学園祭前日
楽しく充実した夏休みが終わり、学園は一気に学園祭ムードになっていました。
夏休み中に一度生徒会メンバーで集まって打ち合わせや段取りを確認したり、担当決めもしておいたので、全てが予定通りに進んでいます。
それに、夏休み明けからはクラス毎の模擬店の準備も順調に進められていました。各クラスからは、毎日放課後になると、楽しそうな笑い声が聞こえてきました。学園全体が学園祭の為に一致団結して盛り上がっていました。
そして今日はいよいよ学園祭前日です。明日に向けて、全体の様子を再確認していきます。
「武芸の団体演舞と太鼓演奏のライブの会場、業者さんが明日の照明はこれで良いか確認したいんだって。」
「あっパウエル君。じゃあ業者さんの所、ついでに見てきて。私はまだ他のクラスを回るから。」
「はーい、了解!」
パウエル君とマロンさんはライブ担当なので、二人共業者さんや太鼓演者さん、武芸を披露する人達の間で忙しく走り回っています。
ちなみにエリナさんが学園祭全体の総監督です。グスタボ君は私と共に模擬店の担当です。でも、グスタボ君は私達のクラスのメイドカフェの準備の方で大忙しなので、私一人で、学園内のクラス全てを回っているのです。
「今一年生が終わったから、次はやっと二年のクラスかぁ‥‥。」
私は一年生のクラスを全てまわり、やっと二年生のクラスに入ったので、ちょっと一息つこうと思い、廊下の壁にもたれていました。
「チョコさん、お疲れ様。良かったら、うちのクラスのドリンクを飲んでいかない?」
「あっ、サーラさん。‥そっか、サーラさんのクラスもカフェでしたね。」
「そうよ〜、チョコさんのクラスは設定が特殊だから、うちが普通にカフェをやってもお客さんが来ないだろうから苦労してるのよ。」
「あはは、ごめんなさい〜。」
「さっ、入って。感想も聞かせてね。」
私はサーラさんのいる黄組の扉を開けて、中に入りました。
「わぁ、すっごい好き。何この可愛い空間!」
サーラさんのクラスは、ピンクと白を基調とした内装になっていました。学園の椅子も、背もたれカバーやクッションで素敵な家具に生まれ変わっていました。
テーブルには真っ白なクロスがかかっていますが、よく見ると細かい模様が刺繍してあります。
この部屋の至る所に手作りの跡がありました。
「これって、クロスもカバーも全て手作りですよね。素敵です。」
「フフ、ありがとう。さあ、座って下さい。」
私は勧められるままに椅子に腰掛け、出されたお茶を頂きました。
「これは‥フルーティですね。柑橘系の香りがします。」
「この紅茶に入ってる柑橘類の皮もみんなで干して乾燥させたものなの。他にもバラや苺もあるんです。お菓子はワゴンにのっているものから選んで頂いて、こちらで盛り付けます。」
「これは良いです。私は好きです!女の人はみんな喜ぶはずです。‥‥ついでに雑貨などの物品も販売してみませんか?売上金は、このクラスの皆さん名義でどこかの施設に寄付されても良いですし。」
「チョコさん、良い案をありがとう!やっぱりチョコさんに相談して良かったです。」
「いえいえ、大袈裟ですってば。」
「ねぇ、チョコさん。私ね‥‥。」
サーラさんは自身も椅子に腰掛けると、私と同じ種類のお茶を飲みながら話し始めました。
「私ね、昨年までは貴方みたいな地味で目立たない人が、何故生徒会メンバーなのかしらって思ってたのよ。でも、今ではあなたが生徒会メンバーで良かったってつくづく思うの。だって、話しやすいし、何でも相談にのってくれるもの。」
「ありがとう、サーラさん。」
「私ね、この学園を卒業したら結婚するの。上の学校へは進まないの。だから、今回の学園祭で、皆んなで協力して模擬店をやったりして本当に楽しかった。良い思い出になると思う。
‥チョコさん、友達になって下さいね。卒業しても結婚しても、夜会とかで見かけたら、声をかけて下さいね。きっと私からは、声を簡単にかけられそうにないから。‥ね、将来の第二王子妃様。」
「サーラさん、しーっです。私達、まだ婚約もしてないんですってば。」
「フフ、そろそろチョコさん達にも良い動きがあると思いますわよ。私、色々情報通なんですの。」
「‥えっ?ちょっとサーラさん、詳しく教えて下さいよ。」
サーラさんは、意味ありげな事を言い残して、すぐに去って行きました。私とマカロン様に何か良い動きがあるって、凄く気になるんですが‥‥。
結局、その日サーラさんを捕まえて詳しい話を聞き出す事は出来ませんでした。
私は学園内の全クラスをまわり、エリナさんに報告をしました。
エリナさんが言うには、学園祭の準備はどこも完璧に出来上がってるようです。
いよいよ明日、学園祭が開催されます。




