サトルside〜ある週末〜
夏休みのとある週末、僕はグスタボ君と街へ出て買い物や食事を楽しんだ。食事の帰りにグスタボ君を噴水のある広場に誘った。
「ここはね、街の真ん中にある広場なんだ。屋台や露店が多くて賑やかでしょ。今日はグスタボ君と男二人の外出だし、たまには屋台の食べ物を広場のベンチに腰掛けて食べてみたいなって思ったんだけど、どう?」
「良いじゃない、楽しそう!何から食べようか。」
「あっ、あの焼き肉の串刺しがお勧めだよ。ちょっと待ってて。」
僕の一番好きな焼き肉の串刺し、以前からグスタボ君に食べさせてあげたかったんだ。
「おじさん、この串を二本ちょうだい。」
「おっ、お兄ちゃん一人で食べるのかい?」
「違う。友達と来てるんだ。じゃあね。」
僕は、両手で焼き肉の串を持ってグスタボの所へ戻った。
だけど、この女の子は‥‥えっと誰だっけ?グスタボ君の隣に、どこかで見たことがあるような無いような美少女が腰掛けていた。
「こんにちは。同じ学園のピエンですぅ。偶然ですね。グスタボ君とサトル君ですよね。前から一度話してみたかったんですぅ。」
僕は焼き肉の串焼きが二本しかない事に気付いた。これは、グスタボ君とピエンさんにあげるべきか?‥‥ピエン?あっ、チョコを目の敵にしてる女の子か?
僕が色々考えてオロオロしてると、グスタボ君が僕の持ってる焼き肉の串を一本とると、反対の手で、僕の空いてる方の手を握ってきた。そして‥‥
「ごめんなさい、ピエンさん。私達これからデートなのぉ。じゃあね〜。」
そう言って、グスタボ君は僕の手をひいてその場を去った。
デート?何て事を言うんだろう!グスタボ君がそんな事を言うから、僕とグスタボ君が恋人同士だと、完全にピエンさんに誤解された気がする。
ピエンさんはしばらくポカンとしていたが、やがて鬼の形相で僕らを睨んできた。ほら、やっぱりピエンさんは誤解して怒っている。でも僕らが万が一付き合っていたとしても、なぜピエンさんが怒る必要があるんだろう。よく分からなかった。
「‥‥グスタボ君、ピエンさんを一人で置いてきちゃって大丈夫かな。グスタボ君が、デートだなんて言うから、僕らの事を誤解して怒っているみたいだよ。」
「サトルも、お人好しね。私とサトルが二人で楽しく遊んでるのに、混ざってこようだなんて、ピエンさんも図々しいわよ!
きっと、私達のどっちかが狙いね。なのに私達が付き合ってるような言い方をしたから、当てが外れて怒ってるのよ。私も分かってて言ったの。だから放っておきなさい。」
「そうか。グスタボ君、ありがとう。僕ね、焼き肉の串焼きを二本しか買ってこなかったから、ピエンさんがいるのを見て困ってたんだ。僕の分をピエンさんにあげるべきなのかなぁって。だから助かったよ。」
「くっ、サトル、可愛すぎるわ!弟体質で、天然でお人好しだなんて。」
そう言ってグスタボ君が僕を抱きしめてくれた。
以前はグスタボ君の事をお兄ちゃんのように思っていたが、今は、友達でもあり、お兄ちゃんでもあり、お母さんのような存在になっていた。
「あっそう言えば、僕の能力の〝集中力″を使って最近〝鑑定能力″を手に入れたんだ。グスタボ君を見てもいい?」
そうそう、僕はこの事を言う為に今日グスタボ君を誘ったんだった。僕が進化してる事を、一番の友達のグスタボ君に知って欲しかったんだ。
「サトル、いつの間に‥。凄いわ、ぜひ見てちょうだい。」
「じゃあ見るよ。
能力:〝霊能力″
特技:〝降霊術″〝除霊″〝絵を描く事″〝刺繍″です。」
「凄い!合ってると思う。能力の事だったらサトルには何でも分っちゃうんだね。」
「あっ、でも勝手に他人の能力を見るような事はしないよ。相手に失礼だから。」
「サトルのそういう律儀な所が良いのよね。」
「僕もグスタボ君のなんでも受け入れてくれる懐の深いところが好きだよ。」
僕らはお互いを褒め合った。手は繋いだままで。多分誰かに見られたら、また二人の仲を誤解されてしまいそうだが、僕はグスタボ君の手を離すのがもったいなくて、ずっとそのままでいた。




