね。
回り回っていい事してくれる。
「読み聞かせてあげるわ。あまちゃんの坊やたち。」
クリシーから短剣を借り、開封。
ここまで来て、そっか、他国でも頑張れよとか書いてあったら王様殺す。
まあ、絶対ありえないけど。
……ふむふむ。うん、ありがとう、王様!!
期待してた以上の内容で口角が上がってしまうのは仕方ないよね。
「お馬鹿な方たちにも分かるように要約致しますと、私は王都に必要な存在であり、是非とも留まって欲しい。憂いがあるのであれば協力しよう。現在王都には10を超えるSランク、SSランクが1つのパーティが集結してるので、青き狼には王命により魔王討伐を依頼する。だから安心して過ごしてね。これからもよろしくね、はーと。……ですって。」
「「「はぁぁぁっ!?」」」
「ミシェル様っ!流石っス!王族すら手駒として使う……!これぞ女神だからこそできる技っ!」
「……魔王討伐はコイツらじゃ無理じゃないか?この間確かSSランクのパーティ壊滅だったはず。」
全体的に煩い。そして最推し冷静に判断し過ぎ。
顎に手を当てて考えてる姿は凄いカッコイイけど、よく考えて!これ遠回しな処刑だから!!
Sランク冒険者より王城の快適さを取った結果だからっ!!!
……よく考えると王族腐ってるな、これ。いつか何かしてやろう。
「お、おまえっ!!なんてことをっ!!」
「あら、何か不都合でも?私はただお世話になった方にご挨拶もせずに出ていくのは余りにも無礼と思って手紙をしたためただけですわ。」
不都合しかないと分かって色々書いちゃったけどね。
「僕たちのこと殺す気満々じゃんかよ!」
「貴方たちが来なければこの手紙はこんな人目につく所で読むこともなく、家で暖炉の中に葬られましたわよ。」
別に殺したかったわけじゃない。これは本当。
国境付近に飛ばされないかなー、ぐらいしか考えてなかったもん。
これ以上絡んでこなかったらちゃんと解決しましたってフォローする気あったもん。
王様が予想以上にマンジェーズの従業員たちを重宝してただけだもーん。
「断れば反逆罪、受ければ魔王に殺される。どちらに転んでも貴女の思惑通りということですか。」
「自業自得ですわね。……精々頑張れば?Sランク冒険者様ぁ。」
魔王討伐って言いながらどこかへ逃げれば良い。
少なくともこの王都には出入りは難しくなるだけだから、私たちはマイペースに依頼をこなしていくだけだ。
今までチヤホヤされてた分、そんな生活は耐えられないでしょうけどねぇ。
自慢の顔を晒せば身元がバレる。バレたら魔王へ立ち向かわなきゃいけない。
行けば負けてしまう。それは嫌だ。でもチヤホヤされたいって?
そんなことさせるわけがないでしょう。最推しの為にならないじゃん。
「私に話しかけなきゃこんなことにはならなかったのにねぇ。」
「お、おぉ。久々にミシェル様の悪役顔を見たっス。」
「美しいからこそくるものがあるな。流石ミシェル。」
呆然とする元推したちは放っておいて、と言いたいところなのだが、なぜ戦闘態勢に入ってるんだ。追い込まれた鼠は猫をも噛むってことですかね?ん?単純な冒険者ランクだけで言ったら弱い者イジメだよね、これ。
じゃあ私たちが鼠か。そっか。白ブタから鼠か。チューチュー言っとけば良いのかな。
「3対3丁度いい数ですわね。」
「ミシェル、アイツらはSランクだぞ。」
「そうっスよー!」
「俺とミシェルならともかくクリシーは死ぬかもしれない。」
「そうそう……っておい!そこはミシェル様が怪我するかもとかだろ!?」
「ミシェルの結界魔法なら問題ない。」
「僕だって戦えるっつーの!昨日やりあって実力知ってんだろうがバーカ!」
こんな状態で仲間割れとは。すごい余裕だね、君たち。
てか、さっきまで沈んでたのに最推しが冗談を言うとは。メンヘラは役立つな。
観賞用以外にも使用目的があるとは。護衛役を認めてもいいかもしれない。
最低限、元推したちと戦えればの話しだけど。
「そもそも冒険者同士の喧嘩ってギルドに認められてるんでしたっけ?」
「……微妙なところだな。普通であれば訓練所とかで立ち会いとルールを設けて行われるはずだ。」
「何かめんどくさ。でもミシェル様は王様とも仲良いしなんとかなるっスかね?」
うーん……。お小言は頂くかもしれない。
でもさぁ。
「おぉ!喧嘩だぞ喧嘩ァ!」
「青き狼とご令嬢の喧嘩だぁっ!!」
「俺ァ、美人に賭けるぜ!」
「いやぁ、青き狼だろよ!」
こうも外野が騒いでたら止められないよねぇ。
「軽く遊んであげましょう。」
「分かった。遊ぶんだな?」
「殺さなきゃオッケーってことっスね!」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇよ!おらぁぁぁっ!」
「サクッとやっちゃうよー!」
「さっさと令嬢たちを片付けて一旦王都を離れましょう。」
自信満々なところ悪いんだけどさ。
「勝つのは私たち。それ以外ありえませんわ。」
ここで負けたら最推しガチ勢の名が廃るもん。
愛は力!愛こそ全て!!愛は最推しを救うんだ!!!
「「「…………。」」」
「Sランクも大したことありませんわね。」
「あー、そう、だな。」
「ミシェル様のワンパンで全員戦闘不能っスね。」
うん、ごめん。
まさかこんなにゲロ弱だとは思ってなかった。
殴り回復職最強説がいまできあがったよ。
「とりあえずこの人たち憲兵にわたしてくるっス!」
「そうだな。直に王名として魔王討伐を依頼されるだろうし、それがいい。」
「じゃ、行ってくるっス。ミシェル様ー!」
「えぇ、よろしくね。ギルドで待ってますわ。」
私たちより弱い人たちが魔王討伐っていいのかな。
……ま、いっか!私しーらないっと。
「ではアレン様、行きましょう?」
「あぁ。」
やっとギルドへ行けるよ。
暫く面倒事は懲り懲りである。
……これフラグじゃないよね!?
・一級フラグ建築士?
殴り回復職の名を世に広める人。
割と影で色々やってる。
最推しのためならポンコツな脳みそをフル回転させれる人。
・出番が少ない
本作本命なはずなのに出番が少ないのは何故か。
ヒロイン(笑)が濃すぎるせいだと思う。
・死ぬ宣言された
戦えます。ヒロイン(笑)のためならば!
見た目に寄らず力持ちなので3人を引きずってる最中。
・引きづられてる方々
気絶してるので痛みは感じていない。
手を出す人を完璧に間違った。
今後生き残るかは彼ら次第。
・はーとかいた偉い人
え!?他国!?だめだめだめぇ!王城真っ暗になっちゃう!
冒険者?よし、魔王討伐依頼しよ!これなら王都に残ってくれるよね!の軽いノリで書いた人
・魔王様
現在魔王城でお昼寝中