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勇者をやめた後の話  作者: 石雲
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そもそも魔王というのは、進化の結果だ。

人でも、エルフでも、魔物でも、動物でも、魔王になる方法はある。


クラリスは海の化身リヴァイアサンだったが、気紛れに潜った海溝に願いを叶える石なるものがあり、それに強くなりたいと願ったら魔王になっていた。

魔王になると王気と言うものが使えるようになるので、圧倒的に強くなるのだ。


目の前の自身を魔王だと語った青年にも見える男は膨大な王気を放っていた。

確かにこいつは魔王だ。

外見は牙が生えていることと瞳が赤いことの他に普通人との差はない。

他の4体は、燃える体を持っていたり、体に不釣り合いな大きな腕を持っていたり、羽があったり、蛇の下半身を持っていたりするのでわかりやすい。

だが、目の前の男は魔王だと言われれば、それ以外にないと言える何かがあった。


「初めまして、嫉妬の魔王の四天王、大海のクラリスよ。」


「おう、よろしく。」

自称魔王は軽く言った。


「それで、今日は何の用かしら?」


答えたのは、蛇の下半身を持つ魔物だった。

「…何かおもしろいことがしたい。」


「…どういうこと?」

クラリスは困惑する。


羽のある魔物が続ける。

「私たち退屈してるのよ。見ての通りね。」


「それで、どうしろと?」


蛇の魔物は笑う。

「…何か提案して?」

ナイフが急に首筋に現れたようにクラリスの全身に寒気が走った。

ここで、こいつらの言うつまらない解答を出したら終わりだ。

クラリスは頭の回路が焼き切れるかと思うくらいに集中して考えた。

「嫉妬の魔王の四天王として言うなら、つがいを作るとか?」


クラリスはついこぼしてしまった。

そして、しまったと思った。

魔物に恋とか愛とか言ってもわからないのだ。

だが、反応は意外なもので5体の魔物は何か考え出した。


「お前ら試してみれば?」

魔王が、他の4体に言った。


「…暇つぶしにはなるかも。」

蛇の魔物。


「自分はよくわかんないっすけど。」

腕の魔物。


「そう言えば、恋とかはなかったな。」

火の魔物。


「面白いかも。」

翼の魔物。


クラリスは胸をなでおろす。

しかし、自称魔王だけはあぶれてしまった。

これはまずい。

クラリスは見た目美しい。

最悪、自分の身を犠牲にすることも考える。

ちらりと、メメスを見るとメメスは心配そうな顔でクラリスを見ていた。


「なんだ、お前らも仲いいんじゃん。ついでにつがいになっとけば?」

自称魔王はクラリスをちゃかした。


「私は…。」


「ああ、大丈夫。俺の相手も多分大丈夫。その子がいいな。」

自称魔王の言葉が投げかけられた方を見ると、黒いコウモリのような3対の羽を持った黒いドレス姿の女性が立っていた。

クラリスは驚いたが、声を出せなかった。

そこにいたのは、全てをねたむ嫉妬の罪を背負った魔王だったからである。


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