四天王クラリスの話
「四天王クラリス様!5体の魔王級の魔物が城の前に来ています!」
嫉妬の魔王の四天王クラリスは落ち着いて状況を判断する。
「侵攻してきているわけではないのね。」
「は、はい。門の前で、立っているだけです。」
「門を開けなさい。とりあえず、客間に案内しなさい。それから、嫉妬の魔王様に連絡を!」
城に5体の魔物が城に入った瞬間、重圧に倒れそうになる。
それくらい自身と5体の魔物には差があった。
災害魔王などではない。
5体の魔物の一体一体が、自身の主である災厄魔王級の力を持っている。
クラリスが、自身の愛剣である妖剣泣き眠りを持たず、あくまで、相手を客として招くことに決めたのは英断だっただろう。
クラリスは考える。
これほどの力を持っているのは他の大罪魔王しか考えられない。
何を要求されるのか…。
ふらつきそうになる足を強引に前に進め、客間までたどり着いた。
「クラリス様…。」
以前たてついてきた時、こてんぱんにして部下にしたクラーケンが擬人化しているメメス。
自分より弱いが、自身の身を案じてくれている彼の存在を心強く思いながら、客間の中に入る。
本来なら、自分は玉座に座り、玉座の間で客を迎えるのだが、今回は相手が悪い。
客間で対応することにしたのが、完全に失敗した。
客間は、グネグネと上下左右の揺れる異空間になっていた。
クラリスとメメスが、一歩客間に入るとすでに5体の魔物は丸い机を囲むように座っていて、椅子が一つ空いていた。
クラリスは意を決してその椅子に座る。
「初めまして。俺は…魔王だ。」