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卒業パーティーへ


学年末試験が終わり、最後の生徒会活動も終わると、それからは何事もなく平和に月日が流れていきました。


そして、とうとう三年生の卒業の日が来てしまいました。今日は三年生の皆さんは、夜のパーティーに備えてドレスアップをしたり、パートナーを迎えに行ったりと忙しいようです。


私とエリナさんとモアさんは、エリナさんの家でお茶をしていました。


「チョコ、知ってた?三年生でなくても、ダンスのパートナーに選ばれたら、一、ニ年生でもパーティーに行けるんですって。」


「えっ、うちの学園ってそうなの?」


「うん、ソード先輩に教えてもらったの。」


「エリナさんは行くの?」


「うん、モアも行くんだって。」


「!あっ、ノア先輩と踊るの?」


「うん。」


エリナさんとモアさんは、先輩達に誘われてパーティーへ行くようです。‥‥私は、そんな話は先輩から聞いていないし、誘われてもいませんでした。


「チョコは?」


「私‥‥マカロン先輩から何も聞いてない。どうしよう‥先輩、他の人を誘ったのかしら?私が何かしたかしら?私には来てほしいくないのかしら?どうしよう‥。」


私は不安を二人にぶつけてしまいました。


「‥‥まぁ、そういう事もあるわよ。大丈夫よ。」


「‥マカロン王子は王族だから、主催側になるのかもよ。ダンスは踊らないかもよ。」


‥二人とも下手な慰めをしてくれました。


二人とも、いつもはもっと饒舌で上手に慰めてくれるのに‥今日はやけに話にキレがないわね‥‥ダメダメ、二人に八つ当たりしちゃダメ。落ち着くのよ、私。イライラしてはダメ。


‥‥それにしても、二人共ダンスパーティーに行くならどうして私とお茶をして、こんなにものんびりとしているのかしら?


私は心の中で忙しく独り言を言っていました。黙ったままの私を見て、二人共心配そうに私を見ています。


「あっ、ごめんなさい。考え事をしてただけなの。喋るのを忘れてた。」


二人は、ほっとしたように笑顔になり、そして、何かを話し始めようとしました。


「チョコ、実はね‥‥。」


「エリナお嬢様、お見えになりました。」


「あっ、分かったわ。準備して。」


「かしこまりました。」


すると、エリナさん家の侍女長が何人かの侍女を連れてやってきました。


「チョコ、あなたにプレゼントが届いてるわ。手紙付きよ。」


エリナさんの侍女が私に大きな箱を見せてくれました。中にはドレスが入っていました。手紙‥‥マカロン先輩からだわ。


〝チョコ、君に卒業パーティーのダンスのパートナーになって欲しい。今日はエリナ令嬢の家にいるんだよね。あとで迎えに行くから。  マカロン″



「‥‥良かった、他の女の子を誘ったのかと思ってた。本当に良かった。‥‥もしかして二人共この事を知ってた?」


「ごめんなさい。マカロン王子がチョコをびっくりさせたいって言うから、協力したの。悪気はなかったのよ。」


エリナさんが手を合わせて謝ってくれました。


「あっエリナさん、謝らないで。怒ってないし、びっくりしたけど、嬉しかったから。」


「本当?良かった。じゃあ早速準備しましょうね。」


エリナさんがそう言うと、たくさんの侍女が私とエリナさん、モアさんを別々の部屋へ連れていき、支度を始めました。




そして‥‥


「エリナお嬢様、お迎えの馬車が着きました。」


侍女長が馬車の到着を教えてくれました。私達は玄関ホールへ向かいます。扉の前には、素敵な装いの先輩達がいました。


「お姫様達、お迎えにあがりましたよ。」


ソード先輩がそう言って、手を差し伸べました。エリナさんがその手をとり、馬車へと向かいます。


モアさんもノア先輩にエスコートされ、馬車へ向かいます。


私も‥マカロン先輩、いえマカロン王子にエスコートされて馬車へ乗ります。


三台の立派な馬車が連なって学園へと向かいました。


道のわきにいる人々が歓声をあげて見送ってくれます。



馬車の中、私はマカロン王子にずっと見惚れていました。‥‥素敵。本当に素敵。格好いい。


「‥‥チョコ、恥ずかしいから心の中で僕を褒めちぎるのやめて。」


「あっ、ごめんなさい。マカロン王子が私の心を読める事を忘れてました。」


「マカロン王子?もう先輩って呼んでくれないの?」


「はい。だって、先輩はもう同じ学園の先輩ではなくなりますから。」


「なんだか寂しいな。‥マカロンって呼んでいいよ。」 


「王子殿下を呼び捨てには出来ないです。‥‥えっと、ではマカロン様って呼んでもいいですか?」 


「良いね。早速呼んでみて。」


「マカロン様。」


「もう一回、今度は首を傾げながら呼んでみて。」


「マカロン様。」


「今度は怒りながら呼んでみて。」


「マカロン様!いい加減にして下さい。ちょっと面倒くさいです。」


「チョコごめん。あっ、本当に怒ってしまった?」


マカロン様がとても落ち込んでしまいました。私は、王子殿下を相手になんて失礼な事を言ってしまったのか、と今更後悔しました。


「すみません。少し調子にのってしまいました。」


「アハハハ。チョコ、びっくりした?」


「マカロン様、びっくりというか、焦りましたよ。ヒヤヒヤしました。」


「アハハハ。」


こういうのって恋人同士がイチャイチャしてるみたいで、何だか良いなあ。なんて思ってしまいました。あっ、しまった。私の心の中は、全てマカロン様に筒抜けなのをまた忘れてました。


「‥‥。」


マカロン様が急に黙ってしまいました。私の手を握り、顔を近づけて頬にキスをされました。


ドキドキドキ、鼓動が止まりません。頬にキスって家族にしてもらうのと、好きな人にしてもらうのとでは、こんなにも違うのだという事がよく分かりました。


「マカロン様‥‥私は今大人への階段を一歩登ってしまいましたね。」


私は真っ赤になった顔を両手で隠しながら言いました。


「大人への階段って、アハハ、チョコは変な事を言うね。」


「だって‥マカロン様は、私の心の声をすぐに読んでしまうじゃないですか、だからいっその事、口に出してみたんです。」


「‥イチャイチャかぁ。」


「マカロン様、しみじみ言うのやめて下さい。恥ずかしいから。」


コンコン。


「!」


「‥すみません。王子殿下、すでに到着してましたが、その、もうよろしいですか?」


「ああ、すぐに降りる。‥チョコ、今日のチョコは凄く綺麗だよ。」


マカロン様が、馬車を降りる際にまた頬にキスをしました。


‥‥マカロン様、こんな感じだったでしょうか。これが中等貴族学園とは違う、高等貴族学園クオリティなのでしょうか?

 


ともあれ、私達は卒業パーティー会場へと向かいました。



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