マカロン様に会いに
待ちに待った夏休みが来ました。
夏休みに入ってからというもの、私とマカロン様は頻繁にやり取りをしていました。そして、今日もこれからデートをする約束をしています。
『マカロン様、おはよう。大好き。』
私は朝起きてすぐに、日課となったマカロン様への心の中での独り言、いえテレパシーの練習をしました。
そしてひさしぶりに通信機の電源を入れて、私からマカロン様に呼びかけてみました。
地球で言うところの、携帯電話でメールを送ったけど、やっぱり電話もしてみよう的なノリです。
ピッピッ、「マカロン様、おはよう。」
私が呼びかけると、マカロン様がすぐに応答してくれました。
「おはよう、チョコ。さっきみたいに『大好き』は言ってくれないの?」
「えっ、まさか‥‥私がマカロン様に向けて心の中で話す声が聞こえたんですか?」
「うん、昨日ぐらいから。でも最初は自分が頭の中で勝手に想像してるだけなのかなって信じられなかったんだ。だけど、今朝も頭の中にチョコの顔が浮かんで、チョコが話す様子が見えたり声も聞こえてきたんだ。」
「マカロン様、凄い!私ついさっきマカロン様に心の中で『マカロン様、おはよう。大好き。』って話してましたよ。マカロン様!これってテレパシーの練習がうまくいってる証拠じゃないですか!」
「‥‥そうだね。あっ、そうそう僕もチョコに通信機で連絡しようと思ってたんだ。今日の予定なんだけど、急で悪いんだけどお城に‥‥。」
「マカロン様、私達凄いです!ちょっと興奮しちゃいました。あっ、じゃあ話の続きはこの後お会いした時にでも。」
「あっチョコ‥‥。」
私はそう言って、通信機の電源を切りました。
その様子を見ていたマリーは、ため息をついて首を横に振っています。
「‥えっ、何か変だった?」
「お嬢様、マカロン王子の扱いが雑になってません?今だって、王子様が何か話しかけてる途中でしたよ。一応この国の王子様ですよ。外では気をつけて下さいね。」
「‥そうね、気をつけるわ。私って結構せっかちな性格みたい。でも、この方が私らしくて良いってマカロン様は言ってくれるのよ。」
「はいはい。ご馳走様です。じゃあ、早く支度を済ませてしまいましょうね。」
「‥そう言うマリーだって、私の扱いが雑よ。」
「だってお嬢様が、この方がマリーらしくて良いわって言って下さるんですもの。」
「アハハ、マリーに一本取られたわ。」
私とマリーはこうして楽しく支度を済ませると、玄関のロビーに向かいました。
扉の所にマカロン様の従者兼護衛のオスカルさんがいました。
「おはようございます。チョコ様。」
「おはよう、オスカルさん。‥マカロン様は?」
「殿下はお城でお待ちです。」
「え〜っ、どうしよう。街歩き用のカジュアルなワンピースを着て来ちゃった。‥少しお待ち頂けますか。急いで着替えてきます。」
「‥お嬢様、王子様の話を最後まで聞くべきでしたね。」
「本当ね、ごめんなさい。」
私とマリーは慌てて着替えると、改めて玄関に向かいました。
「ごめんなさい。お待たせしました。」
「大丈夫ですよ。お時間は決まっておりません。」
オスカルさんはそう言って、私と共に馬車に乗り込みました。馬車の中でオスカルさんと世間話で盛り上がっていると、あっという間にお城に着きました。すると、前にもお城の中を案内してくれたフェルゼンさんが出迎えてくれました。
「チョコ様、お久しぶりでございます。殿下のもとへご案内します。」
「フェルゼンさん、お久しぶりです。お願いします。」
そしてフェルゼンさんの案内で、マカロン様のお部屋に通されました。
コンコン、
「殿下、チョコ様がお見えになりました。」
フェルゼンさんは、マカロン様の部屋に私を通すとすぐに去りました。
フェルゼンさんが退室すると、すぐにマカロン様が近づいてきて私の手をとりました。そして共にソファーへ腰掛け、何故か今は両手を繋いでマカロン様と向かい合っています。
「チョコ、今日も可愛いね。それに何か良い香りがする。」
マカロン様が、繋いでいた手を離すと私の体をクンクンと嗅ぎ始めました。
「マカロン様!それは恥ずかしいから、やめて下さい。私、もしかして臭いかもしれませんし。」
「ううん、チョコは臭くないよ。だけど、何だか甘いような香りがする。」
「マカロン様、駄目!」
私はマカロン様の口元を両手で塞いで抵抗しました。
「‥‥ごめん。調子に乗りすぎた。」
「あっ、いえ。私こそマカロン様に対して失礼な事を‥‥。」
私達は、何だか急に恥ずかしくなり少し距離をおきました。
「あっ、そう言えばマカロン様、今日はどうして急にお城に呼ばれたのですか?」
「チョコ、兄上がチョコに会いたいって言うんだ。しかも、今日なら午前中時間取れるからって言うんだけど‥。」
「えっ、王太子様!?」
なんと、急きょ王太子様に会う事になりました。
まだ心の準備ができてませんが‥‥。どうしましょう‥噂の予知能力は気になるけど、王太子に失礼な事をしない自信がないです。マリーの言う通り、マカロン様との会話にも気をつけなきゃ‥‥。私は段々と心配になってきました。
それでも結局私は、マカロン様と共に王太子様の部屋へ向かうのでした。




