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ピエンさんの黒いオーラ



ピエンさんを前に、もう一度カードをシャッフルして並べます。


ピエンさんの心理状態を三層に分けて、その三層をさらに分けて、外側からじわじわと核心に触れていくスプレッドを展開していきます。


まずは、表層心理から見ます。


「あなたは、周りからの評価を気にする環境にいて、常に気を張って生きてます。それでも、気丈に振る舞っています。


けれども、このいつ終わるのか分からない戦いの日々に疲れを感じている自分がいる事を自覚していますか?」


「戦い疲れる?」


「はい。常に競い合い、気の抜けない日々の連続に、嫌気がさしたあなたが見えます。」 


「よく分からないけど、それが何?」


「‥‥もう少し見させて下さい。もっとあなたの深い部分に入っていきます。


あなたの中に、何かコンプレックスというのか悩みがあるようです。それが過去への憧憬という形で表れてます。


つまり、過去にコンプレックスがあるが、その過去を懐かしく感じる自分がいるのです。


そして、その核心部分にあなたの本当の悩みや願いが隠れているようです。」


ピエンさんは険しい表情をして、ずっと黙ったままです。


「何か思い当たる事がありますか?」


ピエンさんは、ようやく重い口を開きました。


「私ね、もとは平民だったの。お母さんと仲良く楽しく暮らしてたの。お父さんはいなかったけどね。


でもね、ある時急にお父さんだっていう人が現れて、私をお母さんから引き離して王都にあるお屋敷へ連れて行ったの。髪を整えて、綺麗な服を着せられて、本当にびっくりしたの。


でも、行く先々で可愛いって言われて、自分の外見に自信がついたの。今までの私は何だったの?って思ったの。それから昔の自分を思い出す事が嫌になったの。これからは、もっともっと綺麗になって、私を田舎臭いって笑った貴族の令嬢達を見返してやる!って決意したの。


でもね、一方でお母さんの事が気になって‥。だからね、綺麗になって、公爵家や王族に嫁いで、お母さんに贅沢をさせてあげたいの!


なのに!あの女、私みたいに頑張って綺麗にしようともしないし、愛想もないのに、周りにあんな凄い人達を侍らせて!許せない!」



ピエンさんの過去と私への敵対心の正体がわかりました。ピエンさんの黒いオーラが大きく揺らめいています。‥‥これは、手強いです。あっ、そうだ占いに集中しなくては。


「なるほど、あなたは平民から急に貴族になって、貴族の令嬢達に何か言われたりされたりして傷つけられたのですね。それで、綺麗になって、素敵な婚約者を見つけて見返してやりたいと思っているのですね。


それで、その女子生徒があなたにとっては邪魔なのですね。」


「そう!やっと分かってくれたのね。じゃあ、どうすればあの女からあの女の周りの人達を取り上げる事ができるの?」


「その女子生徒から、周りの人達を取り上げてしまうんですか?そうすると、その彼女はひとりぼっちになってしまいますよ。」


「あんな奴、目障りなのよ!ひとりぼっちになってしまえばいいんだわ。地味で暗いからひとりぼっちがお似合いよ。いい気味だわ!


それにあいつの周りの人達って、皆んな豪華なの。あんな豪華な人達が私の周りにいたら、同じクラスの女達も悔しがるわね。ざまぁ見ろよ!」


パリーンッ。


すっ水晶が、テーブルの上に乗せていた水晶が割れてしまいました。ピエンさんの黒いオーラの中に無数の顔が見えます。


テーブルの上には、最終結果のカードに〝塔″が正位置で出ていました。崩壊や破滅を表すカードです。


何かが起こる、そんな予感がしました。


「あなたの本当の願いは何ですか?あなたは、いったい‥‥。」


ピエンさんはくろいオーラを背中に携えながら、フラフラと出て行ってしまいました。あのオーラの中にあったのは、ピエンさん以外の人達の様々な悪意。


ピエンさんはどうやら引き寄せ体質のようです。無意識のうちに、自分の感情に合う波長のモノを引き付けてしまう体質のようです。


本当は、競争社会と関係のない環境で生きるべき人なのです。人の悪意のない環境が彼女には生きやすいのです。あのままでは、ピエンさんはあのオーラに飲み込まれてしまいます。


はあ、こんな時にイタコのおばちゃんがいたらなぁ。


‥‥グスタボ君に相談してもいいのでしょうか。もう彼以外に相談出来る人が思い浮かびません。


それに彼にはなぜか、イタコのおばのような親しみ安さを感じてしまうのです。



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