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すっきりしない一日


今朝は何となくすっきりしない気持ちで目覚めました。


「あっ、おはよう。マリー。」


「おはようございます。チョコお嬢様。‥あら、目の下にくまができてますよ。」   

 

「うそ‥。」


「‥目も腫れぼったいですし。どうしようかしら‥‥ちょっと待って下さいね。」


侍女のマリーがそう言うと、お湯の入った器と、氷水の入った器と二枚のタオルを持ってきました。


マリーは、私にベッドにまた横になるように言うと、お湯に入れて絞った温かいタオルを私の目の上にのせてくれました。


「マリー‥これ気持ち良い。」


「ふふ、ではその間に肩から腕のマッサージを行いますね。」


マリーは私の腕や肩を念入りにマッサージしてくれました。


「マリー‥体がポカポカする。肩の力が抜けてくみたい。」


「ふふ、お嬢様の肩が凝ってらしたので、ほぐしてみました。何かお悩みでもあったんですか?歯を食いしばったせいで、顔も緊張していますよ。」


「えっ、うそ。」


「本当です。では、次は冷たいタオルを目の上にのせますね。」


マリーが温かかったタオルを、冷たいタオルと交換しました。


「ヒャッ、冷たい。」


「最初は冷たくて驚きますが、慣れてくると気持ち良いんですよ。」


「あっ、本当だ。スーッとする。氷水の中にミントのオイルを少し入れた?」


「あっ、気付きましたか。本当は目や口のまわりに強い刺激のオイルは良くないんですけど、ほんの一滴だけ器にミントオイルを落としてみました。」


「最高!マリー、頭も体もスッキリしたみたい。」


「良かったです。では、支度を進めますね。」 


「ありがとう、マリー。」

 

マリーのおかげで、泣きはらした目もなおり、私は学園へ登校しました。


クラスの席へ着くと早速グスタボ君が来ました。


「チョコ、昨日何があったか聞かせて貰うわよ。帰りにガゼボに集合ね。」  


グスタボ君はそう言うと、一日の授業が全て終わるまでは、その話に関して一切触れないでいてくれました。


私も、なるべくマカロン様の事を考えないようにして授業に集中しました。


そして放課後、グスタボ君に手を引かれてガゼボまで連れて行かれました。


ガゼボには、マロンさんも先に来ていました。


「チョコ、昨日途中で帰った事を責める訳じゃないの。何があったか話して欲しいの。一人で抱えちゃ駄目よ。」


「‥グスタボ君、そうだね。聞いてくれてありがとう。二人にとっては、すっごくつまらない話かもしれないからね。『何でそんな事で悩むの?』って思うかもしれないよ。」


「分かったから、言ってみて。」


「‥分かった。全部話すね。あの日、バルコニーでマカロン様とジューン王女が二人だけでいるのを見ちゃったの。ただそれだけなんだけどね。何だか、二人の雰囲気が大人っぽくて、お似合いで、居た堪れない気持ちになっちゃったの。それで、悲しくて泣けてきそうで逃げて来たの。」


「‥分かったわ。‥‥辛かったわね。そんな場面見たくなかったわね。」


グスタボ君は、そう言って私をそっ抱きしめて背中をトントンしてくれました。


「ありがとう、グスタボ君。話してスッキリした。」


私がそう言うと、グスタボ君は優しく微笑んでくれました。


でも、マロンさんは何故だかとても怒っている様子でした。やっぱり私の事を怒ってるのかな‥と思い、昨日の無礼を謝ろうとすると‥マロンさんが私の手を握り、真剣な顔で語りかけてきました。



「‥チョコさん、あなたは何も悪くないわ。悪いのはマカロン兄様の方。チョコさんばかりに頑張らせて、自分はチョコさんの優しさに甘えているのよ。‥‥少しぐらい困らせてやれば良いのよ。」


「マロンさん?」


「チョコさん、あなた昨日の晩に、魔道具の通信機の電源を切ったでしょう。」


「はい。‥だって、泣いた顔を見られたくなかったんです。」


「いいの。それで良いの。今日も明日もしばらく通信機の電源を入れないでおいて下さい。」


「‥‥でも、私がマカロン様の顔を見たり、声を聞きたくなったら、どうしましょう。」


「我慢して!」


「えっ、でもそんな事をしたら、マカロン様に嫌われませんか?」  


「パウエル様も言ってましたわ。『押して駄目ならひいてみろ』なんですって。」


グスタボ君は、マロンさんにとても感心した様子で大きく頷いていました。


「チョコ!マロンさんの言う通りよ。今まで毎晩通信機で話してたのに、急にチョコが通信機の電源を切って音信不通になったら、あのマカロン王子もさすがに慌てるはずよ。ちょっとそれで様子を見ましょうよ。」


「ねえ、本当に大丈夫?そんな事して、マカロン様に嫌わ‥。」


「「‥ないから!嫌われないから!」」


「‥分かりました。やってみます。」


こうして、私はしばらく魔道具の通信機の電源を切り、マカロン様との連絡を断つことになりました。



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