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学園祭の始まり


夏休みも終わり、いよいよ学園祭が始まりました。


私とグスタボ君、エリナさんも朝早くから登校して準備に大忙しです。


グスタボ君が、校庭にいる私を見つけて走って来ました。


「チョコ、どう進んでる?青空市場賑わってるわね。屋台通りみたいでいいじゃない。皆んなきっとら喜ぶわね。」


「グスタボ君は屋台に行った事ある?」


「うん、前にサトルとね。焼き肉の串刺しだっけ、大きい肉に塩がかかったのを食べたわよ。塩がきいてて美味しかったわ~。チョコは、学園祭の青空市場で占いのお店を出したかったんでしょ、諦めちゃっていいの?」


「うん。だって、既に街で占いデビューしてるし、うっかりここで私が占いなんかしちゃったら、ピエンさんに私の正体がばれてしまうから。それに‥‥。」


「そうね、今日のメインイベントのファッションショーに出るんだものね。ドレスとかアクセサリーとか色々準備はちゃんと整ってるのよね?」


「うん、それに万が一に備えて予備のドレス一式も別の場所に隠して用意してあるの。」


「万が一ねぇ、警備とか強化してあるし大丈夫だとは思うけど、まぁ用意したに越した事はないわね。じゃあ、支度したら控え室にちゃんと来るのよ。」


「またね、グスタボ君。」


私は学園の塔に掛かっている時計を見ました。まだ時間がありそうなので、もう一回青空市場をまわってみようかな、なんて思っていたのですが‥‥


「キャーッ!」


女の子の悲鳴が聞こえました。走っていくと、ピエンさんが教室で悲鳴をあげて泣いていました。


しまった!私一人で来てしまいました。しかも、ピエンさんと二人きりです。


「‥‥。」


「チョコ!あんたの仕業でしょ、私の着るドレスが切り刻まれてるのよ!許さない!」


そう言ってピエンさんが私の胸ぐらを掴んで揺すってきました。


「私じゃないです!私はずっと校庭で学園祭の準備をしてたんですから。」


バシンッ


ピエンさんに頬を叩かれました。


「許さない、許さない!あんたムカつくのよ!」


バシンッ


またピエンさんに頬を叩かれました。


ふと、教室の入り口を見ると、二人の令嬢がこちらの様子を伺っていました。私と目が合うと逃げて行きましたが‥‥


どうやら彼女らが犯人のようです。


でも、今のピエンさんにそれを言っても無駄なようです。


ピエンさんの背後に黒いオーラがユラユラと浮かんでいます。


黒いオーラの中で無数の悪意に満ちた顔がこちらを睨んでいます。


ふと、ピエンさんが手にしていた切り刻まれたドレスが目に入りました。


見ているうちに、ピエンさんの悲しみ、辛さ、憎しみが私にも少し理解できました。


「ピエンさん、私がやったんじゃない。本当に私じゃないの。ドレスなら誰かの予備があったはずだから、持ってくるわ。」


「あんたがやったんじゃなかったら、誰がやったって言うの!ドレス?どうせどうでもいい服なんでしょ!見せてみなさいよ。」


少し黒いオーラが小さくなった気がします。


他人の悪意に敏感なピエンさんだから、私がやったんじゃない事は承知の上での、私への暴行だったのでしょう。


私への暴行は、仕返しというよりも八つ当たりや憎しみに近い感情からの行動のようです。


私は急いで自分の予備のドレス一式を、ピエンさんに渡しました。


「ピエンさん、あなたは私を憎いと思っているのでしょうけど、私はあなたを何とも思ってないの。」


そう言って私はピエンさんに捨て台詞を残して、自分もファッションショーの準備に取り掛かりました。




なぜ私がファッションショーに出る事をピエンさんに言わなかったのかと言うと‥‥


るなの時にいじめられ慣れていた為、色んなパターンは折り込み済みでした。


私がショーに出ると分かれば、ピエンさんは必ず私の衣装を気にするでしょう。そして、私の衣装をピエンさんが気に入れば、かならずそっちを寄越せと言うでしょう。挙句には、取り巻きの男子達を使って私をどこかに閉じ込めていたでしょう。


前世のるなの知識が役に立ちました。


それに予備のドレス。私はピエンさんにショーに出る事がばれてドレスを破られた時用に用意していたのです。でもまさかピエンさんがドレスを刻まれる事態になるとは‥‥例えピエンさんが私を目の敵にしてる人とはいえ、同じ女性として無視できませんでした。何にしても、予備のドレスを持ってきて良かったです。




私は、時計を見て慌てました。急いで着替えてマリーにメイクやヘアアレンジをしてもらいました。


「お嬢様、この顔の赤みは‥‥メイクでも隠せませんよ。どうしましょう。それに‥。」


マリーは私の赤く腫れた頬に、冷えたタオルをそっと当ててくれました。


「何があったのですか。こんなに腫れて、痛々しいです。」


泣きそうな顔をしたマリーを安心させたくて、私は笑って言いました。


「これも私の女の勲章よ。恥ずかしくなんかないわ。堂々と行って来るわね。」


「ええ、お嬢様。どうか堂々といってらっしゃいませ。」


マリーに見送られ、私はショーの控え室へ向かいました。


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