学園祭
学園祭当日とあって学園内は早朝からとても賑わっていました。
各クラスの模擬店も準備に大忙しです。グスタボ君も、メイド服を着たまま学園内を駆け回っています。
ライブ会場では、武芸を披露する人と太鼓演者が、立ち位置や流れを確認しています。
私達生徒会メンバーも、エリナさんの号令の下、持ち場や当日の動きを確認しています。
「それでは私は救護班と受付の様子を見て来ますので、皆さんも持ち場へ移動して下さい。今日は何かあったらこの通信機で連絡しあいましょう。」
「分かりました。」
私達は夏休み中に、私とマカロン様が使っていた通信機を生徒会の人数分購入していたのです。今日はそれを使って、離れた所でも連絡が取り合えるようにしました。
「そろそろお客様達が来る時間だから、私は呼び込みへ行くわね。」
「分かったよ。グスタボ君行ってらっしゃい。」
私はメイド服で看板を持ったグスタボ君を見送ると、会場内を見回りました。
「不審者とかいないわよね‥始まったばかりだから、怪我人や迷子はまだいないだろうし。」
私は律儀に学園の敷地内をくまなく見回りました。そしてライブ会場の舞台裏に来た時に、マハム様に会いました。
「チョコさん、久しぶりですね。」
「マハム様、お久しぶりです。」
「チョコさん‥‥。この前両国の親睦会の時に、マカロン王子にお会いしてチョコさんの話を聞きましたよ。チョコさんは王様や王太子様の信頼も厚いようです。‥近々良いお話がチョコさんの口から聞けそうですね。」
「‥良いお話ですか?」
「‥あっ、そろそろ武芸と太鼓の開演時間ですよ。私はこれで失礼しますね。」
「あっ、はい。」
「チョコさん、最後に握手をさせて下さい。」
マハム様は、私の手を取りしっかりとした握手をされました。
「チョコさんの今後のますますのご活躍を期待しています。」
「ありがとうございます。」
「では。」
マハム様はそう言って、ライブ会場の控え室へ行ってしまいました。
マハム様が言った「近々良いお話が‥。」の内容が気になりますが、とりあえずは生徒会の仕事を優先させて、園内の見回りを続けました。
私が外の見回りを終えて校舎に入ったところで、何やら騒ぎが起きていました。私は近くにいた子に何が起きたか聞いてみました。
「‥喧嘩よ。一人の女の子を巡って、二人の男子が喧嘩してるの。」
よく見ると、赤組の逞しい男子と青組の眼鏡男子が喧嘩をしています。‥というか眼鏡男子君が逞しい男子君に胸ぐらを掴まれて浮いています。そして、そのそばでプルプル震えてる金髪美少女が涙目になっていました。
私は、本当ならこういった恋愛関係の揉め事には首を突っ込みたくないのですが、騒ぎが大きくなる前になんとかしたくて、仕方なく涙目の女の子から事情聴取しました。
「どうしましたか?」
「‥私、よく分からないんですけど、男友達が急に喧嘩し始めてしまって‥私、怖い。」
「‥?」
私は女の子の話だけでは状況が良くわからなかったので、当事者二人の男子の話が聞きたくて、喧嘩している二人に近づいてしまいました。
「あの、ここで喧嘩をされるとまわりの方の迷惑になります。一旦やめて‥。」
「なんだと、邪魔するな!」
そう言って、逞しい男子君が手を振り上げた途端、その手が私の顔を直撃して私は勢いよく壁にぶつかってしまいました。
私は壁で頭を打って、そのまま気絶してしまいました。




