表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/97

グスタボ君、絵が上手!


今日もマイケル先生の講義は、分かりやすくて楽しくて、あっという間に時間が過ぎてゆきました。


まだ授業時間が少し残っていたので、先生がこれは教科書には載ってない話なんだけど、と前置きをしてお話をしてくれました。


「かつてこの世界では、人々は皆言葉は使わずに心に思った事を、お互いの心で感じとる事で会話をしていたんだ。


ところが、いつしか人々は心の中を読まれる事を恐れるようになった。


すると、人々はお互いの心を感じる事が出来ずに、どう会話をするか悩んだんだ。


そんな時、誰かが声を発した。


皆びっくりした。けれども気付いたんだ。声があるじゃないか。声で会話をしようと。そうやって言葉での会話が生まれたんだ。


何故このような進化が起こったと思う?


昔はね、怖い魔獣が沢山いたんだ。それに対抗する為に、人々は魔力というものを持って産まれてきた。そして、うっかり声を発して魔獣に見つからぬように、心での会話ができるようになっていた。


だが、人々は沢山の魔獣に打ち勝ち、生命の危機はなくなった。


すると、今度は魔獣ではなく人間同士で小さな諍いが生まれたんだ。疑い、不安、怒りの心が産まれ、人々はいつしか心を閉ざすようになり、それで言葉での会話が生まれたんだ。


だから魔獣などいなくても、皆んなが心を閉ざさなければ、また心での会話ができるような時代がくるんだろうな。」


私達は、真剣に聞いていました。


私は、マカロン先輩(時々王子なのを忘れてしまうけど、学校では皆んなそれで良いみたいです)の事を思い出していました。


私とマカロン先輩は、心が通い合ってるってこと?


カリカリカリ‥‥カリカリカリ‥‥


隣でグスタボ君が、一生懸命なにかを書いています。とても気になります。


「グスタボ君、何書いたの?」


「チョコだけに見せてあげる。笑ったり馬鹿にしたりしない?」


「うん。」


「じゃあ‥‥はいっ、見てみて。結構上手く描けたから、ちょうど誰かに見せたかったの。」


グスタボ君の描いていたのは、なんと、ミュシャ風のお洒落なデザイン画でした!


「グスタボ君、今日の帰りに二人で話したい事があるの!良い?」


これは、、念願のタロットカードが作れます!


顔を赤くして、モジモジして頷いてくれたグスタボ君。


先生は、何か勘違いをしたようで、


「グスタボ君、トイレへ行きたい時は我慢しないで行ってきていいんだぞ。」


とおっしゃいました。


「違います。もう‥‥チョコのせいよ!‥‥馬鹿。」


何が私のせいなのかは分かりませんが、グスタボ君とタロットカードが作れそうな予感に、私はワクワクしていました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ