王宮での夜会
学園祭のメインイベント〝武芸の団体演舞″をパウエル君の国の太鼓演者達による演奏でやろう、という話は実現する事になりました。
それに、国と国との友好の証として我が国がパウエル君の国、つまり隣国の太鼓演者達を招待するというマロンさんの提案で、話は大きくなっていきました。
正式に王様が隣国へ外交官を送り、招待状を太鼓演者達に渡す事になったのです。
招待状を受け取った隣国の太鼓演者達は、とても喜んでくれたそうです。隣国の王様もこの話にノリノリだったそうです。
そして‥‥なんと、我が国に来てしまいました。太鼓演者達も一緒に視察という名目で、王様の一行と共に来てしまいました。
そして、それを歓迎するための夜会が今日王宮で開かれているのです。
私とエリナさんとグスタボ君も招待されました。目だけでマロンさん達を探してみると、パウエル君と一緒に会場の真ん中にいました。
マロンさんはパウエル君と共に、隣国の王様に挨拶をしているようです。
「陛下。この度の太鼓演者達の件、本当にありがとうございます。」
「ポテト帝国のマロン王女ですね。この度の素晴らしい提案、感動しました。」
「いえ、そんな‥。」
マロンさんは、恥ずかしくなったのか無意識に、隣にいるパウエル君の服の裾を握ってしまいました。
その様子を見て、隣国の王様も満足そうな笑顔を浮かべています。
「パウエルとの仲も良好なようで、安心しました。では、パウエルを頼みましたよ。」
「‥あっ、はい。」
「父上。太鼓演者達の件、ありがとうございました。彼らには国内外を問わず広く活躍してもらい、太鼓文化を世界中に広めて欲しかったので、この度の件をとても嬉しく思っています。」
「そうだな。」
「彼らには今回の学園祭のみならず、この国の様々なイベントでの演奏の機会を頂きました。僕の夢が一つ叶いましたよ。」
「そうだな。これもお前がよく言うところの『内助の功』のおかげだな。」
隣国の王様は、そう言ってマロンさんの方を見ると、ニッコリと微笑まれてその場を去って行かれました。
マロンさんは、内助の功とは何なのか分かりませんでしたが、王様に認められた事がとても嬉しかった様子です。
パウエル君は、そんな彼女を愛おしそうに見ています。
そして、そんな二人の幸せそうな姿を遠くで見守る私。
そして‥‥そんな私を後で見ていたのは、我が国の王様でした。
「チョコさん。」
私は、後ろから急に呼ばれたので振り向いてみると‥‥
「王様‥‥。この度はご招待頂きありがとうございます。」
なんと、我が国の王様でした。私は慌ててカーテシーをしました。
王様は無言で手を上げ、それを制しました。
「よいよい。マロンからそなたの話はよく聞いておる。そなたのおかげで、今ではマロンの我儘もなくなったし、今回みたいに隣国との関係を良くするような提案もするようになった。婚約者のパウエル王子との関係も良好なようだし。それに私達親子の関係も良好だ。
‥また城に遊びに来ると良い。マカロンもたまには息抜きが必要だろう。あいつは真面目過ぎて逆に心配だ。」
王様はそう言って、私にもう一度笑顔を見せてから去っていかれました。
‥‥私がマカロン様に会いに、お城へ行っていいと言う事なのかしら?
私は王様に自分の事を認められた事が嬉しくて、マカロン様にこの事を早く伝えたくて、一生懸命マカロン様を探しました。
そして、見つけました。
マカロン様は、ジューン王女と二人でバルコニーにいました。
でも、どうしてでしょう。マカロン様のそばに行きたいのに、足が動きませんでした。
ジューン王女と一緒にいるマカロン様はとても大人っぽく見えました。こうして見るお二人は、とても大人っぽくて美男美女でお似合いです。
ジューン王女はマカロン様をもう好きではない、とマカロン様は言いましたが、女心はコロコロ変わるものです。マカロン様の見た目がジューン王女の好みだというのは間違いないんですから、いつまた本気でマカロン様を好きになってもおかしくないのです。
それにマカロン様だって、私みたいなお子様体型の地味っ子よりも、ゴージャスな美女のジューン王女が良くなる時があるかもしれません。
ああ、私ってばとても卑屈になってる‥‥
私は居た堪れない気持ちになり、思わずマカロン様のいるバルコニーとは反対の方向へと向かって歩き出していました。




