ガゼボでの告白
今日の授業が全て終わると、私はグスタボ君の手を掴み、急いで学園の庭園にあるガゼボへ向かいました。
「ねぇ、あれってグスタボ君じゃない?」
「やだっ、手を繋いでるのって彼女?」
「どこへ行くのかしら?デートよね。」
女の子達の視線とヒソヒソ声が気になります。
実はグスタボ君、背が高くて中性的でおしゃれで色っぽくて最高!と他のクラスの女子達にも人気なのです。
そのグスタボ君が、女の子と手を繋いで歩いてるのですから、注目されても仕方ありません。
背の低い私が、背の高いグスタボ君を引っ張ってはや歩きしてるので、当のグスタボ君は、大変そうです。
「ちょっと、チョコ。歩きにくい!」
そう言うと、なんと!私をお姫様抱っこしてしまいました。
「キャーッ!」
「グスタボ君に私も抱っこされたい。」
「ずるーい!」
さっきまでのヒソヒソ声は、黄色い悲鳴の渦に変わってしまいました。
‥‥25歳のるなの記憶をもつチョコとしては複雑です。
まさか、12歳の男の子にお姫様抱っこされるとは、、でも意外と楽で心地良かったので、そのまま抱っこされる事にしました。
ふとその時、るなの甥っ子との昔の記憶が会話付きで蘇りました。
「あのね、るな姉ちゃん。僕重くなったでしょう。僕を抱っこした時にね、僕がこうやってお姉ちゃんの体に巻きつくと、少し軽くなるんだよ。お母さんが言ってた。」
そう言って、可愛い甥っ子が私の首と背中に腕をまわすと、確かに軽くなった気がしたのを思い出し、、
私は、細いグスタボ君に負担がかからないように甥っ子の真似をして、グスタボ君の首と背中に腕を巻き付け、ギューッと抱きつきました。
すると、グスタボ君の心臓が早打ちしている音が聞こえました。
あっ、これ勘違いされたかもしれない‥‥。
「チョコってば、地味なふりして小悪魔ね。気をつけてね。私、話し方はこんなだけど、恋愛対象は女の子なのよ。私が男だって事、忘れないでね。」
「‥‥はい。すいません。」
グスタボ君に叱られてしまいました。
「‥‥あっ、あそこのガゼボです。」
気を取り直して、ガゼボの椅子に二人で腰掛けると、
ガゼボの近くの茂みから、まさかのエリナさんの登場です!
「何よう、二人して私を仲間外れにして!私も仲間に入れなさいよ。」
最近は公爵令嬢という事を忘れて、奇行の多いエリナさんの登場です。しかも、ちょっと拗ねてる様子が可愛いです。12歳の年相応の女の子って感じがします。
「仲間外れになんかしてないですよ、エリナさん。今日はグスタボ君の力を貸して貰って、やりたい事があって、グスタボ君を呼んだんです。‥‥皆んなの前では話せなかったので。」
「「やりたい事?」」
「そうなんです!実はグスタボ君の絵の才能をお借りして、カードを作ってみたいんです。」
「はい。カードを作って、そのカードをツールにして占いができるんです。」
「占いって、予言的なものなの?チョコってそんな事ができたの?」
エリナさんは、占いと聞いた途端訝しげに私を見てきました。当然の反応です。
「‥‥。私、チョコが占いをするの、賛成する。今まで言わなかったけど、チョコと教会で会った日に、少し大人になったチョコが、悩んでる人達にカードを並べながら何か励ましたり、教えてあげてる様子がチラッと見えたの。」
「グスタボ君!それ本当?だとしたら私、この世界でまたタロットカードを使って占い師が出来るのね!」
「「また?タロットカード?占い師?」」
「‥‥あっ、実は二人にまだ話してない事がありまして。」
私は地球のるなの生まれ変わりだという事、地球で占い師をしてた事を二人に話しました。