白い絵の具
これは、真っ白な星のお話。
”ボク”が主人公。
ボクらの星には色がないんだ。
もちろんボクも。真っ白さ。
空を突き抜けた遙か彼方には”地球”とかゆう”色”
とかゆう変なんに溢れた星があるんだってさ。
ボクにとっちゃ色なんて幻みたいなもんさ。
別に地球なんかに行きたくもないし、色なんか見なくたって死にゃあしない。
でもボクの仲間たちは色に飢えてやがんだ。
試験に合格した奴らだけが地球に行ける権利を手に入れることができる。
マイファザーも色に飢えてる奴のひとりさ。
なんか頑張ってんなあと思ったら、地球にいけるぞ~って喜んでんなあと思ったら、秒で
いっちまった。
みんなしてなんなんだよ本当に。
地球から帰ってきた奴らはそれから「色が色が…」ってうるさいんだ。
全く嫌になるね。
1ヶ月くらいたったかな、ファザーが帰ってきたんだ。
なんか表情が豊かになった気がした。
そんなファザーがバケツを持ってたんだ。
ファザーはそれを”赤い絵の具”って呼んでた。
まあ別に見なくても良かったんだけど、みてほしそうだし、見てやったんだ。
別にそんな大したことな…い…ん…ぁ…!!?
勝手に目から水が溢れてきた。
あん時の衝撃はボクのペットが喋った時に匹敵するだろう。(実際には喋ってない)
それからボクも”色に飢えてる奴ら”に仲間入りだ。
”赤い絵の具”を花に塗ってみた。ボクはこんな美しい世界を知らなかった。知ろうともしなかった。アホンダラだ。
それからボクは、ファザーからたっくさん色について聞き倒した。ファザーが水を飲ませてくれと言っても飲
ませなかった。
そんな中でね、ファザーはこんな事をいったんだよ。
「地球ではな、白色も人気なんだぞ~」
……?
白…色…?
そうか…白色なんだ。ちゃんと色なんだ。
ボクらの星にもちゃんと色はあったんだ…!
白色…白色…白色…!!!!
やーぃ空気め!
ボクに色があるんだぞ!!
すんばらしい色があるんだ!!!
白色ってゆう色がねっ。