気絶してから
私は学園内の喧嘩に巻き込まれて気絶してしまい、気が付くと保健室のベッドで横になっていました。誰かが私を保健室へ運んでくれたようです。
「あっ、喧嘩はどうなったんだろう。」
私は目覚めるなり、飛び起きて保健室を出ると先ほど喧嘩があった場所に戻ってきました。
喧嘩をしてた子達は、すでにどこにもいなくて、他の生徒達も皆んな何事もなかったかのように学園祭を楽しんでいました。‥喧嘩をしてた子達はどこへ?それに私はどれくらいの間保健室で横になっていたんでしょう?それに、私の背後に誰かが近づいて来ました。振り向くと、息を切らして膝をついてるマカロン様でした。
‥‥この光景、何だか見覚えがあるような‥。
ハァ、ハァ、
「チョコ、待って。保健室へ戻ったらいなくなってたから驚いたよ。」
「マカロン様、どうしてここに?」
「‥チョコやマロンの頑張ってる様子を見たくてこっそり来てたんだよ。」
「‥えっ、そうなんですか。」
「‥ああ、そうしたらチョコが動きまわってるのが見えて追いかけていったら、喧嘩の中に入っていって頭を打って気絶してるんだから、びっくりしたよ。‥僕一人じゃ大変だから、チョコの通信機を使って生徒会の皆んなも呼んだんだ。」
「‥じゃあ、私を運んだのはマカロン様?」
「‥パウエル君の案で、即席の担架を作って僕とパウエル君で保健室へ運んだんだ。」
「お姫様抱っこじゃなくて?」
「‥いや、無理無理。」
「‥ご迷惑をおかけして、ごめんなさい。あっ、それで喧嘩をしてた子達ってどうなりましたか?」
「ああ、それね‥‥。」
マカロン様のお話だと、私が気絶した後に金髪美少女の本命の男の子が現れて、二人して手を繋いで仲良く別の場所へと行ってしまったようです。
残された二人の男の子達は、喧嘩に巻き込まれた私が倒れた事や、意中の女の子が他の男の子について行ってしまった事に衝撃を受けて、しばらくその場で呆けていたようです。
そして、今は生徒会室で事情聴取をうけて学園の先生から言われた反省文を書いているのだそうです。
「‥じゃあ、大きなトラブルにはならなかったんですね。良かった。」
「‥喧嘩してる人達にむやみに近づいていったチョコが悪いよ。チョコこそ反省文を書くべきだ。」
マカロン様は、そう言って私の事を叱ってくれました。
「‥私、マカロン様に叱られるの好き。叱ってくれてありがとう。」
「‥えっ、なにそれ。でもそうか、チョコは僕に叱られるの好きなんだ。そうか‥。」
「‥ところで、マカロン様はすぐ帰ってしまうんですか?」
「チョコがもっと一緒にいたいなら、学園祭が終わるまでずっと一緒にいるよ。勿論チョコの仕事の邪魔にならないようにするし。どう?僕と一緒にいたい?」
「勿論一緒にいたいに決まってます。って言うか、マカロン様最初からそのつもりで来てくれたんですよね。」
「うん、仕事も勉強も遊びもメリハリが大事だからね。だから今日は一日チョコの為に用事をあけておいたんだ。」
「嬉しいなぁ。でも、私ってこんな所で油を売ってて良いのかしら?」
「油を売る?」
「あっ‥フフ、私の前世では仕事を怠ける事をそんな風に言う事があるんです。」
「あっ、その事なら生徒会メンバーがお昼まで自由に過ごしてて良いって言ってたよ。」
「‥皆んな、気を使ってくれたんですね。」
「ありがたいよね。さっ、チョコも元気になったようだし、一緒に学園祭を楽しもうか。」
マカロン様がそう言って私に手を差し出してくれました。
私はその手を掴み、一緒に歩き出しました。
前世、地球の高校生活で叶わなかった夢「彼氏と学園祭をまわる事」を私は今叶えています。
ふと隣を見ると、不器用だけど時々頼もしいマカロン様がにっこりと微笑み返してくれました。
私はこの上ない幸せを感じていました。




