生徒会室にて
今日は、この世界の神話についての講義です。内容は、地球の神話とほぼ同じでした。神様は、どの世界でも共通なのでしょうか。
先生の講義が終わり、私とグスタボ君とエリナさんで生徒会室へ向かいます。
私は、先程の先生の講義に出てきた様々な女神様をモチーフにし、22枚全てのカードを女神様のイラストで作ろうと構想を練り、ワクワクしていました。
トントン、
「こんにちは。ソード先輩、会長、ノア先輩。今日は、チョコとグスタボ君も来ました。」
「エリナちゃん、いらっしゃい。グスタボ君とチョコちゃんも座って~。楽にしてても良いよ。今日は会議しないし。」
「ありがとうございます。」
先輩達への挨拶を済ますと、私とグスタボ君はカード作りにすぐさま集中しました。
「じゃあ、チョコ。何描けば良い?」
「じゃあ、0番の〝愚者″のカードから描こうか。
まず、タロットの構成なんだけど、22枚のカードには、0から21番までの番号が付いていて、カードそれぞれに意味があるの。
0番の〝愚者″が、好奇心旺盛で無邪気な子供を表すんだけど、その子供が、色々な出会いや気づきを経て、成長していく物語になっているの。」
「つまり、順番通りに描いていくとしたら、まずは0番の無邪気な子供を描けば良いのね。」
「そうなの。でね、カードの上の方に番号をかいてもらって、横に〝愚者″ってかいてね。
イラストは、幼い女神様というか、天使のような人物を、グスタボ君風にアレンジして描いて欲しいの。」
「分かった!」
カリカリカリ、カリカリ、
グスタボ君が早速描いてくれています。しかも、早い!もう3番の〝女帝″を描いています。
〝女帝″は、物質的豊かさや充実して穏やかな心をもった女性のイメージです。
私にとっては、愛と美と性の女神のアプロディーテーがそのイメージです。
「‥‥あっ、すみません。少し私事をさせて頂いてます。」
生徒会室に入るなり、夢中になってしまい、他の方達の存在を忘れていました。
「急にチョコちゃんとグスタボ君で、何か始まったからびっくりしたよ。何か面白い事するの?」
ソード先輩の質問に、私ではなくエリナさんが答えてくれました。
「はい。チョコは、カードを使った占いが出来るんです。だから、その占い用のカードを、絵の上手なグスタボ君が作ってくれるんですよ。」
「へぇ~。」
ノア先輩が、本を読むのをやめて、こっちへ近づいて来ました。
カードがよほど気になるんでしょうか。
「グスタボ君、絵が上手なんだね。それに‥‥この女神様、グスタボ君に似てるね。とても上品で綺麗だ。」
ノア先輩?グスタボ君の目を見つめて、うっとりとした表情で仰いました。
グスタボ君も固まってしまってます。
「惜しいな‥グスタボ君が、女性ならプロポーズしたいぐらいだ。‥‥グスタボ君の女性になった姿が見たいな。」
そう言って、またいつもの読書スペースへ戻って行かれました。
「ノア先輩、生徒会室の風紀を乱さないで下さいね!グスタボ君を変な目で見ないで下さいね!」
エリナさんが顔を赤くして、ノア先輩を非難しました。
ノア先輩は、そんなエリナさんの叫びを鼻で笑っていました。大人の余裕ですか。
「チョコ、あのノア先輩は危険よ。気に入った女性ができたら、ガンガン来るタイプよ、きっと。気をつけてね。」
と、グスタボ君が私に教えてくれましたが、どう考えても、その気にいった女性は、グスタボ君なのでは?と思ってしまいます。
『チョコ、ずっと僕を無視してたでしょ。』
あっ、忘れてました。生徒会室にはマカロン先輩も勿論居たんでした。
『すみません。あまりに集中していて、先輩の声?に気付きませんでした。』
『‥‥。』
あっ、無視ですか。少し拗ねたマカロン先輩を可愛いなぁ、と思ってしまいました。