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副業勇者(仮)  作者: 安居剛
おみまいするぞー
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8話 食事と腕相撲

 


「さっき来て大体の状況は聞いた。そいつ、登録もしてない一般人なんだろ?一般人にスキルや武器まで使うのは良くないと思うぜ?」


「あ、ああ……いや、でもこいつが喧嘩を……」



 俺じゃねえ。

 元凶はそこで今の展開にウキウキしてるアホ面の金髪だ。



「それにしちゃ、そいつは今何もしてなかったけどな。文字通り何もな。」


「え!?だって、こいつは俺の腕力強化を…!」


「見ててわかんなかったのか?そいつは、本当にただ頭を前に出しただけだ。防御スキルなんか使って無かった」




 マジかよ……と、荒くれ者と周りの観衆たちがざわつく。

 やっぱり目撃者が多いところで実験すんのは失敗だったか?

 まあ、回避しようとしたのにアホ神のせいでできなかったんだけど。逃げるという選択肢はさすがに使いたくなかったし。



「まあ、ここは俺の顔に免じて水に流しなよ。それやるからさ」



 剣聖のフィックスとやらが荒くれ者になにやら瓶を2つ投げ渡す。

 受け取った荒くれ者は、瓶を確認して急におとなしくなった。



「こ、これは最高級ポーション……わかった。今日のところは忘れてやる」



 そして、荒くれ者はニヤニヤしながら取り巻きと共に出ていった。



「最高級ポーションって……売れば一ヶ月は遊んで暮らせるぜ!?」

「あいつ、一本使って腕を治したって、もう一本を売ればボロ儲けじゃねえか!」

「しかし、そんなものを2つも軽く渡しちまうとは…さすがはSランクだぜ」



 野次馬さんの非常に分かりやすい解説。

 この世界で一番親切なのは野次馬さん達な気がしてきた。


 というのは冗談として、どうやら剣聖さんは話が通じる相手のようだ。いや、さっきの荒くれ者さんも俺の印象じゃ別に悪い人じゃ無さそうだったけど。

 今回非があるのはあのアホだけだ。


 すると、剣聖さんがこちらに向かって近づいてきた。



「あんた、災難だったな。本来、冒険者が市民に絡むなんてご法度なんだが…あんたの連れも悪いみたいだし許してやってくれ。」


「ああ、無傷なんで別に気にしてないですよ」



 許すも何も、悪いのはあのアホ神だけだし。荒くれ者さんには怒ってない。金髪は許さん。



「そう、なんで無傷なんだ?スキルも使わずにあのパンチを受けて、逆に相手が怪我するなんて初めて見たぜ!」



 あ、興味持たれた。

 この流れはたぶん……



「あんた、ただの市民じゃなさそうだ。ちょっと一緒に飯でも食わないか?奢るから、少し話させてくれよ」



 ……やっぱり。

 アホ神が嬉しそうな顔しててイラッとする。

 しかし、この機に乗らないとここから離れられそうもない。とりあえずここは流れに身を任せよう。



「そんな大したものじゃないですけど……お言葉に甘えさせて頂きます」


「よしきた!行きつけの酒場に案内するぜ!ついて来てくれ!」




 こうして、剣聖に連れられ、アホ神と3人でギルドを後にした。







 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○








「騒ぎを起こして、たまたまその場にいた強キャラに興味持たれていきなりお近づきになるって、これもお約束だね!いい感じだね!」



 騒がしい金髪を無視して町を歩く。

 町はちょうど一番活気のある時間のようで、先程より人通りが多くなっていた。



「ん?アキラ、今なんか言ったか?」

「いえ、口を開いたのはこの金髪です。こいつの発言は気にしないでください。」

「ひどい!」



 先程、軽く名乗るくらいの自己紹介をしたら、すぐに下の名前で呼び捨てにしてきた。自分も呼び捨てで構わないという。

 強キャラにありがちなフランクさ。そのうちツンデレとか無口とかも出てくるんだろうなぁ……



「随分仲良しじゃねえか!アキラはなんかそこらの市民にはない独特の雰囲気があるし、ルシャナもただの人間とは思えない何かを感じる。益々気になるぜ!」



 おお、Sランクともなるとそれも何となくわかるのか。すげえな。



「この人、さっきの馬鹿とは違って中々見る目があるようだね。少しは認めてあげようじゃないか」



 だからそういう上から目線やめろっつーの。

 また人を怒らせたいのか。



「ハハハ!自慢じゃないが俺にそんな口を聞ける奴も中々いないぜ!剣聖とか呼ばれ始めてからみんな勝手に縮こまっちまうようになったからな!」



 おおらかな人で良かった。笑い事で済んだ。

 しかし、このアホは発言に気を付けさせないと、この先また余計なトラブル引き起こしそうだな…

 後でどうにかしなければ。



「着いたぜ、この店だ。こんちわーっす!」



 そうこうしてるうちに店に着いたようだ。勢いよく挨拶しながら入っていったフィックスに続いて店に入る。



「おう、フィックス!久しぶりじゃねえか!」

「おやっさん久しぶり!俺はいつもので、この二人には適当に酒と旨い料理じゃんじゃん持ってきて!」

「あいよ!」

「じゃあアキラ、ルシャナ、ここ座ってくれ!」




 怒涛の勢いでフィックスが注文を済ませ、3人同時に席に着く。

 それと同時に店主のおっさんとは別のおっさんが、ビールみたいな酒をジョッキ3杯持ってくる。



「まずは話の前に乾杯だ!カンパーイ!!うぇーい!!」

「ゴチでーす」

「頂きまーす!」



 さっきのはフランクでおおらかと言ったが、このノリはどっちかというと大学生っぽいな。まあいいや。すぐに仲良くなりやすそうなのは変わらん。



「………ふぅ。さて、単刀直入に聞くぜ。さっきの騒ぎ、アレどうやったんだ?」



 一気にジョッキを空にしたフィックスが、開口一番質問してくる。どうでもいいけどこのビールみたいなの思ったより美味いな。



「うーん………実際体験してみた方が早いと思いますね。腕相撲でもしましょうか?」


「お?強気だねえ。言っとくが、俺はさっきのおっちゃんとは次元が違うぜ?」



 それは間違い無くそうだろう。念のためちょっと本気でやろう。



「決して馬鹿にしてる訳では無いんですけど、とりあえず本気でやってみてください。もし俺の腕が折れてもそれは気にしませんから。」


「そこまでの自信、余計何があるのか気になるな……よし、俺も腕力強化を使う。折れてもポーションで治してやるから安心しな」



 そして、スキル発動で輝くフィックスの腕と、何の変化もない俺の腕とで握り合う。

 また野次馬が勝手に集まってきたので、その中の一人にスタートの合図と審判を頼む。



「剣聖と腕相撲する市民なんて珍しい奴もいたもんだ。準備はいいか?」



「いつでも!」

「どうぞ」



 お互い、手を握りながら正面の相手と目を合わす。




「始めるぞ!レディ……ゴーッ!!」

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