あれから
マカロン様と私が結婚してから一年が経ちました。
マカロン様は公爵位を授かり、国から王都の屋敷を頂きました。私達はその屋敷で暮しています。
マカロン様は、毎朝この屋敷からお城へ出勤して、王宮の人事や外国の方の接待など、様々な業務をこなしていました。
特に人事や外交では、マカロン様の人の心が読める能力が活かされているようです。
実際にマカロン様の能力のおかげで、他国のスパイや暗殺者がすでに何人か捕まえられてるそうです。
王宮は、恐ろしいところです‥‥。
マカロン様がお城で働いている間、私は公爵夫人として、屋敷や使用人達の管理、食料やお給料などの会計業務も卒なくこなしています。
まわりは私が年齢の割にはしっかりしていると驚いていました。
けれど、私は地球で過ごした年齢とこの世界で過ごした年齢を足すと40歳を超えるアラフォーですから‥‥見た目の年齢よりはしっかりしていて当然なのです。
私は屋敷の管理以外にも、昼はお茶会に顔を出したり、家で開いたりしました。夜は夜で色んな夜会に顔を出して社交面でも頑張っていました。
そして週末は、郊外の領地で慈善活動を定期的に行っていました。
毎月教会でのバザーを企画して、ちゃっかりそこで占い師もしていました。
バザーなので、私の儲けはありませんが、悩みを聞く代わりに少しの寄付をお願いしています。
バザーで私の占いに来る人達は、日常の様々な悩みから、夫婦関係、育児、恋の悩みなどたくさんの悩みを打ち明けてくれました。
私は、マカロン様と相談した結果、身分を隠して変装もした上で占い師をしていましたが、領民の人達には何となく私の正体はバレていたような気がします。
占いに相談に来る人達が、やたらと丁寧な言葉で話しかけてきますし、私がこんな所にいていいのか?とよく心配されたからです。
それでも優しい領民の皆さんは、私の前では私の正体に気付いてない振りをしてくれていました。
ありがたい事です。
おかげで、結婚してからも占い師をしたいという私の願いは叶いました。
それに、占いに来る領民達の悩みを聞く中で、領民達が暮らしの中で困っている事や、領民達が上に対して求める事を直に聞けたので、私としては色々勉強にもなりました。
そして、私は今日もバザーで占い師をしています。
「こんにちは。今日はどうしました?」
「‥‥旦那が私の話を聞いてくれないんです。私がいつもお義母さんに虐められて辛い思いをしてるというのに‥‥。旦那はお義母さんの言う事ばかり聞いて‥。」
「そうですか‥これまで辛かったですね。旦那さんに少しでも話を聞いて貰えると良いですね。」
「ええ。私が辛い思いをしながらも、頑張っているんだって知って欲しいんです。」
「分かりました。では旦那さんのあなたに対する気持ちと、今後の家庭運について占ってみますね。」
私がクロスの上でタロットカードをシャッフルして纏めて並べていく様子を、相談に来た婦人が真剣に見ています。
「旦那さんの気持ちの所に〝月″のカードが正位置で出ています。旦那さんは見たいものしか見ない性格の方ですね。面倒な事には首を突っ込みたくないんだそうです。」
「ええ、当たってます。」
「お義母さんの気持ちの所には、〝力″のカードが負の位置で出ています。お義母さんは、あなたの家事や仕事能力を認めつつも、認めたくない気持ちがあるようです。プライドも高い方ですので、自分の意見が通らないと苛々する人です。」
「うわぁ、その通り!当たってる。」
「では、今後の家庭運のアドバイスとしては、〝正義″のカードが正位置で出ています。あなたの正義感の強い所や、白黒つけたい性格が、お義母さんのプライドを無意識のうちに傷つける事があったようです。
今後は、少しユーモアの心をもってお義母さんや旦那さんと接して下さい。それが難しければ、家事や仕事の最中は、私情を抑えて人間関係を忘れて、作業に集中して下さい。お義母さんや旦那さんが頼りなく感じても、無視して視界に入れないようにして下さい。
そうしていくうちに家庭内でも仕事の面でも、徐々にお義母さんや旦那さんの方から歩み寄ってくるはずです。」
「分かりました。本当にありがとうございます。悩みに共感して貰えて嬉しかったです。それだけでも救われた思いがします。それから、今後はお義母さんや旦那さんの言動に振り回されないように、家事や仕事に集中します。」
「応援してますよ。これからも頑張って下さいね。」
「ありがとうございます!私達領民のこんな些細な悩みまで聞いて下さって、公爵夫人は素晴らしいです!」
「‥‥!」
‥‥やっぱり、領民の皆さんに私の正体はばれていたようです。
end.
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