革命軍との話し合い
マイケル先生に連れられてやって来たのは、街の片隅の飲み屋のテーブルでした。
薄暗い店内の中、店内の奥にいる数人のグループがいるテーブルに向かい、先生が歩き出しました。
「私にもビールを。」
「‥マイケル先生、お久しぶりです。」
先生は、テーブルに座る数人を見ると、すぐにビールを注文し、何食わぬ顔で椅子に座りました。そして彼らに私を紹介してくれました。
「‥彼女は私の教え子だ。君達と同じ地球の記憶持ちだ。」
「‥はじめまして。チョコといいます。」
「子供じゃないか!こんな時間に何をやってるんだ!」
「ラルク、彼女は体は14歳だが中身は25歳以上の大人だ。」
「‥だとしても‥。まぁ、マイケル先生がついてるなら良いのか?」
革命軍のグループは、どうやら地球の記憶持ちの人達のようです。それにリーダーのラルクさんも、私の身を案じてくれてるところをみると、悪い人じゃなさそうでした。
私は椅子を貰い、腰掛けると早速話し合いの輪に入りました。そしてマイケル先生は私に、彼らとの繋がりやこの貴族学園へ来た経緯などを話してくれました。
「チョコさん、彼らは僕の昔の教え子達なんだ。王都に来る前は、地方で平民の学校でも教鞭をとっていたんだけど‥‥王命で呼ばれてね、仕方なく中等貴族学園へ来たんだ。」
「‥そうだったんですね。」
「私は最初は貴族の学園で教鞭をとる事が嫌でしたが、今ではこっちに来て良かったと思ってますよ。貴族の子供達は魔力持ちが多いと聞いたのに、魔力持ちの子が少なくなってる事が分かりましたし、それに貴族の子供達があまりにも無知だという事が分かりましたからね。
無知とは罪です。学園の生徒達はあまりにも無知で幼稚で愚かでした。ですが、彼らは好きで無知になった訳ではない。きっと王都と地方の村々が分断されている事が悪いのです。
私は貴族専用の学園を潰し、その代わりにもっと平民の為の学校を増やして行きたいのです。学校へ通えない子供を減らしたいのです。
誰にでも貴族と同レベルの教育を受ける権利があります。同様に貴族にも平民の学ぶ教育を受ける権利があります。私は教育の差別をなくしたいんです。だから、彼ら革命軍の話に乗りました。」
私は、マイケル先生がそんな事を考えていたとは知りませんでした。ですが今先生から受けた授業の内容を振り返ってみると、確かに魔力の有無に拘るな、人と自分を比べるな等色々と、先生が今私に話した思想が垣間見えていました。
「‥先生、私は先生の意見に賛成です。私も先生や革命軍の方々と改革を行いたいです。それに‥私も地球の記憶持ちですしね。」
「‥チョコさん、彼氏の事はどうするんだい?」
「彼には宣戦布告をしてきました。しばらくは敵対関係になります。‥この国が落ち着いてから、また向き合うつもりです。」
「‥彼氏は何て言ってたんですか?」
「‥この改革を受け入れてくれてます。その上で、私の思うようにすれば良いと言ってくれました。」
「‥そうか。まあ、戦争とは違うから死者を出すつもりはないし、こちらとしてはあくまで主張すべき事を主張して、自分達の理想とする国を作りたいだけなのだから、そんなに心配はいらないと思います。」
「‥おい、お前には貴族の彼氏がいるのか。
じゃあ俺達の敵なんじゃないのか?」
「‥いえ、私も革命軍に入ります。」
「‥スパイじゃないだろうな?」
「疑う気持ちは分かります。ですが、私も地球の記憶持ちです。この改革には賛同します。スパイではないので、仲間に入れて下さい。」
「‥分かった。じゃあ、まずは明日学園に行き、学園の閉鎖を要求する。その後、一部の貴族邸にも向かう。」
「‥分かりました。」
こうして私にとって初めての革命軍の話し合いが終わりました。




