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momentary love  作者: 蒼井藍
1/1

1. 1年生、春〜夏

僕は中学生になった。僕の中学校の生徒は基本的に三個の小学校から多くが集まるマンモス校で三学年で700人程の人数がいた。僕は他の二つの小学校から来る子と仲良くできるか心配だった。そして小学校では恋愛なんて考えもしなかった。中学に上がると皆んな他校から来た女の子を見たあの子は可愛いなどの話で盛り上がってた。実際僕も恋愛に興味を持ち始めていた。僕の顔は別にイケメンでもなく平凡な顔だ。特に笑顔が下手くそで仏頂面とも偶に言われる。決して笑ってないわけではない。ただ長く一緒にいる人でないと理解してくれない。


僕は1年E組だった。桜が降り注ぐ門をくぐり抜け、先輩方からクラスの書かれたプリントが配られている。E組とF組は同じ階でA組からD組は上の階だった。僕は同じ小学校の大輝とF組の女の子を見に行こうとする。大輝の苗字は僕と一緒の高橋で更に名前まで大地と大輝で似てるもんだから小学校から仲が良く中学でいきなり同じクラスに慣れたのだから幸せなものだ。

「E組に全然可愛い子いないな」「上階は関わることあんまないしFに期待するしかないべ!」と会話をしていると後ろから声がした。「男子もカッコいい人いないし、他のクラスの人も自分のクラスは最悪とかおもってるよ」声の正体は朱莉だった。隣には優華もいる。朱莉と優華も同じ小学校でE組だった。「ああ神様、親友は一人で十分なのでこのメス達と美女を交換した下さい」僕は茶化すように言ったら朱莉の拳が僕と大輝の頭に降り注いだ。大輝は理不尽な暴力を食らったが渋々F組はと逃げた。朱莉は元気すぎるし優華はおとなしすぎる。2人を足して割ったら丁度いいくらいになるのに。


F組に着き辺りを見ると僕は直感である人を好きになった。それを好きと言うには間違いはないが余りにも一瞬の事で、自分でも気持ちが悪かった。髪型はショートカットだが片側だけ結んでてピョコっとでており、少し茶髪が入ってるが地毛なのだろう。目は大きいわけではないが二重でニコニコしていて細く綺麗な目、そばかすが少しある。身長は平均くらいだと思う。見た感じだと性格も人と楽しそうに話してるがうるさそうでもない、正にさっき言った朱莉と優華の間くらいだ。僕は大輝やF組の友達に「あの子可愛くない!?」と言ったが何故か共感は貰えなかった。名前は桜野亜紀と言うらしい。きっと人気がないのは目が大きくなかったり、そばかす、あまり見ない髪型のせいなのだろうか。僕はとりあえずライバルがいない事にホッとした。

E組に戻るとクラスメイトは全員着席しており担任の菅野先生は怒るに怒れない顔をしていた。いきなり僕と大輝はやらかした。少し時間が遅かったようだ。「ダブル高橋はマーキングだな」と笑いを取られ初日に僕達は悪目立ちをしてしまった。入学式はすぐ授業がなく部活などにも行けない為、大輝、朱莉、優華と4人で帰った。部活は何に入るだとか友達はできたかなどと会話をしていたが、全員何も進展はないようだ。3人と別れた後、近くの公園を見ると桜吹雪がとても綺麗だった。桜野亜紀が脳裏に浮かぶ。苗字が今の季節にマッチしすぎている。とにかくあの子と話したい。


入学してから半年程だった。クラスメイトは全員名前を覚え、新しい友達と遊ぶことも増えてきたが桜野とはまだ一言も話していない。もしかすると向こうは僕を知らない可能性だってある。新しくできた友達の悠人が突然、僕に「亜紀のメアドあげようか?」といってきた。僕はF組の友達経由で貰おうとばかり考えてたものだから小学校繋がりがあった事に気づかされ自分の馬鹿さに呆れたと同時に一つ疑問が出た。「なんで桜野?」僕は大輝には相談していたが他の人には話していなかったはずだし大輝は口は軽くない。「なんでって体育の時間とか合同授業のとき桜野ばっかみてるし、明らかに顔に出てるよ」僕はその場にいた人の顔を伺うと2人を除いて皆んな頷いていた。大輝は苦笑いをしていたけど朱莉と優華は驚いていた。この3人とばっかいたせいで周りの意見を聞くことがない故、自分の明らかな態度にも気づかなかったのだ。朱莉に至っては次第にニヤニヤしてきている。これは当分いじられる。


悠人と一緒にF組に行き悠人は桜野に声をかけた「俺の友達が教科書忘れたみたいなんだけどこっちのクラスに友達あんまいないらしいから亜紀の教科書貸してあげてくれない?」桜野は「いいよー」と答え付箋が数枚貼られた国語の教科書を僕に渡してくれた。「付箋貼っててごめんね。読みづらかったら剥がしていいからね」と言った。この子は天使か、と口に出そうになっが喉のあたりで抑えた。授業が終わったら一人で返しに行けよと悠人は耳打ちしてきた。桜野は天使だが悠人はキューピッドとして天才すぎる。

授業後に僕は早速国語の教科書を返しF組へ向かったが誰もいない。「あれ?クラス移動なのかな?」と思い自分の教室に戻ると自分のクラスメイトもいない。

僕は次の授業が体育だと気づいた瞬間に教科書を自分の机に置き水着をもって更衣室へ猛ダッシュした。


体育の授業は水泳だが僕は水泳は苦手だ。泳げないわけではないが色々な理由が積み重なり嫌いなのだ。若干の潔癖症、中耳炎、水泳をするには最悪の2コンボに追い討ちで男子特有の海パン。あれを思春期の生徒に着させる教育を疑う。大輝も運動神経はあまり良くないので2人で適当に泳いでいた。たまに女子の方を見ると胸が大きい人や小さい人、太った人や痩せている人がいるが基本的にゴーグルと帽子のせいで誰が誰だか分からない。プールから出てスタート位置に戻る時にゴーグルを外す。その瞬間に誰だかわかるガチャガチャのような感覚だ。周りの友達は期待を裏切られたりギャップにテンションが上がったりする奴もいる。桜野は痩せていて胸もないが僕はそれが好きだった。後になって思うと痩せているから桜野を好きなのではなく亜紀が痩せているから痩せている人を好むようになったのだ。そして予想通り優華も桜野に負けないくらい小さいし朱莉は大きい方だった。阿呆な中学生からは朱莉は告白の対象になることが多くなった。


水泳が終わった後、教室に戻り国語の教科書を持ってF組に向かうと丁度、桜野に会った。「これありがとう。あと桜野ってプール上手なんだね」「どういたしまして!水泳部だからねー!」などとやり取りをしたが僕は桜野を見ていることを本人に言ってるようなものじゃないかと思ったが桜野は何も気づいていない。「水泳部なんだ!俺は水泳苦手だから羨ましいなー」「高橋君は部活入ってるの?」桜野は僕の名前を知っていた。それがとにかく嬉しかった。「サッカー部だよ」「水泳よりサッカーの方が難しいよ!」など会話を少しした。サッカーの話をしたせいか心の中で悠人がパスを出してきた。「桜野と話すのすごい楽しいし、えっとー、メールアドレスとか貰える?」遂に聞いてしまった。「いいよ!後で紙に書いて持ってくね!」と言ってクラスに入っていった。僕の心臓は今にも爆発するかのように動いていた。髪が濡れた桜野、髪を結んでない桜野、タオルを頭から首まで被ってる桜野、水泳がこんなに良い授業だとは思いもしなかった。


昼休み、俺は朱莉から質問ぜめをされていた。「いつから好きなの?」「どこが好きなの?」「仲よかったっけ?」途中で大輝が僕を助けるように「朱莉の好きな人とかはいないの?」と聞いたがいないようだ。「優華は?」僕は聞くと「まだいないよ」と小さめの声で返事をくれた。僕はこの2人に一目惚れしたなんて恥ずかしくて言えないし顔で選んでると思われたくない。もちろん顔も好きだが雰囲気やなんとなく天然ボケの様なところがあり可愛らしいのだ。

ふと教室から校庭を見ると桜野は友達とバレーボールをしている。桜野には好きな人がいるのだろうか。


放課後の部活が終わり悠人とは別れて大輝と2人で帰ろうとする悠人も大輝もサッカー部なのだが大輝はきっと選抜としては出れないだろう。「高橋くん!」僕達は同時に振り返ると桜野がいた。「アドレス書いてきたよ」「わざわざ部活終わるまで待ってたの?」「水泳部も今終わったとこだよ」悠人は気を利かせて帰ろうとするが僕は悠人の肩を掴んだ。好きな人と2人きりになると緊張してしまうし、アドレスを渡したらきっと帰るのだろう。予想通り桜野は5分前に悠人が帰った方向に歩いて行った。「俺も家があっちだったら」「そしたら俺たちが離れるよ」「たしかに」などの会話をして帰った。


21時ごろ、僕は桜野にメールをした。「登録したよ。今日国語の教科書ありがとね」と送った。

数分後に「いえいえ!高橋くんの名前なんて言うの?」の返信が来た。「どっちの?」「え?笑」「あ、ごめん!今日一緒にいた奴も高橋って苗字なの!」「ああ成る程笑、私と仲がいい方の高橋くんの名前が知りたい!」桜野はやはり天使だった。ただ仲が良くて名前を知らない仲ってどういう関係だろう。それから互いに名前を教え合ったが僕は入学式の日から知っている事は黙っておいた。趣味、好きな音楽などの会話をして気付いた時には深夜の2時を回っていた。そろそろ寝ようと思いReが何個も続いたメールは「そろそろ寝るね」と「分かったー!おやすみー」の文で最後となった。


次の日案の定、寝坊をした。1時間目から体育だが、丁度今頃、雨が降り始めたので水着ではなく体育着と傘を持って家を出て20分ほど遅れて遅刻をした。

体育は水泳が中止になっていた。体育着を持ってきた生徒が少ないので男女合同でサッカーをしていた。真面目な人だけサッカーをしていて、水泳だけに賭けていた人たちは全員、見学をしながら反省文を書いていた。寝坊をして助かった。大輝と悠人、朱莉、優華、桜野は一つのチームになりサッカーをしていた。悠人と大輝が組んでそこに朱莉と優華が入るのは分かるがなんで桜野まであるんだろう。大輝に聞くとどうやら桜野も少しだけ遅刻をしていて空いてるチームがここしかなかったらしい。僕はそのチームに入ろうとすると先生に「お前はこっちだ」と全然仲が良くない人たちで固まったチームに入れさせられた。大輝達は爆笑していたが桜野は「チーム変わってあげようか?」と言ってくれた。とてつもなく嬉しかった。チームを変わってくれることではなく桜野に話しかけてくれたことが、今日一日分のエネルギーになる。「悪いよ、俺の友達とも仲良くしてあげて」と言うと桜野は頷いた。向こうのチームは悠人と朱莉で点を取っていた。「大輝しっかりしてくれよ」と呟いた。桜野と優華は波長があうのかすっかり仲良くなっていた。優華は人見知りなので桜野が向こうのチームに入ってくれて良かったと思った。大輝は悲しげな目で僕を見ている。「大輝…」


その日のサッカー部は中止になったので帰ろうとすると下駄箱で桜野がいた。「どうしたの?」「傘を忘れちゃって」僕と桜野が話していると後ろから猛ダッシュで悠人と大輝は体育着を被りながら走りさっていった。桜野は「なるほど」と自分の体育着を出し始めた。「やめてやめてやめて。風邪引いちゃうよ」僕は桜野を止めた。あんな桜野見たくない。「俺あいつらと体育着被ったまま走ったら濡れるのか検証するんだった」と僕は言って傘を桜野に渡した。僕は体育着を被って走ろうとすると首根っこを誰かに掴まれた。朱莉だった。優華は傘を持って来ていたが朱里は忘れたらしい。朱莉は僕の方を"ポンッ"と叩き、体育着を被り大輝達を追った。「結局傘一つ足りねえよ」と言うと桜野は「私が優華ちゃんと一緒に傘入ってそっちの方から帰るから3人で帰ろ」と言った。僕はそんな事する必要ないと言おうとしたが他に案が思いつかなかった。すると優華は「私、桜野さんと遊びたい」と突然変なことを言い始めた。桜野は優華と話し始め、結局、優華の家で遊ぶことになったのだ。正直羨ましい。桜野と優華は一つの傘で向こうに歩いて行った。

「あれ?おれ1人で帰ることになってるぞ」


次の日、学校に行くと走って帰った3人と優華が休んでいた。風邪をひいたようだ。桜野は?僕は心配してF組を見に行くと桜野は元気に友達と話していた。僕はホッとすると桜野は僕の方に気づいた。「大地くん風邪引かなかったんだ。良かった」と言いながらこっちへ来てくれた。名前呼びに変わっている事が衝撃的すぎて固まった。「高橋くんは2人いるでしょ。それに名前で呼ぶと仲良しみたいでしょ!」桜野を抱きしめたくてしょうがない。「じゃあもう片方の高橋はなんて呼んでるの?」「高橋君は風邪引いちゃったの?」と声が重なって聞き取りにくかったが僕の方は解決されたし満足な答えになった。「大輝は風邪ひいちゃった」「悠人も今日休みだし優華ちゃんも昨日帰るとき具合悪かったみたいで」「朱莉もやすんでるんだよ」「朱莉ちゃんも優華ちゃんも私のせいだ。2人で帰ってれば」桜野は気にしていたが僕は「今日様子見てくるから心配しないでいいよ!どうせ休めてラッキーくらいに思ってるよ3人は」と言うと桜野は「私も行く」と言った


僕は菅野先生から必要なプリントを4人分もらって大輝の家から行った。インターホンを押すと出てきたのは朱莉だった。中からWiiの音が聞こえる。僕は中に入っていくと悠人までいた。僕と桜野は呆れた。3人分のプリントを置き「阿保な人達は元気だったし、優華の家に行くか」「うんそうだね」と笑いながら家を出ると「優華も風邪引いたんだ」と声が聞こえたので「お前らは風邪じゃないから」というと、「なら俺たちもついて行って良いよな」とニヤニヤしながら言ってきた。桜野との時間を削られた。

優華は3人と違ってベッドで休んでいた。僕と大輝と朱莉と優華は保育園からの付き合いで親も共働きなので家には優華1人だった。優華は申し訳なさそうに「お茶を出す」と言って立ち上がろうとするが僕たちは慌てて各々が優華の為になることをした。優華が落ち着いて眠りに入った後に悠人は「そういえば大輝は卒アルを無くしたらしいから見れなかったんだよな」と言いながら本棚から卒業アルバムを取り出し開き始めた。小学校の僕は今のように髪が跳ねておらずぼっちゃまみたいな髪だった。とにかく恥ずかしかったが悠人と桜野は「かわいい」と口にした。きっと悠人の方は馬鹿にしている。桜野も多分お世辞だろう。大輝は今と変わらず、優華は髪が短い。そういえばショーカットのパッツンだったなと昔のことのように思う。きっと優華が起きていたら顔を真っ赤にしているだろう。朱莉は身長が小学生にしては高かったが中学に上がり、僕と大輝には抜かされていた。5人で色々話し18時ごろには帰ることになった。悠人と朱莉は大輝の家にプリントを置いてきてしまった為、3人で大輝の家へと歩いて行った。「家まで送るよ」と桜野に言うと「悪いよ」といったが僕は勇気を出して「い、一緒に話したいし、俺が一緒に帰りたいから」僕は自分で言って顔が熱くなった。桜野も少しだけ照れながら頷いてくれた。帰りはメールの続きや詳しい話を話した。どうやら桜野はYUIというアーティストが好きらしい。僕は BUMP OF CHICKENというアーティストが好きでそれについて話し合っていたらすっかり家についてた。「少し待ってて」桜野は家に駆け足で入りすぐ戻ってきた。手にはウォークマンがありYUIを聞いてほしいとのこと。「ありがとう!じゃあまた月曜日ね!」というと桜野は「えっともし良かったら大地くんも名前で呼んでほしいな」と言った。僕は照れながら「またね、亜紀」と言うと桜野の顔を見れずにウォークマンをつけ走って帰った。


Good-bye-daysという曲か。


だからいま 会いにゆく そう決めたんだ

ポケットの この曲を 君に聴かせたい

そっとヴォリュームをあげて 確かめてみたよ


今の状況を正に歌詞にしたような状態だ。


片方の イヤホンを 君に渡す

ゆっくりと 流れ込む この瞬間

うまく愛せていますか?たまに迷うけど


ぼくは綺麗な声と今の状況に近いラブソングに心を打たれた。



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