サーラさんと刺繍
私達は二年生になってから、週の半分は他のクラスの授業を受けていい事になっていました。その為、私は黄組の二年のクラスに来ていました。
ピエンさんの事があって以来、黄組の女の子達は私の事を敬遠していましたが‥‥私がタロットカード占いができる事や、生徒会にいる事で興味を持ってくれたのか、今では気軽に話せるようになりました。
「チョコさん、ピエンさんは元気にしてる?」
「うん。町でモテモテだって。町の男の子の方が、学園にいる貴族の御子息達より顔も良くてガタイも良くて、性格もいいって褒めてた。大きな商会の御子息だと下手な貴族よりもお金があるって言ってた。」
「フフ、ピエンさんったら、相変わらず男の子の話ばかりね。元気そうで安心したわ。」
黄組の子はピエンさんがいなくなると、しばらくピエンさんロスに陥っていました。
あんなに虐めてたくせに、いなくなると寂しくなって、その存在感の大きさに自分達もびっくりしていたようです。
「ところでチョコさん、このクラスへ来るという事は、誰かと婚約が決まったのですか?」
さっきから頻繁に私と話してくれてるのは、黄組のサーラ・ラコステ伯爵令嬢です。オレンジがかったブロンドの、豊かな胸が目を引く美人さんです。
「‥‥婚約したい方はいますが、まだまだお許しが貰えないんです。高貴な方で、国内外からも人気のある方なので‥。」
「‥マカロン王子だものね。」
「‥知ってたんじゃないですか。なんで最初知らない体で喋ったんですか。」
「いえ、何となく知らないふりをしようと思ったんですけどね。フフフ。まあ、まだ諦めないで、前向きに頑張りましょう。ほらっ。」
私達は今日は、刺繍と食事マナーの授業の日です。今は課題の刺繍をしてる最中でした。
「チョコさんって、今まで刺繍をした事ないって言ってたのに、結構お上手ね。何かしてたの?」
「いえ、(前世の家庭科の授業で)本当に少しかじった事がある程度です。あっ、でも友達のグスタボ君は凄く上手です。」
「グスタボ君かぁ、良いわよねぇ。少し女の子っぽくても素敵。私も仲良くなりたい。」
「話して見たら?」
「ううん、何ていうのかなぁ、見てるだけで良いの。」
「そうなの?」
「うん。特に親しくしなくても、見るだけで幸せっていう感じなの。グスタボ君の事をそっち系で見てる人多いみたい。グスタボ君を応援する会なんてのもあるの。フフフ、私も会員なの。」
「へぇ、知らなかった。」
「フフフ。チョコさんの知らない事が、学園にはまだまだあるのよ。」
「例えば?」
「まぁ、追々教えてあげるわね。」
そう言うと、サーラさんは再び刺繍に集中しました。私もあくびを堪えながら頑張って刺繍しました。
この刺繍の入ったハンカチをマカロン様にプレゼントする予定なのです。いつ渡せるかは分かりませんが。




