グスタボ君、絵が上手!
今日もマイケル先生の講義は、分かりやすくて楽しくて、あっという間に時間が過ぎてゆきました。
まだ授業時間が少し残っていたので、先生がこれは教科書には載ってない話なんだけど、と前置きをしてお話をしてくれました。
「かつてこの世界では、人々は皆言葉は使わずに心に思った事を、お互いの心で感じとる事で会話をしていたんだ。
ところが、いつしか人々は心の中を読まれる事を恐れるようになった。
すると、人々はお互いの心を感じる事が出来ずに、どう会話をするか悩んだんだ。
そんな時、誰かが声を発した。
皆びっくりした。けれども気付いたんだ。声があるじゃないか。声で会話をしようと。そうやって言葉での会話が生まれたんだ。
何故このような進化が起こったと思う?
昔はね、怖い魔獣が沢山いたんだ。それに対抗する為に、人々は魔力というものを持って産まれてきた。そして、うっかり声を発して魔獣に見つからぬように、心での会話ができるようになっていた。
だが、人々は沢山の魔獣に打ち勝ち、生命の危機はなくなった。
すると、今度は魔獣ではなく人間同士で小さな諍いが生まれたんだ。疑い、不安、怒りの心が産まれ、人々はいつしか心を閉ざすようになり、それで言葉での会話が生まれたんだ。
だから魔獣などいなくても、皆んなが心を閉ざさなければ、また心での会話ができるような時代がくるんだろうな。」
私達は、真剣に聞いていました。
私は、マカロン先輩(時々王子なのを忘れてしまうけど、学校では皆んなそれで良いみたいです)の事を思い出していました。
私とマカロン先輩は、心が通い合ってるってこと?
カリカリカリ‥‥カリカリカリ‥‥
隣でグスタボ君が、一生懸命なにかを書いています。とても気になります。
「グスタボ君、何書いたの?」
「チョコだけに見せてあげる。笑ったり馬鹿にしたりしない?」
「うん。」
「じゃあ‥‥はいっ、見てみて。結構上手く描けたから、ちょうど誰かに見せたかったの。」
グスタボ君の描いていたのは、なんと、ミュシャ風のお洒落なデザイン画でした!
「グスタボ君、今日の帰りに二人で話したい事があるの!良い?」
これは、、念願のタロットカードが作れます!
顔を赤くして、モジモジして頷いてくれたグスタボ君。
先生は、何か勘違いをしたようで、
「グスタボ君、トイレへ行きたい時は我慢しないで行ってきていいんだぞ。」
とおっしゃいました。
「違います。もう‥‥チョコのせいよ!‥‥馬鹿。」
何が私のせいなのかは分かりませんが、グスタボ君とタロットカードが作れそうな予感に、私はワクワクしていました。