ep3 召喚魔法
ラッセルは途中でコンビニに寄った。
「餌代はお前が出せよ」とラッセルが言った。三雲はポケットから銀杏のにおいが染み付いた小銭を取り出すと、それで食パンの代金を支払った。店員は嫌な顔をした。
公園に着くとラッセルはチョークで地面に複雑な魔法陣を描きその中心にちぎった食パンのかけらを置いた。
「暗き森の使者 灰燼より生まれ灰燼へ帰す 我が闇の力に答え 今一度その力を示せ マージ・キーチ!!!!」
ラッセルがそう叫ぶとどこからかカラスが一羽飛んできた。三雲が叫びだした。
「おばあああああああああ」
三雲は虫取り網を乱暴に振り回しカラスを捕まえた。すかさず三雲はペンチをポケットから取り出した。
「は?おい何やってんだ。やめろ」とラッセルは三雲の腕をつかんだが、三雲は興奮状態であり、手に持ったペンチでラッセルの頭を殴打した。ラッセルがひるんでいる間に三雲は網からカラスを取り出し、爪を剥ごうとする。なかなか爪が剥がれず三雲はいろいろな角度に爪を引っ張り、
「あれ、なんか取れないな。おかしいな。こうか?こうか?アーーーイ!!!!!」と叫んだ瞬間思いっきり力をこめて、ようやく爪をはがす事ができた。
「ピギャアアアアアアアア」とカラスは叫び飛び去って行った。
「何考えてんだ?頭狂ったのかよ!」とラッセルが怒鳴ると、三雲は我に帰り、
「ごめん、どうしてもカラスの爪が欲しかったんだ。でもお前のこと考えずに自分勝手なことしちゃったよな。悪かったよ。」と答えた。
「わかってくれたらいいよ。」とラッセルは言った。周りで一部始終を見ていた親子連れがすぐそばの交番に通報したらしく、警察官が三雲たちのほうへ向かってきている。カラスの爪を挟んだペンチをもっているため、罪に問われることを恐れた三雲たちは急に走り出して逃げた。