ありきたりの恐怖、あら来たり?
舞ちゃん、バイトのはじまり、はじまり〜
分かり易い物事は対処できます、でもね、意外とノーマークの出来事には対処出来ません。
人が集中出来るのは1日2時間くらいだそうです、自然に自己KY出来る様に成りたいものです。
ご安全に❤️
「おはようございます、礼子さん、本日も宜しくお願いします。」
大学の講義終了後、私は大学の近所の不動産屋にアルバイトに来ていた。
大学は大きな河のほとりに有る、川では無く、河。
なんとか三郎とか呼ばれる、結構大きな河だ、確か一級河川だったかな?
ここで取れる鮎は絶品と、もっぱらの話だ。
もっとも、それは20キロ位上流の話しで、大学は河口付近なんだけどね。
その近所は毎年の新入生を斡旋するために、不動産屋が数件ある。
格安物件から、高級物件、そして、まれに事故物件。 色々取り扱っています。
事故物件とは、孤独死、自殺、強盗の末殺害など、人の死が絡む場合が多いですが、まれに、精神的に追い込まれた人の怨念や、負の感情が場に留まってしまった物件など、様々です。
あからさまに因果が分かる物は事前に対処出来ますが、稀に住んでみて初めて障害が起こる場合が有り、困ります。
また、人の感受性でも、障害が出たり、出なかったりで、差配の加減が出て来ます。
そんななか、ウチの不動産屋、吉祥寺ホームは業界でも有名な、事故物件屋さん。
基本は普通の物件を扱ってますが、同業者が持て余した物件を密かに処理すること、地元では信頼を得ているみたいです。
一般の方には悪いイメージを持たれても駄目なんで、あくまでも同業者の中でですけどね。
「舞ちゃん、15時から新規のお客様が内見にこられるから、例のあれ、お願いね。」
「はーい」
例のアレとは、私は霊は見えないものの、感じる事は出来るんですよね、そして、お客様の反応を見て、事前に霊障が起こりそうか微妙な程度で判断出来るんです。
礼子さんに知り合った際にその才能を見出され、結構いい時給で雇って貰える事になりました。
さてさて、今日のお客様は?
ピロリロリーン
景気良く開いた自動ドアの前には••••
見るからに暗黒オーラを纏う黒髪ロングの女性が一人、
「いらっしゃいませ、ようこそおいで下さいました。 当店は誠心誠意お客様の満足を提供いたします。」
これほどまでに、顧客満足を虚しく歌い上げた事が有るだろうか?
お母さん、舞はお家に帰りたいです。
背中の毛穴が2ミリは開いたのではないかと錯覚するくらいの冷や汗をかいた、初夏の午後ですよね。
アイスブルーに引き込まれてまた、続く。
見えなくても、感じる人は確かに存在します。
貴方も、理由も無く頭痛や吐き気に襲われた経験は有りませんか?
そんな時は、貴方の傍に何か居るかもしれません。