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マハム様との語らい


マハム様と私とマリーは、お洒落な喫茶店に入りました。店内には、色々な蜂蜜の瓶が壁の棚に並んでいます。


私達は窓際の丸テーブルに案内されました。マハム様が店員さんを呼んで何かを話すと、すぐに今日のお勧めの紅茶と蜂蜜、そして焼き菓子がテーブルに置かれました。


三人で蜂蜜を入れた紅茶を美味しく頂いていると、マハム様が私達のドレスをじっと見つめてきました。


「チョコさん達の今日のドレスは、変わってるね。少し刺激的なデザインだけど、とても可愛いよ。」


「ありがとうございます。マリーがとてもセンスが良いんです。このドレスもマリーが用意してくれたんです。」


「マリーさんでしたか。うちの太鼓演者のモハメドがお世話になってます。」


「えっ、マリー!」


「はい。街でモハメド様に声をかけられて、それから仲良くなりましたの。このドレスもモハメド様が見立ててくれたんです。」


「‥へぇ〜。」


私はマリーに親しい異性がいるなんて、しかも隣国の太鼓演者だなんて初耳で、びっくりしました。でも、知り合ったのも付き合い始めたのも、本当につい最近の事だそうで、今の傷心の私には何となく報告し辛かったのだそうです。

   

「チョコは誰か仲が良い人いるの?婚約者とかさぁ。」


マハム様からそう聞かれて、私は思わずマリーを見てしまいました。


マリーは怖い顔で首を横に振ってます。‥つまり、マカロン様とお付き合いしてる事は、まだ婚約前だし今は絶縁中?だから言うな、という事でしょうか。


「あの、ずっと片思いしてる人ならいます。」


私はそう答えてから、マリーを見ました。マリーは顎をくいっとあげたジェスチャーを見せました。いちいちマリーを見るな、という事なのでしょう。


「チョコ、ずっと片思いしてるって事は、僕と出会う前からって事だよね。」


「はい。」


「はぁ、そうか。僕は君に好意を示す前にもう振られた事になるのか。」


「はい。‥‥って、えっ?」


「いや、まだ振られてはないのか?」


「マハム様?」


「僕はこの歳にしては、結構優秀だと自負してるんだ。チョコさんは僕の事をどう思う?」


「初めてお会いした時、なんて素敵な方なんだろうと思いました。」


「‥ねぇ、知ってる?アルコールやジャスミンやイランイランほどじゃないけど、蜂蜜にも媚薬の効果があるんだって。」


マハム様は、そう言って私の手を握ってきました。そしてその手にキスをされました。キスをしながらも、上目遣いに凝視してきました。私はドキドキしてしまいました。


「‥あの、マハム様。手を‥。」


マハム様は、手を握ったまま離してくれません。私の様子を見て楽しんでいます。

  

「ハハ、ごめん。チョコさんが可愛くて、ついつい手が出ちゃった。」


マハム様は、そう言って私の手をやっと離してくれましたが、悪びれる様子もなく普通に紅茶を飲んでいます。


「そうそう、この前学園祭で武芸を披露する人達に頼まれて、学園に行って彼らに太鼓演奏を見せてきたんだよ。衣装のアドバイスもしてきた。あと、彼らの武芸パフォーマンスに合わせて、太鼓演者達は今パフォーマンスを考えてるところなんだ。」 

 

マハム様は、先程の甘い雰囲気とは違う、仕事モードでテキパキとお話しをされました。


「凄い。マハム様、何から何までありがとうございます。」  


マハム様のおかげで、いつの間にか武芸を披露する人達との合同練習までしてくれていました。私は、何だか自分達が子供で、何も出来ない為、マハム様にたくさん迷惑をかけてるような気がして、恥ずかしくなりました。それに先程までの甘い雰囲気のマハム様が、急に仕事モードになってしまい、一度は近づいたマハム様との距離が、どこか遠い存在になってしまったようで、少し寂しく感じていました。


私はマハム様に少し惹かれてるのでしょうか。



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