表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/160

4話 触手踊る

 タイトルがなんだかさびしいですねー。しかし今更変えるのはまずいかなー?

 

 ジャンヌの森 

 

 触手さんは、なんとか地面に到着した。到着というよりは着陸といった様子だったが、ともかく降りる事が出来た。


 しかし被害は甚大であった。木の幹に密着していた触手4本は、根本まで完全に擦りきれて、木の皮に痕跡を残すのみ。赤いゼリー状のラインが触手さんの飛び降りた木の枝の側から地面に向けて長々と一直線に描かれていた。


 スライムっぽい土台のボディー(決してスライムとは、認めぬ!)は擦りきれてドロリと体液が流れだし、ズタボロなボディーを伝い、地面に垂れつつあった。

 

 勿論サヨナラした触手以外も悲惨な状態だった。形は維持しているが、どの触手も半分は削られ、粘りのある紅色の体液がテロ~ンと触手の端から垂れ落ちそうになっていた。


「……ふふ……ふ。残った。……残ったぞ! ノコッタノコッタ! イキノコッタ~! いやっふ~!」


 未だにテンションがおかしくなったままの触手さん。短くなった触手を振り乱し、喜びのダンスを舞っています。触手をふりふり、辺りの(まば)らに生えた草をなぎ倒し、反動で帰ってくる草カウンターを食らいながらも踊り続けています。


 触手だけではなくボディーも回転し始める触手さん。割とハードな動きをしていますが、傷口からテロリと出ている体液は、飛び散ることなく遠心力で伸び伸びになっています。


「ノ~コッタ、ノ~コッタッヨイヨイッ! はぁ~けっヨイヨイ、の~こった。……いぇい!」


 踊る触手さんをよそに、傷ついた触手は勝手に再生を始めていた。元来、ローパーとは高い再生力を持つ魔物で、触手が千切れても直ぐに元通りになる厄介な能力を所持している。


 触手が切れても1分で生え変わる。退治する側からすると悪夢であるが、ローパー属は基本的に悪さをする種族ではない為、困ることになるのは、庭をローパーに占拠された場合等、限定的な状況のみである。しかも、無理に倒さなくても、大概のローパーは言葉を理解するので話し合いで解決できる。勿論、賄賂は適宜必要になるが。


「バンジーバンジ~あいきゃんふら~い(くるくる)、パンジ~ぱんちぃーふらふら~い?(くるくる……ぴたっ) ……ふぅ。……酔った。……気持ち悪い(ぎぼちわるぅ)


 説明の間に、すっかり元のボディーを取り戻した触手さん。回りすぎて、酔った様子。不思議生物触手さん、三半規管的な物が何処かに有るのでしょう。きっと。


 ねぇよ! んなもん! それに飛んでねえよ! どこにそんな描写あったよ! むしろ落ちてるし、墜落してるし!


 気持ちは分かります。しかし突っ込みを始めたら、仕事になりません。耐えて下さい。


 くっ……すいません。……自らの回転によって、気持ち悪くなった触手さん。ローパーには、光を感じる器官と音を感じる器官、そして魔力を感じる器官がある。分かりやすく形がある訳ではないが、触手とボディーの表面と内部に存在しているそれらによって外界を認識している。


 三半規管的な物は………無い。無いのだが、きっと流動する体液が流動して感覚器官が、おかしくなって酔ったのだろう。


 …………流動、してないんだ、本当は。だって中身ドロドロで、しかも半個体状態で不思議パワーでまとめてあって、初期型だから、特別処理されているけど、だからこそ中身は動かねぇ。動くのは、水精霊か、その派生系しかいねぇんだよ!


 落ち着きなさい。まだ引っ張られていますよ。真面目に受けずに流しなさい。解説にだけ集中しなさい。


「オォウ。イツノマニカ、フルチャージね。(うねうね)」


 何でカタコト!! なにがチャージしてんの?!


「フム、帰るか」


 いや、急に素になるなよ! あのテンションは、どうした!?


 「ぃよいしょっと。ヌ~~フフ~~ン」


 鼻歌交じりに進む触手さん。触手を蜘蛛の様に動かして進むのは、可愛くないので止めて欲しいものですが。先日の原因不明な金縛りのせいで、速く動く手段を手に入れたのでしょう。


「フフ~ン。フフ~フ~ン。ぬっ! いかん! 足が! ……ぬぺっ?!」


 慣れない移動方法で触手が絡んだ触手さん。絡んだ触手を支点にしてハンマーの様に大きな円を描いて地面に叩き付けられます。ベチヨン。特にダメージは、ありません。


「くっころー! くっころくっころー! くっくっくっ。なかなかいい肩してるじゃねぇか。危うく(うねうね) 危うい所だった(うねうね?) ってあれ? もうちょい? く~? (スポン!) 良し、抜けた! ぬぅ。アラクネモードはムズいですねー。もうちょい練習しないと。」


 可愛い声で鳴く触手さん。触手が絡まり、触手玉になっています。何やら寸劇を繰り広げながら、触手をほどいていきます。まだ蜘蛛式歩行は未実装のようですが、やる気はありそうです。

 

 いや、くっころってなに?! 鳴き声?! いいの? それ! それにアラクネモードって……脚だけじゃねぇか! アラクネ様に喧嘩売ってんのか、あぁん? この世界の八割の男が敵にまわんぞ、ごらぁ?!


 接続し直しましたか。まさか突っ込みの為に戻ってくるとは。優秀故に残念です。お仕置きです。


 いえ、その、仕事を投げ出すのは、どうかと、思いまして、はい。えーとそれでは解説を……あの、それってブラックホールでは? え? 反省してこい? いやいや、それは、やり過ぎでは……ぎゃぁぁぁぁ!


「マイホームが僕を呼んでるぜ!(にょろん!)」


この話の触手欠損表現でR15が付きました。残酷?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ