武内るな視点
占い師として忙しい日々のるな。
今回は、るなの視点で書いて見ました。
「ふぅ。終わった。」
るなは、大きなショッピングモールの一角でひっきりなしに来るお客様を占い続けて、やっと今最後のお客様を見送ったところだった。
「今日の売上げは、、うん。結構稼げたかも。」
今日の売上表を記入し、従業員用のバッグヤードへ入り、事務所で担当のおじさん職員に売上金と売上表を渡した。場所代として売上金の二割を納めると、後は私の純粋な収入だから、今日は五万以上は持って帰れる。やったー!
「おー、ご苦労様。じゃあ二割納めて貰って、、占いのお姉さんには、はい、これだけね。また明日も宜しくお願いしますよ。」
「はい。宜しくお願いします。」
そしてロッカールームで、占い師用の服から普段着に着替えて帰るのだが、、こっちをチラチラと見る気配を感じ、油断してそっちを見てしまったら早速話しかけられてしまった。
「ねぇ、占い師のお姉さん。今日もお客さんいっぱいだったね。そんなに稼いで結婚資金でも貯めてんの?彼氏とちゃんとデートしてる?」
出たーっ。お節介おばさん!
この人は派遣会社から時々派遣されては、色々なメーカー品を売るおばさんなんだけど、、、いつもロッカールームで話しかけてくるんだよなぁ。正直、着替えてる時にあまり話しかけられたくないし、苦手なおばさんなんだよな。
若い子=恋人いるでしょ、早く結婚しちゃえば良いのに〜の概念押し付け来るのが苦手だわ。
うわっまだじっと見てる。
「結婚の予定も無いし、彼氏もいないです。」
うわっ。馬鹿正直に答えちゃった。おばさんニヤッとしたぞ、今。
「占いやってお客さんからお金とって、そんなんしてるから、彼氏もできないのよ。出会いもないじゃ無い?お客、女ばっかでしょ。同業者も女。何か暗いイメージあるもん。」
「……。」
「だから、ちゃんとした所へ就職して、良い人見つけて結婚しないと駄目よ。おばさんもね、お姉さんと同じぐらいの娘がいるから、気になってたのよ。
まず、明るい服着て飲み会行くとかしなきゃね。」
「…はい。」
「白馬の王子様は待ってても、向こうからはやってこないのよ。ちゃんと自分で努力しなきゃね。」
はい、出たー。白馬の王子様はただ待ってるだけじゃやってこないよのセリフ。
おばさん、良いこと言ってあげたって満足の顔で帰っていったよ。。悪気はないんだろうけど、そう、良かれと思って言ってくれたんだよなぁ。だけど、ごめんねおばさん。よけいなお世話!
「……。コンビニでカルピスサワーとホルモン買って帰るか。」
こうして私は占い衣装や道具を入れたスーツケースをガラガラひき、我が家へと電車を乗り継ぎ帰るのだった。
「プハーッ。炭酸が身体に染みる〜。ホルモン旨い〜!!」
家に帰った私は、帰るとすぐにシャワーを浴び、明日の朝洗濯して室内干しするのだけ避けて、脱いだ服やリネン類を洗濯乾燥にかけた。帰ってからこのルーティーンをこなさないと安心して寛げないのだ。
髪を乾かし、冷蔵庫から取り出したばかりのアルコール入りの炭酸を飲み、パックに入った焼鳥やホルモン、カルビをレンジでチンして食べるのだ。あー、幸せ。
そして、ソファーで携帯電話をいじりながら、お気に入りの電子漫画を読むのが唯一の癒し。もう、お家最高!
ピポポ、ピポポ、ピポ、、
携帯が着信画面に切り替わる。イタコのおばからだ。
「もしもし、おばちゃん。こんな夜にどうした?」
「るな、お前に何か憑いとるぞ!寝る前に祈ってたら映像がみえた。。」
「えっ、やだ怖いじゃん。でも、私気付かなかったけど?」
「やぁ、悪い霊とかじゃなくて、、。」
「良い霊?」
「お前、、この世界じゃない別の世界もあるんだって言ったら、信じるか?」
「パラレルワールド……。異世界…。そんな感じの世界?」
「そうだな。そのもう一つの世界にもお前の魂が生きてるとして、その魂がお前に今日憑いてたって言ったら分かる?」
「私が私に?」
「そう。今も憑いてる。お前の魂がお前に憑いてるんだから、気付かなかったとしても当然だと思う。きっと近いうち、2つの魂の統合が起こりそうな気がして、電話したんだけど。何か思い当たる事ないの?」
「……ねぇ、おばちゃん。今だから言うけど、私さぁ最近思うところがあって、たまに自分の事占うんだよね。するとね、違う質問をしても毎回未来に事故や災害って出るんだよね。しかも、避けられない運命って出てた。」
「うん。」
「私死ぬってこと?他の世界に生まれ変わるのかな?」
「占いの事は分からないし、お前の具体的な未来は
はっきりと示せんけど、見知らぬ西洋のような世界で生きてるお前の魂に、この地球上のお前の魂が入って生きてく未来も見えた。いくつかある未来の中の一つだけどな。」
「私の意識は消えちゃうの?」
「いや、お前はお前の意識のままだ。向こうの世界のお前もお前だから、どちらの意識も消えないし、2人分の意識があるわけでもない。お前の魂も意識は続く。ただ、今世の記憶も引き継がれちゃうかもな。それはそれで厄介かもな。たいていは生まれ変わると記憶はリセットされるものなのに。」
「じゃあ、私は万が一死んでも、向こうの世界でまた同じ魂や意識を持ったまま生きられるの?」
「そうだね。でも、遥か昔にお前の魂が決めたシナリオだ。抗うことなく受け入れても、悪い事にはならない。、必ず何かの意味というか使命があるはず。」
「わかった。いつ死んでも良いように部屋の片付けや終活ノートでも作っとくよ。」
「まだ、死ぬって未来が決まった訳じゃないけど、まぁ生きてても死んでも悪いようにはならないよ。お前はお前らしくこの世でも来世でもいつでも一生懸命に生きれば良い。」
「ありがとう、おばちゃん。一番聞きたかった言葉を聞けた気がする。おやすみね。」
「あっ、夜遅くにごめん。お前、明日は朝早くから仕事だったね。おやすみ。」
うん。なんか、すんなり納得できた。
別に死ぬって決まった訳でもないけど、、人は人である限りいつかは死ぬものだしね。
とりあえず死んだ後見られて恥ずかしい漫画や雑誌や、携帯履歴は破棄しておこう。
目を閉じてソファーに横になっていると、いつのまにか眠っていた。よくは覚えて無いけど、見知らぬ女の子がカラフルな頭の子達と学園生活を送ってるらしい変わった夢を見た気がする。。