武内るな視点‥‥からのスッキリ
この日、るなは帽子とマスクと手袋をつけて、長靴を履き、両手にゴミ袋を持って、ゴミ捨て場へと向かっていました。
雪の上を慎重に慎重に歩いていきます。
アパートから少し離れたところにあるゴミ捨て場が、雪のせいかやたらと遠く感じます。
「やぁー、やっと片付いたぁ!」
るなは、度々起こる地震で部屋の中のものが倒れて来ないように、
外へ逃げる際に逃げ道を塞がないように、
昨日から今日の朝まで、ずっと部屋の大掃除や断捨離をしていたのです。その為、るなの部屋はミニマリストの部屋の様に物の少ないスッキリした部屋となっていました。
そしてこの重装備ですが、ゴミ出しとはいえ、外へ出るのですからマスクや手袋は欠かせません。
巷では、まだ様々なウイルスが蔓延しています。
「さっ、徹夜した事だし、帰って寝るか!」
そう言って、来た道を戻ろうとすると、、
キィーー! バンッ!!
なんと、るなは雪道をスリップした自動車にぶつかって道に飛ばされていました。
るなは、しばらくは自分の血だらけの身体のそばにいましたが、
自分の死を確信しました。そして、、
「えーっ!だってあんなに気をつけてたのに!!」
そう叫びながら、ベッドの上で目を覚ましました。
「お嬢様!どうしました??」
驚いた顔の侍女のマリーが、慌てて私のもとへ来ました。
「凄い汗ですよ〜。怖い夢でも見たんですか?」
そう言って、とても心配そうな顔をして私の汗を拭ってくれました。
「マリー、私っていつから寝てた?」
「昨日はいつもと同じ時間に寝てましたよ。」
「一晩しか寝てないのよね。」
「勿論です。‥‥長い夢でも見たんですか?」
「夢‥‥。」
私はチョコ・シリアル。
そして彼女は侍女のマリー。
そして、そして、私はチョコの前世であろう、、武内るな。
私は確かにチョコ・シリアルだけど、、
チョコではなく、武内るなとして確かについさっきまで、地球で生きてきた記憶もあります。
ぶつかってきた車の当たる感覚が、生々しく体に残っています。
私は死んだ時の悔し思いが蘇り、泣いていました。
だって、あんなに何が起きても死なないように気を付けてたのに、、
どうして自動車にぶつかって死んでしまったのだろう、、悔しい。。
マリーは、泣いてる私をずっと抱きしめてくれました。
「お嬢様、今日は学校もお休みの日ですし、ゆっくりシャワーを浴びて、のんびりと過ごしましょう。」
「あっ、ねぇマリー。今日は前髪を切って欲しいの。」
「あらっ。嬉しい!お嬢様を可愛く変身させて、明日学園で皆んなをびっくりさせましょうね!」
「あっ、ううん。ただ目の上で切ってくれるだけで良いよ。」
「ええ。勿論。私に任せて下さい。間違いなく素敵にします!」
「‥じゃあ、うん。もうマリーに任せる!」
「はいっ。」
こうして私はシャワーを浴び、のんびりとお茶をして、ソファーでウトウトして、おやつを食べて、
マリーに前髪を、、、
バッサリと切られました。
えーってビックリさせられたけど、、鏡に映る私を見て、
「うん。悪くないかも。(ちょっと可愛い)」
大満足したのでした。